第077話 迷い
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「最後は井村と一ノ瀬だったか。」
「まるで遅刻したかのような言い方だな。」
「それはそうよ!こっちはもう30分間も待たされたのよ。」
「命があったことを感謝してほしいぐらいだ。色々なことがあったんだぞこっちは。」
他のやつらも機械との戦闘をしていたのだろうか。
そうだとするなら30分前に終わっているのだとすると短い時間で攻略したということ。
覚醒者の力はそれほど強力だというこの証明でもある。
この階層がもしもあれみたいな仕掛けがたくさん用意されているのだとすれば、攻略に掛かる時間は予定の倍以上だ。
それに加えて精神的にも神経をすり減る。
今日までに最悪でもクリアしたい。欲を言えばもっと攻略を進めたいが難しいとも思えてきた。
「こっちの機械はドロップとして、スキルロールを落としたが他の人はどうだった。」
「俺の方でもスキルロールを落とした。それもここでは重要になるものだ。」
「ということは、罠に関するスキルだと思っていいのか?」
「あぁ、【罠察知】だ。これについてはラストアタックを与えた俺が使用させてもらった。」
これはかなり大きい進展だ。罠を察知できるということは今後の層では迂闊に罠へハマるというリスクを減らせる。
解除ができるわけではないから、大城が先頭を歩いて指示を出してもらう必要があるな。
「私達の方は、ちょっと特殊なスキルロールだったわ。」
特殊なスキルロールということは俺達が拾ったようなコピー系の可能性も高い。
「どうやら2人が同じスキルを覚えることができるスキルロールで、上野と私が使ったら【双撃】っていうのを覚えたわ。2人が使うことによってのみ発動出来てかなりの攻撃力になるみたいね。」
「で、一ノ瀬さんは何を手に入れたんですか。コピーするスキルロールだ。すでに俺のスキルをコピーして井村に渡している。」
「その分戦力になるように働くから許してね。」
「それは心強いですね。それじゃあ、5階の攻略を進めていきましょう。大城さんが入手したスキルのおかげでかなり進みやすいでしょうし。」
その言葉通り、5階層は罠にハマることなく進むことができている。
気がかりなことといえば他の魔物に遭遇していないことだ。
罠特化の階層だと考えれば魔物も動き辛くなるためにいないのかもしれない。
しかし、困ったことはすぐに発生する。
いくらダンジョン内の攻略を進めようとどこにも下へと続く階段が見当たらない。
「ここが最下層ってことではないんだよな?ってことは次の階段は隠されているということか?」
「もしくはちょうど今到着した大きな扉の中にあるかですね。」
俺達の前には大体10メートルはあるだろう門が表れる。
狭いダンジョンには全くもって似つかないものだ。
だからこそ、その異様な感じが俺達の不安を掻き立てる。
誰も言わないがおそらく何かを感じとっている。
きっと最下層とまではいかないが他のダンジョン内の魔物とはレベルが違う魔物がいるだろう。
「行くしかないですよね。」
「ビビったのならここに残れ。戦闘の邪魔になる。」
いきなり酷い言い方をする大城。
ここでそんな言葉を掛けたら喧嘩になるのは避けられない。
しかし、清水は大人な対応を見せる。
「行きましょう。助けを必要としている子がいるんです。魔物ごときでは立ち止まれないですよ。」
結果的には清水の気合いを入れることになった。
これが大城の狙いだったら相当な頭脳を持っているのだろうけど、真意は本人にしか分からない。
全員が強敵へ挑む意志を固めて扉を開く。
あの大きさとは思えないほどに軽い力で開いたこと少し驚く。
それも目の前の生物を確認するまでの話。
「人間?ですかね。それもかなり幼いような。」
「え?あれは・・・」
清水の声を聞こえた瞬間に周りの人がいなくなる。
また、ワープ系のトラップがあったのか。
完全に1人1人が孤立してしまったいるのかもしれない。
分断することによって戦力に大きな偏りが出るからな。
「勇。ここで何をしている。」
聞き覚えのある声。しかも、こちらの世界の話ではない。
「俺がそれを聞きたい。それ以前にお前とは会いたくなかった真一。」
「まだあのことを怒っているのか?もう過ぎた話じゃないかよ。」
「それを決めるのはお前じゃない。俺だ。」
俺とこいつは高校の頃からの友達だった。
同じ部活に入り、同じ教室で授業を受け、色んな青春を共有して来たと思っていた。
しかし、その後とある事件によって大きな亀裂が入ることになった。
思い出せば長くなるし思い出したくもないのであいつとの思い出を振り返るのもここまでにしよう。
「きっとお前は俺の思い出したくない過去の幻想に過ぎない。だから、ここでお前を斬る。」
「そんなことがお前にできるとは思えない。試してみればいい。本当に俺を斬れるのか。」
挑発的な言葉。まるで俺の全てを知り尽くしていると言わんばかりだ。
それが逆に気味が悪い。俺の脳の中を隅々まで見られているような感覚。
しかし、俺にはあいつを斬ることが出来るのだろうか。
本当はあのことについても俺に非があることは理解している。
俺もあいつも同じ罪を背負った人間で、俺が裁くことはできない。
現に幻想がこいつなのがそれを物語っている。
「どうした来るのが怖いのか。」
「1つ聞かせてくれ。」
「俺が幻影だと分かっていながら質問をするのか?それは偽りでしかないぞ。」
「それでもいい。お前は本当にあいつを殺したのか。それを知りたい。」
「あぁ。確かにこの手で。」
ゆっくりと進化刀に手を伸ばす。
やはり、あの時見ていた光景は間違いではなかった。
「・・・。いつかきちんと向き合うから、今はここで消えてくれ。」
切り裂いた幻想は今までの魔物と同じように消えていく。
その瞬間、夢から覚めたようなに起き上がる。
周りを見渡すと他の6人が眠っているようだ。
「今度は俺が1番だ。」
「キィー!!!キキィー!!!」
どうやら目の前の猿みたいな魔物があの幻想を見せているみたいだ。
もう1度スキルを使っているようにも見えるが、2度目の幻術は俺に効かない。
「お前のせいで嫌なことを思い出してしまっただろうが。」
いつも以上にこもる力を八つ当たりのように猿にぶつける。
倒すと他の人も起きてくる。
もしかすると幻術を破ることができたのは俺だけだったのか。
「あれ?ここはどこ?」
「僕は嫌な夢を見せられていたようですね。」
「魔物はいたのか?現状が分かるやつはいるのか?」
嫌な幻術だった割に取り乱しているやつはいないようだ。
そんなことよりも今は現状の報告だ。
それができるのは俺しかいないからしっかりしなければならない。
「魔物は俺が討伐した。幻術は強力だったかもしれないが、解いてしまえば魔物本体はそれほど強くなかった。」
「一ノ瀬さんがいなかったら、わ、私達、ぜ、ぜんめ、つってことですか?」
恐怖に怯えた状態になる小原。急に怖さが溢れて来たのだろう。
しかも、ここはまだ5階層。
もしも、10階層で似たような強力な敵が現れるとすれば絶望を感じるだろう。
「逆にいえば俺がいた。誰かがピンチの時は誰かがカバーするしかない。」
「その通りだよ。ワシらは7人もいるんだ。きっとうまくいく!」
全員がそう思うしかない。
まるで暗示のようにそう言い聞かせて歩みを進めた。
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