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第063話 常勝方程式

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

「クソ!なんで俺がこんなことになっているんだよ。それもこれもプハンエが裏切ったせいだ!」


「あら。意外と簡単に見つけれたわ。私ってラッキーかも。」


「てめぇーはこの間の女じゃねーか。確かあのクソ勇者の仲間だったよな。」


ここで2回目となる宮武とオッドの出会い。

オッドは憤怒に心を支配されている状態だった。

そんなタイミングで彼女と会ってしまえば、攻撃をされることは間違いないだろう。


「死ねぇやーー!!!」


「【運命天論】」


攻撃は宮武に当たることなく外してしまう。

確実に攻撃が当たるように仕掛けたはずだったオッドは驚きが隠せない。


「そのユニークスキル。アイツらも使っていたが勇者のくせに魔族と契約を結んでいるのか?」


「これがユニークスキルだなんて一言もいってないでしょ。それに魔族となんて契約したら何をされるかわかったものじゃないわ。」


「この際どこで手に入れたかなんてどうでもいい。俺の敵になるかどうかが問題点だろ。」


「敵じゃなかったことがあるかしら。」


「そんな言葉遊びをしたいと言ってるんじゃない。脅威になるかどうかということだ。」


「なら、試してみる?」


宮武の挑発。

普段なら相手にもしないであろう人間だが、なぜだか体が戦いを欲してしまう。

深傷を負ったオッドは、なるべく体を動かさないのが懸命と言える。

しかし、ここまでくれば止めることなど不可能だ。


「【魔族魔法】”ブラッドスラッシュ”」


流れている自分の血も利用することで先ほど使用した時も威力が増した攻撃。

攻撃系のスキルを持ち合わせていない宮武がこの技をどうにかできるとは考えにくい。

その可能性があるとすればハッキリと性能が判明していない覚醒スキルのみだ。


「【運命天論】」


1つ持っていたコインを技に向かって弾く。

これは普通のコインであって何か細工をしているわけではないし、弾く際に強力なスキルを使ったわけでもない。

それでもオッドの攻撃は何事も無かったかのように消えていく。


「その異様なスキルが原因か。」


「アタシ、暴力で結果を決めるのって全然好きじゃないの。」


「今さら何を言い出すかと思ったらそんなことか。ここまで来たらそんな綺麗事が通じる訳がないだろ。」


「ここはなんの国か忘れたの。」


「それは賭博の国だ!人が欲望に酔いしれ、それに魔族が群がる。俺の商売相手はその2つ種族が相手だ。」


「なら勝敗は賭けで決めるのがいいと思わない。」


不敗の勝負師から挑まれた勝負。

その異名を聞いたことがあるならば勝負するのを躊躇ったかもしれない。

しかし、その異名はあちらの世界だけの話であり、オッドが知っているはずもない。


「俺はお前がルーレットでありえないほどに勝っているのを見てんだぜ。簡単には乗れない相談だな。」


ルーレットは基本ディーラーとの1対1ではディーラーが有利だと言われている。

それは熟練のディーラーは狙ったところへと球が落とせるからだ。

仮にどんなイカサマをしていたとしてもこの常識をひっくり返すのは難しい。

それを目の前の女はやって見せたのだから怪しいと思っても不思議ではない。


「勝負師だと思っていたのだけど意外とビビリなのね。」


「俺はそこらのアホと違って計算ぐらいはできるからな。」


「なら、勝負する内容はあなたが決めていいわよ。こっちとしてはどんな内容がきたって負ける要素がないもの。」


その言葉を聞いたオッドは頭を悩ませる。

彼女がゲームの内容を指定するなら勝つのは難しいだろうと判断していたかもしれない。

けれど、こちらにゲームの決定権があるのだとすれば負けるほうが難しい。

事前準備だって可能だし、イカサマだってやり放題だ。


「いいだろう。その話乗ってやっても良い。俺が最高に盛り上がる舞台を用意しといてやるから1時間後にここにこい。」


オッドから手渡されたのはカジノの中心に位置するメインホール。

そこで観衆なども集めてゲームをするつもりなのだろう。

オッド自体はイカサマが仮にバレたとしても誰からも文句を言われることはない。

逆に宮武は観衆全員から監視をされているというプレッシャーとアウェー感から実力を発揮できないと考えたのだろう。


