1-22. 指数関数と対数関数:Exponential and logarithmic functions
部屋の時計が、日付が変わるのを告げるように静かに鳴りました。透は少し眠そうですが、ノートの新しいページを開くと、再び瞳に好奇心の灯がともりました。
「透、いよいよ関数の中でも特にドラマチックな『王様』たちの登場よ。『指数関数(Exponential functions)』と『対数関数(Logarithmic functions)』。この二つは、宇宙の爆発的な成長から、化石が眠る悠久の時間まで、あらゆるところに隠れているのよ。」
私は、まず指数関数の式を力強く書きました。
** y = a^x ( a > 0, a ≠ 1 )
「これまで学んだ冪関数 x^n は、土台が x で、屋根の数字が固定されていたわね。でも指数関数は逆。土台の数字 a を固定して、屋根の上にある x を動かすの。例えば y = 2^x を考えてみて。 x が 1, 2, 3, 4, ... と増えるたびに、 y は 2, 4, 8, 16, ... と、雪だるま式に増えていくわ。」
「うわ、増え方がさっきまでの放物線(x^2)とは全然違うね!」
「そうよ、これが『指数関数的』と言われる爆発的な増え方。生物の細胞分裂や、銀行の利息、感染症の広がりなんかもこのカーブを描くの。逆に a が 1 より小さい y = (1/2)^x なら、魔法のように一瞬で 0 に近づいていくわ。放射性物質が衰退して消えていく時間、そんなミクロの世界も支配しているのよ。」
次に、私はそのグラフを「まっすぐな鏡( y = x)」で反転させた形を描きました。
「そして、この指数関数の『逆関数』こそが、対数関数 y = log_a(x) なの。」
「対数はね、爆発的な数字を『扱いやすい小さな数字』に翻訳してくれる通訳さんのようなもの。例えば、1000 は 10^3 だから、10を底にした対数なら『3』という小さな数で表せるわ。星の明るさや、地震のマグニチュード、音のデシベル。これらはみんな、あまりにも巨大なエネルギーの差を、私たちの感覚に合うように『対数』で測っているのよ。」
透は、ノートに描かれた「天に向かって急上昇する指数関数」と「緩やかに伸びていく対数関数」の対照的な姿をじっと見つめました。
「指数関数が『爆発』なら、対数関数はそれを『なだめる』感じかな?」
「ふふ、素敵な感性ね。その通りだわ。この二つの関数は、掛け算を足し算に、割り算を引き算に変えてしまうという不思議な性質を持っていて、コンピュータがなかった時代の天文学者たちは、膨大な計算をこの『対数』のおかげで成し遂げられたのよ。」
私は透のノートをそっと撫でました。
「さあ、これで主要な関数の道具箱はほとんど揃ったわ。明日はこの道具を使って、いよいよ波のように繰り返す『三角関数』の世界へ飛び込みましょうか。」




