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1-2. 数:Number

窓の外はすっかり暗くなり、街灯がポツポツと灯り始めました。私は透のノートに、一本のまっすぐな線を描きました。


「ねえ、透。さっきの『測定』のお話、覚えている? 私たちが何かを測ると、そこには必ず『数』が生まれるの。 今度は、その数たちがどんな風に集まっているのか、覗いてみましょうか。」


私は線の真ん中に「0」と書き、右側に「1、2、3……」と等間隔に印をつけました。


「まずは、透もよく知っている『整数』。 単位がちょうどいくつ分、と数えられるときに現れる数ね。 でも、測るものによっては『1つ分』と『2つ分』のちょうど真ん中になっちゃうこともあるでしょう? そこで『分数(有理数)』が必要になるの。」


「分数は、小数で書くと 0.5 みたいに途中で終わったり、 0.151515... みたいに同じリズムを繰り返したりするのよ。 でもね……」


私は少し声を潜めて、ノートに描いた正方形を指差しました。


「この正方形の対角線の長さを測ろうとすると、とっても不思議なことが起きるの。 どんなに細かな目盛りのものさしを作っても、決して分数では表せない数……『無理数』が現れるのよ。√2 とか、円周率の π とか。 これらは小数にすると、同じ繰り返しがなくて、永遠に、デタラメに続いていくの。」


「永遠に終わらないなんて、ちょっと怖いね」と透が呟きます。


「ふふ、そうね。でもその『終わりがない』ところが、数学の深さなの。 整数も、分数も、そしてその不思議な無理数も、全部この一本の線の上に隙間なく並んでいるわ。 これを全部まとめて『実数』と呼ぶのよ。」


私はペンを置いて、透の目を見つめました。


「実数はね、プラスもマイナスもあって、大きなものから小さなものまで、ちゃんとした順番で並んでいるの。 どの実数にも、この線の上にたった一つの『住所(点)』があるのよ。 そして私たちは、ゼロ以外のどんな実数でも、足したり引いたり、掛けたり割ったりすることができる。 数学の世界は、この豊かな実数という『数』の集まりの上に、魔法のようなお城を建てていくのよ。」


透はノートの数直線をじっと見つめ、指で √2 があるはずの場所をそっとなぞりました。見えない無限が、その小さな指先に触れたような気がしました。

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