骨董品の魔銃
「はあい、注文の品、こちらです。とくとご覧ください!」
芝居がかった口調でそう言いつつ、カンドフがカウンターに置いたのは
いかにも古そうな木製の箱だった。ただしきわめて頑丈な造りであり、
ガタついたり腐ったりといった様子は微塵も見られない。興味深そうに
見つめるベータの前で、カンドフは箱の左右の留め具を同時に外した。
バチン!
鋭い音と共に外れた蓋を、カンドフの手がゆっくりと開いていく。
中に収められていたのは、まぎれもなく一丁の拳銃だった。
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「…珍しい形だな。」
しげしげと銃に見入るラモンドが、そんな言葉を口にする。
「少なくとも、一般に流通している銃とは根本的に違う構造らしいな。
どういう由来の物なんだ?」
「魔術由来よ。」
「え?」
ラモンド以上に見入っていたベータが、そこで顔を上げた。
「魔術と銃って両立できるの?」
「もちろん。」
即答したカンドフの右手が、箱から銃をそっと取り出す。
「とは言っても、今の時代じゃ多分無理でしょうね。魔術というものが
ここまで廃れてしまっては、技術と融合できる作り手いないだろうし。
だから骨董なのよ。」
「なるほどな。って事は…」
しばし視線を泳がせたラモンドが、やがて探るような口調で告げる。
「少なくとも、200年以上は昔の代物って事になるのか。」
「いい線行くね。260年ちょい。技術革新が本格的になり始めた頃…
って事らしいよ。あんまり詳しくは知らないんだけどね。」
「へえぇぇ。ちょっと見せて!」
「どうぞ。」
意気込むベータは、受け取った銃を壁に向けて構えてみた。
一瞬の沈黙ののち。
「思ったより軽いね。金属製だとは思えないよ。」
「まあ、内部機構が単純だからね。普通の銃と比べればかなり軽いよ。
火薬も使わないし。」
「え?」
怪訝そうな声が見事にハモる。
何となく説明を聞いていたラモンドとベータは、同時に銃を注視した。
「火薬を使わないって、どうやって撃つんだ?」
「魔術由来だって言ってたでしょ?骨董ではあるけど、見方を変えれば
現代の銃よりハイテクな代物なのよコレは。いいわね?」
「…ああ、ハイ。」
「分かりました姐さん。」
どうやら、少し侮っていたらしい。カンドフはいたって真剣である。
とするとこの怪しげな銃も、意外と思ったより凄い代物かも知れない。
同じ様な事を考えた二人は、揃って姿勢を正していた。
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「魔磁鉱って知ってる?」
「魔力を含んだ磁鉄鉱の事だろ?」
カンドフの問いにラモンドが即答を返した。一方のベータは、少しだけ
視線を泳がせて記憶を辿る。
「…ええと、名前だけは設定として聞いた事あるなあ。具体的にどんな
使い方するとかは知らないけど。」
「ああ、あなたの時代にも名前だけ存在してたのね。」
納得したのか、カンドフが頷いた。
「そう。魔力を含んでる磁鉄鉱で、これを精錬すれば魔磁石が作れる。
魔力を発現できる永久磁石よ。まあ永久と言っても、半減期が来るのは
研究で分かってるんだけどね。」
「ええ、永久じゃないんだ…」
妙にガッカリしたらしいベータが、口を尖らせて問う。
「ちなみに半減期ってのは、およそどのくらいで?」
「二万七千年。」
「……………………」
数秒の沈黙ののち。
「それはもう、永久と言っていいのでは?」
「だから言ってるじゃない。」
「そうでしたね。」
「何の会話なんだよ、これ。」
焦れたラモンドが横槍を入れた。
「で、その魔磁石がどうした?」
「そうそう。」
手にしていた銃をカウンターの上に置き、カンドフが告げる。
「この銃は、魔磁石の力を利用して弾丸を飛ばす仕組みなのよ。」
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「磁力と魔力で弾丸を飛ばす…?」
訝しげな表情を浮かべていたベータが、そこで不意に目を見開いた。
「それってもしかして、コイルガンとかレールガンに近い原理なの?」
「ごめん、詳しい原理まではあまり分かんない。だけどあなたの知る
