第084話 思わせぶり
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「痛いな。本当に殺すよ?」
今まで以上に強い口調。
余裕がなくなっているのが窺える。
先程の吹き飛ばし札を使った攻撃によって小原も警戒されているだろう。
そうなれば小原の奇襲が2回目通用する可能性は低い。
「まずは確実に1人持っていくかぁ。」
口調は淡々としているが、底知れない怒りを感じる。
足を1回踏み込めば次の瞬間には目の前に移動している。
だから、油断していたら本当に一瞬で壊滅状態だ。
「来るぞ!構えろ!」
クライネが標的にしたのは小原。
あの絶好のタイミングでトドメを刺すような一撃を出せなかったことに何かを感じとったのか。
「悪いが、これ以上先には進ませない。」
「この速さに反応できるんだ。」
ぶつかる進化刀と進化刀。
相手の方が実力が上だということは理解しているので、工夫を凝らす。
「【影操作】!」
相手が動けないのであれば、【影操作】を成功させるのも難しくない。
俺の思惑通り成功した【影操作】で身動きが取れなくなるクライネ。
そこへ振り下ろした一撃が胸を斬りつける。
しかし、肉体すらも強固なものになっていて致命傷になるほどの攻撃には至らない。
怒りかそれとも憎しみか。
どちらにせよクライネは良い表情を浮かべてはいない。
余裕そうにしていた時は必要以上に喋り掛けてきたのに今では言葉1つない。
ここで総攻撃を仕掛けて戦いを終わらせにいきたい。
この場にいる全員がその意思を汲み取り、集中攻撃をおこなう。
もう戦う気力がなくなったのか避けることすらしなくなってしまうクライネ。
勝ちまではあと少しかと思われた瞬間のことだった。
「うざいな。うざいな。うざいな。死ねよ。【一心化】」
「このスキルは強力だ。自分の身を守ることだけ考えろ!」
まずい。進化刀を使える奴であるなら【一心化】を使えたのか。
俺もクライネに対抗するべく【一心化】を発動する。
「ちょっと君はあとからだ。」
もはや、目で追うことができない速さの斬撃に壁まで吹き飛ばされる。
進化刀で防御もしていたのにあの威力。
まともに食らえば死は免れないな。
壁にぶつかった衝撃でまとも動かせない身体でそんなことを考える。
清水が回復にこちらに近いてくるが危険だ。
まだクライネは俺のことを狙っているから、近いたら巻き込まれてしまう。
「来るな!まだ、あいつは俺を狙っているぞ!」
「せいかーい!ご褒美は死だよ。」
このままでは一気に2人の死人が出る。
回復を少ししか終わっていないが、無理矢理にでも立って刀を構える。
今度は【受け流し】と【反撃】を組み合わせて道ずれにしてやるよ。
と思ったが目の前には井村が現れる。
【反転】を使って位置を入れ替えたのか。かなり汎用性の高いスキルで、本人の使い方も上手い。
かなりの戦力に成長したということになるな。
「【念力】で動きを止めようとしているけど、全く止まらないよ。」
「僕たちも援護します。【火魔法】”インフェルノ”」
遠距離攻撃が使える者が迫り来るクライネを迎え撃つ。
攻撃を避けずに直撃させていくクライネだが、何事もなかったような顔をしている。
「これならどうかしら。【運命天論】」
宮武の覚醒スキルが発動する。
このスキルの効果を未だに把握できていないが強力なのは確かだ。
俺の前まで迫るクライネはいきなり崩れ落ちた天井の下敷きになる。
あれが【運命天論】の効果なのだろうか。
流石の魔族でも瓦礫が直撃して下敷きになれば身動きは取れないはず。
瓦礫にヒビが入り、音を立てながら砕けちるまではそう考えていた。
「絶望の表情。いいねいいね。その顔を見るために生きている。」
「こっちも全力を出していないんで舐められたら困りますね。【悪心】」
「それ魔族にしか使えないはずのスキルだ。君もしかして魔族なの。」
上野の火力を上げたスキルはどうやら魔族限定のスキルのようだ。
あえて声を大きくして俺達の動揺を誘っているようだが、そもそも目の前の敵の強さに心を揺さぶられているので効果は少ないだろうな。
それにあのスキルが魔族限定なのだとしたら恐らく。
「まぁ、僕も使えるから意味ないけどね。ほら、【悪心】」
同じスキルの力同士なら勝つのは当然クライネのほうだ。
しかし、そこは上野の機転によって免れる。
「魔族の弱点知ってるんですよ。この勝負は僕達がもらいます。【光魔法】”ライト”」
眩い光を出現させ、クライネを後退させる。
魔族の弱点は光魔法。
仮に上野本人が魔族であれば使うはずもないだろう技だったからこそ、不意打ちが成功した。
「君達は素性が分かるようで全く分からないミステリアスな人間だよ。ただ1つ言えることは僕を怒らせた。」
「でも、本気を出すのが遅かったみたいですね。」
「遅い?今更君達に何が出来るって言うんだい?実力も知能も経験も圧倒的に僕の方が上回っているのに勝てるって言いたいのかい?」
「そうだ。遅れたがこれで全員参戦だからな。」
俺の回復が終わり7人で戦闘に参加できる。
今までの階層も全員で切り抜けてきた。
ならば、相手が魔族であろうとそうする他ないだろう。
それに、俺達7人は普通の人とは違う特殊な存在。
何か奇跡を巻き起こしてくれると信じている。
「1回潰せば十分かと思っていたけど、虫並みの生命力だね君達。」
「潰れるのはアンタの方よ。いくわよ上野!」
「「【双撃】」」
ダンジョンで入手した特殊なスキル。
他のスキルと違い発動条件があるためか威力もその分期待できる。
しかし、反応速度の速さでその攻撃を最も容易く避けようとする。
「井村!【念力】で抑え込め!」
「でも、一瞬ぐらいしかできないかもしれない。」
「上出来。」
念力によって攻撃を避けようとした身体は1秒ほど地面から離れなくなる。
「【分身】+【影操作】!」
ここで俺の秘策を投入する。
これほどの火力で身動きを封じられれば、いくら魔族といえど突破は不可能なはずだ。
「後は任せたぞ!」
「ここで任せる奴がいるか。しかし、絶好のチャンスなのは確かだ。ここで凍え死ね【幻想の豪雪】」
直撃を免れことできないまま、氷塊の一部となってしまう。
これで決着も着いたので周りに秘宝らしき物がないかを探す。
「ワンッ!ワンッ!」
戦闘には参加できなったヴァイスは清水と近くにいてもらったが、戦いが終わった直後に吠え始めた。
俺はその近くに何かあると思ったが、ヴァイスが吠えている先には氷漬けにされたクライネがいる。
そして、ミシミシと音を立てる氷塊。
あの中から力で破壊したのか。
そんな芸当が可能なのか。
「ちょっとした準備運動にはなったよ。それで君達の全力は終わりかい?なら始めようか。絶望のショータイムを。」
普段なら格好をつけた痛い奴だと思うかもしれないが、今は本当に絶望を感じさせる。
1度終わったはずの戦いで全員の気持ちが切れている。
この切れた気持ちを入れ直す時間に生まれる隙は現状においては致命的だ。
「言ったでしょ?その顔が好きだって。」
当たり前のように瞬時に距離を詰めて攻撃をするクライネ。
「【反転】!」
井村の機転によって一命を取り留めたが、形成が不利なのは変わらない。
勝利した気持ちでいた俺達には相当ショックが大きい。
突如として始まった2回戦目も激しくなる予感が止まらない。
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