2-11. 連続関数の性質:The properties of continuous functions.
夜が更け、私たちの周りには静かな月光が差し込んでいます。透は、一本の線で繋がった「連続関数」の美しさに心動かされているようです。私はその滑らかな曲線を指し示しながら、「連続関数の性質(Properties of continuous functions)」について話し始めました。
「透、関数が『連続である』ということは、単に見た目が繋がっている以上の、とても強力な数学的保証を与えてくれるの。スミルノフはここで、閉じた区間(例えば a ≦ x ≦ b )で連続な関数が持つ、いくつかの決定的な性質を教えてくれているわ」
私はノートに、左右を壁で仕切られた関数のグラフを描きました。
1. 最大値と最小値の存在(有界性)
「まずね、ある区間でずっと連続な関数は、その中で必ず『一番高いところ』と『一番低いところ』を持っているの。これを最大値・最小値の定理と呼ぶわ。途中で途切れたり、どこまでも跳ね上がったりしないから、必ず頂上と谷底が見つかるというわけ」
2. 中間値の定理(The Intermediate Value Theorem)
「そして、これが一番直感的で、かつ重要な性質よ。もし関数が点 A から点 B まで連続して繋がっているなら、その間にある『あらゆる高さ』を必ず一度は通過しなければならないの。例えば、気温が 10℃ から 20℃ に上がったなら、その途中で必ず 15℃ だった瞬間があるはずでしょう?」
「……あ、ワープ(不連続)しない限り、絶対にそこを通らないと反対側には行けないもんね」
「その通り! これを利用すれば、例えば方程式 f( x ) = 0 の解がどこにあるかを探すことができるわ。プラスの値からマイナスの値へ連続的に変化しているなら、その途中で必ず 0 を横切る場所——つまり『解』があることが保証されるのよ」
3. 一様連続性(Uniform continuity)
「少し難しいけれど、スミルノフは『一様連続』という概念にも触れているわ。これは、区間内のどこであっても、 x を少し動かしたときの y の動き方が、一定のルールの中に収まっているということ。この性質があるからこそ、私たちは後の章で『積分』という計算を安心して行うことができるのよ」
私は透のノートに、滑らかに波打つ一本の線を力強く描きました。
「連続関数は、予測不可能なジャンプをしない、とても誠実な関数なの。この誠実さがあるから、私たちは一瞬の変化を測ったり、全体の面積を求めたりといった、高度な数学の操作を積み上げていくことができるのよ」
透は、中間値の定理の図を指でなぞりながら、「数学って、当たり前だと思えることを、こんなにしっかり証明していくんだね」と、感心したように呟きました。
「そうね。その『当たり前』を疑い、確かな土台に変えていく。それが解析学の歩みそのものなのよ。さあ、これで関数の準備はすべて整ったわ」