原理があるなら、少なくともそれに近いものだろうとは思うよ。」
「ああ、うん。なるほど…」
納得したのかしないのか、ベータの返答は曖昧だった。そんな彼女には
構わず、ラモンドが新たに問う。
「金属を飛ばすって事は、弾丸自体に火薬が装填されてなくていいって
話なのか。」
「そう。むしろ火薬なんか混ぜたら逆に危ないと思う。」
「じゃあ、これ専用の弾丸ってのはどんなものなんだ。」
「無いよ。」
「は?」
予想外の即答に、ラモンドとベータの声がまたハモった。
「無いって…どういう意味?」
「もしかして、古過ぎて規格自体が無くなってるって事か?」
「違う違う。ってか、そんなの出すわけないでしょうが。」
あわてて両手を振ったカンドフが、銃を指差して告げる。
「要するに、何でもいいのよ。」
「へ?」
「銃口を通過できるサイズの金属であれば、何でも射出可能って事。」
「何でもって…つまり…?」
「文字通り、何でもよ。」
笑いながら答えたカンドフの指が、カウンターの向こうに置いてあった
小さな塊を摘み上げる。それが鈍色の袋ナットだという事は、二人とも
ひと目で判った。
「…マジで言ってんのか、それ?」
「もちろん。大マジよ。」
ラモンドにそう答えたカンドフは、いつの間に用意していたのか次々に
様々な金属部品を取り出し並べる。何に使うか分からないものも含め、
それは全部で20種類にも及んだ。
「鉄に限定せず、金属と名がつけばおよそ行けるよ。さっき言った通り
魔力と磁力で撃ち出す構造だから、内部にある魔磁石が劣化しない限り
弾丸を装填すれば何発でも撃てる。熱も発生しないから割と安全よ。」
「ホントにそんな事できるんだ…」
まじまじと銃を凝視しながら呟いたベータが、やがてそれを手に取る。
「ちなみに、威力は?」
「弾丸にした金属の形と重さ次第でちょい変わるけど、このナットなら
警察が使う38口径拳銃の2倍弱の破壊力と貫通力が出せるよ。」
「おいちょっと待て。」
たまりかねたようにラモンドが口を挟んだ。
「さらっと怖いこと言うなよ。」
「ちなみに弾速はもっと速くて…」
「いや怖いって!」
「気に入った!!」
ラモンドの動揺も全く意に介さず、ベータが銃をクルクルと回しながら
高らかに言い放つ。
「使い方教えてよ姐さん!」
「いいでしょう。」
「ちょっ!…いいのかホントに?」
どんどん進む話に懸念を示しつつ、やがてラモンドも苦笑を浮かべた。
「…まあいいか。とりあえずは。」
「いいよね?」
「ただし、だ。」
そこでほんの少し口調をあらため、ラモンドはベータを見据えて言う。
「今回の餓鬼人みたいなのが相手の時は、別にどうしようと問題ない。
が、人間を相手にする場合は別だ。やむを得ない状況なら構わないが、
そうでない場合は安易に撃つ判断をするなよ。いいな?」
「了解っす!」
どことなく嬉しそうな声で即答し、ベータは大袈裟な敬礼を返した。
「心配してくれてありがと。だけどあたしもちゃんと考えるからさ。」
「ならいい。」
それ以上あれこれ言わず、ラモンドはニッと笑う。
「んじゃ、使い方だな。」
「そうそう。よろしく姐さん!」
「いいでしょう!」
カンドフも楽しそうに笑う。
午後の日差しが、出窓から柔らかく差し込んでいた。
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「んじゃ、やってみようか。」
「え、ここで?」
「そうここで。」
「大丈夫かよ…?」
店の中で試し撃ちをすると言い出すカンドフに、さすがにベータたちは
懸念を示す。大丈夫かこの人、と。
「特殊だろうと骨董だろうと、銃は銃だからさ。外で撃ってたりしたら
絶対に問題になるでしょ?」
「まあ…そりゃそうだけど。」
「でも、お店に傷がつくんじゃ?」
「そこはご心配なく。」
心配げなベータに笑って答えつつ、カンドフは小さな金色の輪を懐から
取り出した。
「これ、狙えるよね?」
「え?」
「つまり、この輪の内径を狙えるかって意味。どう?」
「…まあ、この距離なら外さないと思うけど。」
「OK。じゃちょっと待ってね。」
そう言ったカンドフは、背後の柱の中ほどに輪を引っ掛けた。そして、
両手でその輪をそっと握って何やら小声で詠唱を始める。
数秒後。
キィン!
