第093話 リザードマンの生活
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睡眠時間というのは意識がないのであっという間に感じる。
だけど、疲労はしっかりと回復しているので不思議なものだな。
あくびをしながらもそんなくだらない思考に陥ってしまうのは、寝起きだからという他ないだろう。
全員で話合ったとはいえ、ギルドが運営を開始する8時から行くのはやはり早過ぎだ。
ギルド内でも職員以外の人は数えられる程度しかいない。
もっといえば、いきなり依頼を受けようなんて人はゼロだ。
「朝早いのは苦手ですよ。こんなに依頼があるとはいえ、もう少し遅くても誰も取らなかったようですね。」
「いいのよ。確実なのは1番最初に来ることって決まってるんだから。文句言わずに選ぶ。」
「ワシは、朝早いのにも慣れているから問題ないよ。」
「話の続きは後からにしろ。後ろで並んでいるようだからな。」
大城の注意に促されてようやく依頼書の方に目を通す。
どれも高難易度の依頼ばかりで、俺達で達成できるか不安なところだ。
しかし、ダンジョンも攻略した功績もある。
卑屈になりすぎては得られるものも少ないので、ここは覚悟を決めて挑戦すべきか。
「これなんかどうでしょうか。」
まるで意を決した告白のようにみんなの前へ依頼書を出す小原。
意外にも自分から意見を出してきた。
書かれているのは、洞窟に出現するリザードマンの巣窟を制圧することらしい。
注意事項にはリザードマンは知能が高く魔物には珍しい特有の言語を話す魔物らしい。
連携力も高く、洗礼された槍の技術も厄介らしい。
洞窟内部では、希少な鉱石が取れるため武器もそれなりに強いらしい。
「いいんじゃないか?俺達にでも攻略できそうなレベルだし、それに希少な鉱石が取れるということは戦力強化にも繋がるだろうからな。」
「決まったのなら早く受けに行くわよ、時間は有限なんだから。」
急かされるまま、依頼を受け馬車で案内されるままに洞窟の近くにまで到着する。
想像しているよりも洞窟の周りの警備がしっかりしており、犯罪者が勝手に利用するなんてことは出来なさそうだ。
それに加えて魔物が洞窟から出てくることも防止できる。
特にリザードマンはそれを行ってもおかしくない知能があるはずだからな、警戒は必要だ。
「アンタらもリザードマン退治かい?」
「そうですけど。アンタらもってことは、他にもいたんですか?」
「最近は特に多いな。調査結果で個体数の増加が確認されたから、報酬が増額されたからな。リザードマンなんて大したことないって調子に乗った奴がボロボロになりながら、戻ってくるんだ。」
ここでずっと仕事をしているだけあって、情報をしっかりと持っているな。
ちょっとお喋りのようだから、その情報はここに来た人間のほとんどが知っているだろうけど。
「まぁ、それも今日までの話だけどな。」
「今日まで?それはどういうことよ。」
「なんだ?その依頼受ける時にギルドの職員から説明を受けなかったのか?そのリザードマン討伐にA級パーティ”銀狼の牙”が動き出したんだよ。エイジオがいれば間違いなくリザードマンは全滅だろうな。」
「エイジオって言ったか。」
「なんだ、エイジオと知り合いか?パーティメンバー以外と絡んでるのは滅多に見ないけどな。」
「奴隷オークションでこっちが一方的に知っただけだ。」
それよりも、このおじさんの言うことが本当なら急いだそうがいいな。
実力はギルドマスターが認めるほどのもの。
エイジオが戦闘に介入してくれば俺達の報酬は激減すること間違いなしだ。
「ありがとう!おじさん!頑張ってくる!」
「おじさんじゃねー!お兄さんだぁ!」
清水の別れ際に礼を行って洞窟に入る。
中は光り輝く苔と石で、十分なほどの光源が確保されている。
鑑定を使ってみると、光魔力草と光魔力石らしい。
光も簡単で空気中に含まれる魔力に反応して光を放つらしい。
これのおかげで攻略が簡単に進む。
しかも、ここはダンジョンと違って罠もないから気にしないでいい。
しばらく、進んでみたが魔物のレベルは全く強くない。
俺達が強くなったというプラスの考え方もできる。
地図のない洞窟は数分間歩くと、洞窟とは思えないほど開けた場所に出る。
そして、その光景に俺達は目を疑う。
「村だ。立派な家がある。」
「これはどういうことだ。なんで、ここに村がある。」
全員の理解が追いついていないうちに誰かの声が聞こえる。
もしかして、もうエイジオ達がここまで来たのか。
しかし、周りを見渡すと人間ではなくリザードマンが俺達の周囲を囲んでいる。
数は40匹程度ぐらいだろうか。
ギルドの説明では、人間には理解できない言語で意思疎通を図っていると言われたがこれはどういうことだ。
「冒険者だ!気を抜くな!コイツらは我々の棲家を奪う極悪非道な奴らだ!」
「そうだ!リザードマンの誇りを持って武器を持て!そして戦え!」
完全に人語を話している。あまりに驚愕的な事態に呆気にとられる。
1番冷静だったのは、大城だった。言葉が通じるのであれば会話が来るはずと交渉を持ちかける。
「待ってくれ。俺達は、交渉に来ただけだ。」
「交渉だと!冒険者如きと交渉など・・・!!?貴様、なぜ我々の言語が話せる!」
「リザードマンの言語だと?今、そっちが人語を話しているのではないのか?」
「何を言っている。我々が人語を話せる訳がないだろ。言語理解系のスキルを持っているのか?」
確か最初に転生してこの世界に来た時も何不自由なくアロットの国王の言語を理解できた。
まさか、転生した人間は言語の壁を無くすことができるのか。
意外な場面で知った隠された力。
しかし、今はそれどころではない。
このままでは、一向に武器を下す気配の無いリザードマン達と正面衝突は避けられない。
「そっちが派手に戦いならそれでもいいんじゃない?暴れてどちらも怪我人や死人は避けられないだろうし、そちらは町を守りながら戦うのは苦労するでしょうけどね。」
「その武器を下ろせとまでは言いません。ただ、少し話を聞いてもらうくらいはしていただけませんか。」
人間と話をするのは初めてのことだろう。
リザードマン側も戸惑いながらこちらを見ている。
しかし、リーダらしきリザードマンが片手を上げ、武器を下すようにとジェスチャーする。
「ここからは話合いの時間にしよう。こちらも魔物とはいえ、仲間や家族いる。その者達の血は見たく無い。」
「いいんですか!リーダー!相手は凶暴な人間、しかも冒険者ですよ!」
「分かっている!おい、冒険者達。話合いはしてやるが、こちらが一方的に被害を被るような交渉は受けない。」
ここを守る者としての覚悟なのか、その言葉を交わしてくる目は真剣そのもの。
こちらとしては、制圧がメインだったがリザードマンが好戦的でないのであれば、鉱石も安全に取れるだろうからな。
「まず、1つ忠告しないといけないことがある。この洞窟に冒険者の中でもトップクラスに強い奴らが来る。目的は、リザードマンの排除だ。」
「それで、貴様達はその冒険者達とは違うんだろう。わざわざ交渉の場を作るくらいだ。」
「こちらの提案は、ここの巣穴からの撤退だ。」
ざわめき出すリザードマン。
交渉はまだ始まったばかりだ。
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