2-10. 関数の連続性:Continuity of functions
夜の静寂の中で、透のノートに描かれたグラフはどれも滑らかな曲線を描いています。私はその曲線の一つを指でなぞりながら、その核心について話し始めました。
「透、これまでは『ある点での極限』を見てきたけれど、今度はグラフ全体が『繋がっている』ということがどういうことか、数学の言葉で定義してみましょう。それが『関数の連続性(Continuity of functions)』よ」
私は、ある点 x = a を中心に、関数の動きを書き出しました。
「関数 f( x ) が x = a で 連続 であるためには、次の3つのステップがすべて満たされていなければならないの」
1. その点に値があること: f( a ) がちゃんと定義されていること。
2. 極限が存在すること: x が a に近づくとき、f( x ) がある値に向かっていること。
3. **その二つが一致すること**:
** lim_{x→a} f( x ) = f( a )
「つまりね、透。『目指している場所(極限)』と『実際にそこにある値』がぴったり重なるとき、関数はその点で繋がっていると言えるのよ。もし、目指した場所に穴が空いていたり、別の場所にジャンプしていたら、それは『不連続』ということになるわ」
透は、先ほど計算した例を思い出しながら言いました。
「さっきの y = { x^2 - 1 }/{ x - 1 } は、x = 1 のときに 0/0 になっちゃったよね。あれは連続なの?」
「いいところに気づいたわね! あの関数は、 x = 1 では値が定義されていないから、その点だけ『穴』が開いた不連続なグラフなのよ。でも、もしその穴を極限値である 2 で埋めてあげれば、そこから先は滑らかな連続関数になるわ」
私はさらに、スミルノフが強調する「増分」を使った表現も書き加えました。
「もっと直感的に言うなら、x の変化(増分 Δx )が無限小になるとき、それに応じた y の変化(増分 Δy )も無限小になる……。これが連続性の本質なの」
** Δy = f( a + Δx ) - f( a ) → 0 ( Δx → 0 )
「私たちがこれまで扱ってきた冪関数、指数関数、三角関数……これらはみんな、定義されている範囲内では『連続』という素晴らしい性質を持っているわ。だからこそ、私たちは安心してそのグラフを一本の線で描くことができるのよ」
透は、自分の描いたサインカーブが途切れることなく続いていく様子を眺め、数学的な「滑らかさ」の定義に深く納得したようでした。
「どんなに拡大しても、ずっと繋がっているんだね」
「そう。この『連続性』という信頼の土台があってこそ、私たちは次の一歩、一瞬の変化を捉える『微分』の世界へ進むことができるのよ」