かすかな甲高い音が響くと同時に、輪の内径から見える木目が消える。
背面の柱が消失し、何やら別の木のようなものが見えるようになった。
しかもその表面は、周囲の柱と比べ明らかに「奥」に存在している。
訝し気に見ていたラモンドが、次の瞬間アッと目を見開く。
「もしかして、空間接続魔術か?」
「ご名答。」
「ええっ凄い!つまり輪の向こうは別の場所って事!?」
「そう。」
意味ありげに笑い、カンドフは二人を手招きした。
「どこだか判る?」
「え、知ってる場所なの?」
「ええ。この魔術は、あたし自身が行った事がある場所、しかも発動の
印を残した場所にしか使えないの。少なくとも二人とも知ってるよ。」
「どれどれ。」
競うように覗き込んだ二人は、輪の向こう側に広がる光景を凝視する。
離れて見ると木の表面しかないが、寄って覗けばその周りにある空間も
どうにか確認できる。明らかにこの街ではない、どこかのひと気のない
森の中の空き地で…
「あっ」
先に声を上げたのはベータだった。
「これもしかして、スワンプトードの沼の手前の森…?」
「マジかよ…って、確かに見覚えがあるな。あそこと繋いだのか?」
「そう。」
若干ドヤりつつカンドフが答える。
「重要な場所だからね。人も滅多に来ないし、印を残しといたのよ。」
「なるほど…さすが姐さん!!」
鼻息荒くベータが言った。
「じゃあこの輪から撃てば、向こうにある木に当たるって事なのね?」
「そう。銃弾なら後からそれなりに問題になりかねないけど、この銃で
撃ち出すのはただの金属部品。仮に誰かに見つかったとしても、出所を
辿ってここに至る可能性はないよ。試し撃ちにはもってこいでしょ?」
「おみそれしました。」
ここに来てラモンドも呟く。それはかなり彼らしくない好奇心と興奮に
満ちた声だった。
「よぉし、景気よく行こう!」
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「じゃ、弾丸装填のやり方ね。まあ簡単だからよく見てて。」
銃を持ったカンドフが、そう言って撃鉄状の後部の突起を親指で押す。
と同時に、グリップ底部が勢いよくスライドする。どうやらその内側は
空洞になっているらしかった。
「弾倉が入ってないのか?」
「元から無いよ弾倉は、弾丸規格が無いんだから、意味ないでしょ?」
「じゃあどうすんの?」
「こうすんの。」
ベータの問いに二ッと笑って答え、カンドフはそのままグリップ底部を
カウンターの上にかざす。そこには先ほど並べられた、弾丸サンプルの
金属部品がまだあった。
と、次の瞬間。
「えっ!?」
じっとその様を見ていたベータたち二人が、同時に瞠目する。
手品のように、銃が真上を通過した瞬間に金属部品は消え去っていた。
「ナニ今の!?」
「これで装填完了。」
そう言ったカンドフが親指を離し、同時に底部がシャッと閉じる。
まだベータは目を丸くしていた。
「つまり、吸い込まれたって事?」
「まあそうね。」
…………………
「ああ、なるほどそういう原理か。やっと分かった。」
一拍置いてラモンドが独りごちる。
「つまり魔磁石の力か。」
「ご名答。」
答えたカンドフが再びグリップ底部を開放し、中を指で指し示す。
吸い込まれた金属部品が落ちてくる事も、カラカラと音を立てる事も
まったく無かった。
「この内側は、コーティング処理がされていない魔磁石で出来てるの。
