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1-24. 逆三角関数:Inverse trigonometric, or circular, functions

部屋の温度を少し上げ、私は透のノートに「逆」という文字を書き込みました。


「透、昨日は美しい波の形、三角関数のお話をしたわね。今日はその続き。波の『高さ』から『角度』を逆算する魔法、『逆三角関数(Inverse trigonometric functions)』よ。別名『円関数』とも呼ばれるわ」


私は、昨日の y = sin( x ) の波の一部を強調して描き直しました。


「例えば、『高さが 1/2 になる角度はなあに?』と聞かれたら、どう答える? 30°( π/6 弧度)よね。このように、高さを入れると角度を返してくれる関数を y = arcsin( x )(アークサイン)と書くの」


「お母さん、でも波は何度も繰り返すから、高さが 1/2 になる場所って、他にもたくさんあるよね?」


「その通り! さすがね、透。だから『多価関数』の考え方がここで生きてくるの。 y = arcsin( x ) は、放っておくと無限に答え(枝)が出てきてしまう。だから、一番使いやすい -90° から 90° までの範囲を『主値』と決めて使うのが一般的なのよ」


私は続けて、他の逆三角関数の形もノートに並べました。


「 y = arccos( x )(アークコサイン)は 1 から 0 を通って -1 までなだらかに降りていく形。そして、あの暴れん坊だったタンジェントの逆関数 y = arctan( x )(アークタンジェント)は、どんなに大きな数字を入れても、決して 90°( π/2 )の壁を越えられない、落ち着いた横ばいの曲線になるの」


「逆さまにすると、あんなに激しかったグラフが、みんな静かな形になるんだね」


「ふふ、面白い視点ね。この逆三角関数は、工学の世界で『物体の角度』を計算するときに欠かせない道具なの。例えば、スロープの高さと長さから傾斜角度を求めたり、星の位置から航路を割り出したり。結果から原因(角度)を導き出すこの関数は、航海士や建築家たちの知恵そのものなのよ」


透は、波の断片を縦にしたような不思議な曲線たちを、一つひとつ丁寧に写し取りました。


「これで、スミルノフが最初に用意してくれた『基本関数』の道具箱がすべて揃ったわね。指数、対数、三角、そして逆三角……。次はいよいよ、これらの道具を組み合わせて、もっと複雑な世界の形を作っていくわよ」

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