「1時間後ね。せいぜい、イカサマの準備でもしておくことね。」


「なんのことだか分からないがお前もしておくべきだぜ。そんな勇気があればの話だけど。」


一旦2人はその場から離れる。

こうなってしまえばオッドの方が状況が良くなるのは言うまでもない。

傷を負った部分を部下に回復させつつ、ゲームの準備をはじめる。


その間に勝利を確信した笑い声が止まらない。

もはや、オッドにとって宮武は罠にハマった獲物にしか見ないのだろう。


1時間という時間は宮武にとっては全くもって必要のない時間だったためかなり長く感じたことだろう。

しかし、イカサマの仕掛け中に押し入ることもできないので静かにその時間を待った。


ようやく終わったのか、オッドの使いと名乗る魔族が会場までの案内にくる。

1時間で出来る限り仲間を集めて奇襲でも仕掛けてくるかと思ったがどうやらそれはしないらしい。

いくら魔族とは言えどプライドのようなものがあるのだろうか。


会場に着くと大きな声援で迎える魔族達。

注意深く見てわけではないが、ここにいるのはきっと魔族だけだろう。

下手なことをすれば潰すという意味合いが含まれている。


「どうだ?こんだけの観客に見られるってのは緊張するだろ?」


「そう?アタシは盛り上がっちゃうタイプだけど。」


挑発には一切乗らない。

精神が不安定になることが1番の負け筋につながるからだ。

それを分かってるオッドはあえて試すようなことをしたのか。


「チッ。さっさと始めるぞ。楽しいギャンブルをな。」


「それで良いのよ。身を削る思いでするギャンブルってのが1番興奮するわ。」


「心底君が悪いやつだぜ。まぁ、いい。俺達がするゲームはこれだ。」


その掛け声と同時に設置されていたモニターにはゲーム名が表示されている。

薄暗い会場の中で光るモニターは人一倍の注目を集める。


[ファイブカウント]


1〜5までのトランプを両者に配り、3回勝負する。

1から順に強いものとして勝敗を決め、書かれた数字分のポイントを獲得する。

最終的にポイントが多い方が勝者となる。

1番弱い5は1を相手に出した時のみ勝つことができる。


わざわざ1から作り上げた簡易的なゲームか。

イカサマの仕掛けと合わせて作るとしたなら妥当なゲーム難易度か。


「簡単そうでよかったわ。難しすぎてもつまらないもの。」


「お気に召したようだな。それじゃ早速始めようか。」


早速手札に配れる5枚のカード。


まずは手始めに2のカードをセットする。

宮武がセットしたのを確認してオッドはカードをセットしたようだ。


両者がセットを完了したのを見てディーラーがカードをめくる。


結果は2と1。


オッドは最強であり1番危険なカードを1番最初に切ることができた。

これは偶然かそれとも必然か。


今度は3をセットした宮武。

先程同様にその後でオッドがセットする。


次は3と2。


またしても、ギリギリで勝利するオッド。

これは確実にイカサマをしている。

どんなイカサマなのかも、少し勘の良い人ならすぐにわかってしまうレベル。

ギャンブルが盛んなこの国なのにイカサマのレベルは低いようだ。


最後にこちらのカードをセットして終了する。

オッドは一瞬困惑の表情を浮かべたが迷わずにカードをセットする。


結果は4と5。

宮武が最後の最後で4ポイントをゲットするという幕切れとなった。


「最後に見えたのは1だったはずだろぉ!!!」


「これのこと?」


そう言ってテーブルに残された伏せられたカードをめくる。


「クソッ!2枚出すなんてルール違反だろ!」


「そんなルールないじゃない。それにアンタは自分から勝利を手放したのよ。必要以上に勝ちに固執して1に勝つために5を出したこと。相手のカードを見ることに集中して2枚のカードが出されたことを指摘できなかったこと。挙げればキリがないわ。」


「勝ってからって調子に乗るなよ!ここは魔族の巣窟と化しているんだぜ!」


「賭けの代償はしっかりともらっていくわね。【運命天論】」


一夜にしてカジノの従業員の大半が消える事件。

その真相を知るのはここで不敗の伝説を見ることができた人間のみが知る。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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