底部を開ける事で磁力が解放され、近くにある金属を吸い込む仕組み。
内側には魔力圧縮処理がされているから、最大1リットルまで入る。」
「何でリットルで…って、そんなに入るんだ。重さはそのまま?」
「まあ、そこは機能的限界よ。」
「つまり、最大装填で1キロになるという事か。銃そのものの重さと
合わせて、1.6キロってとこか?」
「何だか凄いね。」
さすがにベータが興奮声を上げる。
「拳銃としてはちょっと重いけど、1キロまで弾丸が装填できるんだ。
しかも金属なら何だっていいなら、実質的に無限に撃てるんだよね。」
「その場に金属があればね。」
「どうにかなるよ!」
勢いよく言い放ち、ベータは拳銃を受け取った。
「じゃあ、撃ってみよう。」
「そうそう、腕前見せてよ。」
「気をつけて扱えよ。」
明らかにテンションの高いベータに対し、ラモンドが苦笑を浮かべつつ
注意喚起する。しかし彼としても、大いに興味をそそられる試射だ。
銃を構えるベータは、早くもかなりサマになっていた。
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ダン!!
それは、予想よりもはるかに小さな発射音だった。それなりに覚悟して
轟音に備えていたベータもラモンドも、拍子抜けの表情を浮かべる。
1発目の試し撃ちをしたベータは、あらためて構えた銃を注視した。
「音ちっちゃいね。反動もあんまり感じなかったし。」
「爆発の反動で飛ばす方式じゃないからね。だけど威力はこの通り。」
ドヤ顔ドヤ声で答えるカンドフが、輪の向こうに見える木を指し示す。
覗き込まなくても、その幹に深々と弾痕が穿たれているのが見えた。
「すげえな。あんなガラクタをこの威力で撃てるとは。」
「魔術と技術の融合は、この時代がもっとも高水準だったって事よ。」
ラモンドの感嘆に答え、カンドフは銃を持つベータに視線を向ける。
「問題ないよね?彼女がこれを携行したとしても。」
「ああ。それは心配ない。どんなに威力が高かろうと、射出するモノが
実際の銃弾でないのなら言い逃れはできる。任せとけ。」
「意外と適当だね。助かるけど。」
クルクルと器用に銃を回しながら、ベータがそう言って笑った。
刹那。
ダンダンダンダンダンダン!!
回転を停めて素早く構え直し、輪の向こうを狙って今度は連射する。
最初の弾痕の周りに、撃った数だけ新たな孔が連続で穿たれていた。
カチン!
「あっ、弾切れだ。」
「確かにスジがいいわねえ。初めて撃ってこの精度とは。」
輪を覗き込んだカンドフが、感心の声を上げた。
「これなら使いこなせるでしょ。」
「ね、装填したいんだけど。」
「まだ撃つ気か?」
「いやいや、試射はこれでいいよ。あとは基本操作を習得しないと。」
「確かにね。じゃあ、これ。」
ガラガラガラガラガッ!
一体どこに入れていたのか、新たな金属部品がカウンターの上に並ぶ。
さっきと比べてより統一性のない、まさに「金属のガラクタ」だった。
「えーと、こうだっけ。」
シャコッ!!
後部の突起を押すと、グリップ底部が勢いよく開く。カンドフに倣い、
開いた底部をカンター上の金属部品の上にかざしてみた。次の瞬間、
散らばっていたそれらが、音もなく一瞬でグリップ内に吸い込まれる。
同時に、ほんの少しだけ銃の重さが増したような感覚が手に走った。
「おおぉ、簡単だ!」
ダダダダダン!
