第070話 誰のために何を思うか
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昨日の結果は全員に報告したが、大城からは無断で危険なことをするなと注意されてしまった。
俺は元々調査するつもりはなかったが、宮武に連れられて結果的にこうなってしまっただけだ。
教会側からの警戒が強くなるだろうが、得られた収穫も大きい。
「それで、本当に見たのか?」
「あぁ、女が賢者と話していた。昨日のことから考えるにその女は、かなり注意深く賢い相手だろう。」
「この国を裏で操る黒幕という線もありえるな。しかし、そうだとすると善行ばかりこの国で行われているから悪い相手なのか?」
「俺はまだ可能性的に魔族の女だと思っている。魔族には人間にスキルを与える能力があるからな。」
死者蘇生と国民に偽った力を賢者に与え、騙し国のトップに立たせている。
そして、ほとんど賢者はほとんどあの女の言いなりだろう。
もしも、本当に魔族が支配しているのだとしたら、水面下で恐ろしいことが行われていると思って良いだろう。
「今日はなにするんですか?街が警戒態勢なら情報を聞き回っていた2人は警戒されていてもおかしくないですよ。」
「ワシもそう思う。実行に移したのも2人だからもしも街の人からの目撃情報があれば疑いの目は一気に強くなるよ。」
昨日は、街路には教会の人間が見回りに来ているぐらいでスタルとしか出会うことは無かった。
しかし、教会周辺には民家が多い。
夜に出歩く2人組を見ていれば嫌でも記憶に残るだろう。
「なら、依頼に回るのが1番かしら。お金に困っているわけではないけど、少しくらいは体を動かしておかないと。」
「俺も大人しくそうするか。十分に体を休めさせたしな。」
「念の為に聞いておこう。本当に今日も孤児院に行くのか?清水。」
一応、全員の集まりには顔を出している清水。
それでも以前までのような明るさは感じられない。
孤児院に通い出してからはずっと重い表情のままだ。
「・・・。」
もはや、会話をするつもりもないようだ。
このままでは他の人に悪い印象を与えてしまうばかりだ。
ここは早めの改善を求めたい。
「やっぱり、俺も孤児院に行こう。もしも、孤児院に心配事があって通っているならそれを早急に解決させればいい。」
俺は大城からお前まで行くのかと怒られると思っていたがどうやらそうではないようだ。
「なら、今日は私も依頼に行きます。戦闘は1番不得意ですから。」
俺と入れ替わるような形で小原が4人と合流する形になる。
俺と清水が5人と別行動できるのも多く見積もっても残り5日ぐらいだろう。
これ以上を過ぎれば戻りづらくなるのは確実だ。
他の5人が去った後、俺は単刀直入に質問をする。
「清水。お前の心配していることはなんだ。ここまで他のに人に迷惑を掛けていると理解してまで守ろうとしていることを知りたい。」
「最初の日に1人の子供から助けを求められました。施設員が近くにいるので私がその子を抱きかかえた瞬間に他の誰にも聞こえない小さな声で、助けて連れていかれちゃうって。」
「人身売買か。子供達の数人がどこかへ連れて行かれて売られていると思っているんだな。」
「思っているんじゃないです!これは確信なんです!だから止めないと。」
熱い思いは伝わってくるが、あまりに無計画。
昨日まで孤児院に通い詰めていたようだが、なんの進展もなく子供達を見守ってきただけらしい。
疑っているなら他の子供にも情報を聞くことや孤児院の施設内を散策し怪しい場所がないを確認するなど
いくらでもできることはあっただろう。
「詳しい手段が見つかってないんだろ?どうするつもりだ?」
「一ノ瀬さんが探していたベルゼと名乗る日本人の話を覚えていますか?」
「この国から子供を誘拐した話か。今思えば誘拐ではなく助け出そうとしたようにも思えるな。」
「そうです。きっと私と同じようにこの国の現状を知ってしまったから子供連れ出した。なら、私も同じようにするしかないんです!」
「やめておけ。ベルゼは1人で身軽だったから成功した。でも、俺達は7人いる。それに加えて子供も連れていくのは不可能だ。」
子供を誘拐した場合、追手は間違いなく来ることになるだろう。
そのまま人数で押し切ることもできるだろうが子供を連れたままの戦闘は難しい。
「なら、私1人で!」
「それの方が無茶だ。回復魔法しか使えない清水では子供の護衛ができない。」
「じゃあ、どうすれば。」
「孤児院を潰せば良いだろ。結果的には子供達は解放される。もちろん、路頭に迷う子供が出てくるだろうがな。」
迷った表情を一瞬見せる清水。
どうすることが正解なのかが分からない。
そんな中途半端な感情を見せる。
「よく考えるんだな。子供達のことを思っているなら、熱くなるのは本末転倒だ。冷静に見極めろ。」
「私は強くないです。他の人のように活かせる特技もない。それでも子供達を助けたいと思うこの気持ちから逃げたくはないです。力を貸してください。」
深く下げた頭は俺の返事を聞くまで上がることはないだろう。
「なら、俺達の活動に協力することだな。」
「それは優先できませんよ!」
「賢者がこの国を支配している。もしも、子供を奴隷として売るように指示している人間がいるのだとするならアイツだろうな。」
「それは何のために。だって賢者様はあれほど心が優しい方ではないですか。」
「賢者本人が善悪のどちらであるかは関係ない。後ろにいる何者かに利益があるんだろう。」
「それなら賢者様をどうにかしても意味がないんじゃ。」
「国にいる人間はそのことを一切知らされていない。急に国のトップがいなくなれば、代えを用意するのも簡単じゃないだろうな。」
「その混乱に乗じて子供達を助けるということですか?結局は旅に連れていけない。冒険者に依頼するか、まともな施設を探すか。どちらにせよ、お前では子供達の未来を保証できないだろうな。」
それは何も返事を返さない。
魔王討伐のパーティから抜けて子供達の面倒を見るつもりなのだろう。
言葉に出せば俺が否定するだから言わない。
けれど、表情からは読み取れてしまう。
「納得はまだしていません。本当に賢者様をどうにかすれば子供達を解放できるきっかけになる保証もないですし。それでもその可能性に縋るしかないのだと思います。」
「まだ悩めば最適な可能性を見つけるかもしれないぞ。」
「子供達のことを思うと黙って考えるなんてことできないですよ。とにかく体を動かす。それが私にできることですから。そうと決まれば後で皆さんに謝らないといけないですね。皆さんの足を引っ張ることをしてしまいましたし。」
「それなら俺が手伝おうか。こっちのことに協力するんだ。それくらいのことはしよう。」
「いえ、ここは自分の力で皆さんと合流します。そこまで弱くなったら私子供達に見せる顔がないですもん。」
精神が弱った時に悲観的になる清水であったが、本人が言うほど弱くはない。
自分のことよりも誰かのことを思って行動し、誰かのためなら自らの頭を下げる。
それができる人間はそう多くないだろう。
だから、尚更思ってしまう。
この優しき心を持った人間が記憶を取り戻していまい、汚れることがないようにと。
それが決して叶うはずのない願いだということを知りながら。
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