さらにテンションを上げたベータが銃を構え、輪の内径を狙い撃つ。
弾痕はますます集束し、ほぼ一穴に集まっていた。
そして。
ダン!
ボコッ!!
最後の一発の命中と同時に、太い木の幹を小さな弾痕の孔が貫通する。
最初に当てた弾丸が押し出されたという結果に、ラモンドが呆れ声を
上げた。
「デタラメだな本当に。」
「いやあ、ホントに何であたしって剣士でキャラメイクされたんだろ。
どう考えてもこっちの方がしっくり来てるのに。」
「単に、銃器を扱うのが時代設定に合わなかっただけだろ。」
「………………うん、確かに。」
身も蓋もないラモンドのその言葉に頷き、ベータは少しだけ黙った。
「まあいいじゃない。まさに時代があなたに追いついたって感じで。」
「だよね?やっぱそうだよね!?」
パッと表情を明るくしたベータに、ラモンドとカンドフは苦笑する。
分かりやすい奴だなという実感を、その表情に込めて。
何はともあれ、方針は決まった。
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試射は無事に済み、明日の段取りもおおよそまとまった。正式な許可は
得ていないものの、おそらく問題はないだろうというのが見解だった。
現在この街に住む人間はおそらく、当時リアルゲームプレイヤーだった
ロタストリグ公爵が配置したNPCの子孫だ。長い歳月の間に進化し、
自分たちのその由来さえ知らない。人間と同じようなパーソナリティを
獲得していると言っていいだろう。
それでも彼ら彼女らの言動は、この街とロタストリグへの畏敬の念に
満ちている。『蜘蛛足』の姿を見て拝む人もいるくらいだから、現在も
この街においてロタストリグの意向は最優先されるはずだ。
とすれば、プレイヤーと認識された自分たち三人は特別な存在である。
今もなお、この世界が現実か虚構かについては確信が得られていない。
だが少なくとも、『ブフレの古書』が示したラストプレイヤーの在所、
つまりこのラクネリアにはゲームの痕跡が大いに残っているのである。
ベータの言葉を信じるなら、ここで自分たちがロタストリグ城の攻略に
挑むのは必然である。ならばもう、遠慮する必要はない。
ただ挑むまでだ。
「明日はあたしも参加するから。」
当然のように言い放ち、カンドフがニッと笑う。
「じゃあ、景気づけに晩飯はどこかこの街の名店に食いに行くか。」
「おお、いいねえ!」
「行こう行こう!」
お金があると話も早い。
この街に長居する気はない。なら、こんな風に楽しむのもまた一興だ。
自分たちの目指すものは、他人から見ればかなり馬鹿げているだろう。
『ブフレの古書』が壮大な妄想だという可能性も、まだ消えていない。
ベータの存在にしても、彼女自身の思い込みが大きいのかも知れない。
それでも目指そうと思う程度には、ラストプレイヤー捜しは魅力的だ。
現実離れした方法で荒稼ぎできるという点も含めて、挑む価値はある。
ラモンドのような現実的な性格の男でさえ、自分の未来を懸けている。
だったらもう、景気よく行こう。
明日の攻城戦はきっと、一筋縄では行かないだろう。
望むところだ。
これがゲームであれば、どんな結果になろうと楽しんだ者勝ちである。
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「あ、もう星が出てる。」
最初に店から出たベータが、仰いだ空を指差してそう告げる。
いつの間にかかなり時間が経過していたらしい。すでに外は薄暗い。
続いて外に出たラモンドとカンドフも、同じように空を見上げる。
何をやってるんだろうという自問はもう、頭には浮かばない。
ここまで来ている以上、未知の道をただ突き進んでいくだけだろう。
その先にあるものが何かを、三人で見究める。
灯りがともり始めた道を歩く三人の足取りに、迷いはなかった。




