第062話 裏切りと裏切り
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プハンエの援護によって戦況はかなり不利なものになってきた。
3人でも相手をするのがやっとな状況で、2人を相手することができるはずもない。
なら、控室に戻って誰か手の空いている人間を探すべきか。
そもそもプハンエが裏切った以上は俺達はオッドを倒さずに逃げるという選択肢もあるのではないだろうか。
「ここは一旦撤退するしかないぞ。」
「何を言ってるんだ。あいつが逃げる隙を与えるような相手じゃないことぐらい分かってるだろ。」
「そうですよ。逃げた瞬間に僕達は殺されておしまいです。冷静になって考えましょう。」
「それは分かっているがどちらにせよここにいたら死ぬぞ。」
「仲間割れはもうすんだか?こっちも暇じゃないでね、死ねや。」
俺が1番取り乱していることぐらい自分でも分かっている。
相手がこちらを仕留める気でいる以上は、俺達も戦うしかないということか。
先程の戦闘を思い出してより一層身構える。
どんな攻撃を自分の目の前に現れてもおかしくない。
「行きますよオッド様!」
その掛け声と共に上がる血飛沫。
ナイフによって生まれた傷口からはプハンエを一瞬で真っ赤に染め上げるほどに血が出ている。
しかし、この攻撃を喰らったのは俺達の3人ではない。
「おいおい、やけに素直に動くと思ったらこれが最初から狙いだった訳か。」
オッドは刺さったナイフを抜き取ってその場に捨てる。
確実にダメージを与えているものの傷口はすぐに塞がる。
この一瞬で勝負を決めるつもりだったプハンエの表情も暗くなっている。
「俺はお前を許したことなんて一度もないんだよ。」
「俺は今の今まで忘れちまっていたが、そういえば思い出したぜ。昔、潰した魔族の村にお前とそっくりなやつがいたな。親か何かか?」
「思い出したなんて芝居はやめろ。お前は自分の悪事は忘れない魔族だということは知っている。」
「ってことはあの情報屋とか言った女は幼馴染か。あんときはガキだったが大きく成長したみたいだな。」
「下品なやつだ。俺は魔族の中でも誇りある奴が上に立つべきだと思っている。お前のような蛮族が上にいて良いはずがない。」
この話を聞いている感じだと何かしらの因縁があっとことは理解できた。
魔族同士でも争いがあることは知っていたが今はまたとないチャンスだ。
裏切られていたと思ったが、そうではなく状況は好転して4対1の状況になった。
それにプハンエや情報屋の相手をしていた4人も他の場所へ増援に行っているだろう。
控室が片付いてしまえばこちらに増援がくるのも時間の問題だ。
「めんどうなことになった見てぇーだ。けど、お前らがそれで勝てる保証なんてどこにもねぇーよな。」
何人束になろうとも関係ないということか。
それぐらいの能力がオッドに隠されている。
同じ魔族とはいえプハンエ1人ではどうやっても勝つことはできないだろう。
「今度お前のこと信じていいんだろうな。」
「魔族のことは信じるな。俺がオッドを憎んでいることは確かだけど、お前らのことを考えて行動しているわけではない。現に俺はお前らが危険になることを分かっていながらオッドの側で一撃を与える機会を待った。」
本来であるならそんな忠告すらしないだろう。
完全に悪になりきれない魔族。
そんな存在がいることをプハンエが証明する。
種族は違えども生きていることには変わりない。
それぞれの意思があり、考えも命の数だけ違うのだから仕方ない。
「そうだとするなら利害の一致だと思っていろ。俺もお前もオッドを倒したい。それ以外に協力する理由はいらないだろ。」
「勝てる可能性はどのくらいだと思う。」
「30%っていうのが正直な印象だ。俺達の最高戦力はことごとくやられてしまったからな。」
上野の攻撃も大城の攻撃も全く通用していないのが現状だ。
覚醒スキルは他のスキルと違って圧倒的な力を秘めているといっても過言ではない。
それでも勝てないのは、オッドの実力とスキルを使いこなせていない俺達の弱さが原因だろう。
「俺が50%に引き上げるから刺し違える覚悟をしておけ。」
それを言い残して、真っ先にオッドの方へ走り出す。
オッドは魔導具を主体として妨害を行い、確実にスキルで仕留める戦い方だ。
プハンエが取り出したのは、砂呼びの笛。
それを鳴らすとオッドの周りに砂が巻き起こる。
まずは敵の視界を奪う。プハンエの戦いにおいて定石である部分だ。
「毎回芸のない戦い方だな。それぐらい予想はついているんだよ。」
体から衝撃波を出して砂を一瞬にして片付ける。
そこからプハンエを探して倒そうとするが、目の前には無数の分身で溢れている。
俺の分身とは違いプハンエは進化スキル。
魔力などではどれが本物か区別がつかないはずだ。
俺も手助けをするために分身のスキルを使う。
オッドにとっては真っ先に潰しておきたいプハンエが見つからずにイライラが止まらないはずだ。
「うぜぇーーな!【魔族魔法】”ブラッドスラッシュ”」
手から血を飛ばすと斬撃のように鋭くなって飛んでくる。
一瞬にして分身達は消え去っていく。
それぐらいは予想していたプハンエは既に気配遮断をつかっている。
「俺達は時間を稼げば良いということか。【狙撃】」
いつの間にか入手した拳銃を取り出して発砲する大城。
それは普通ではありない威力の攻撃で、無視することができないオッドは避ける動作に意識を割くことになる。
「一度やられたモブの分際で俺に反抗しようとするんじゃねー!」
徐々に怒りが蓄積されている。
攻撃のモーションも最初の繊細さは全くなく、大振りになってきている。
しかし、威力が落ちることはなく、むしろ上がってしまっているので大城に向かって放とうとしている攻撃も当たってしまえば致命傷になるだろう。
「僕も役割はなんとなく分かってきました。自分は強いと錯覚していましたが、これじゃこの先はやっていけなさそうですね。【光魔法】”シャイニング”」
これも前まで覚えていなかったはずの魔法だ。
オッドは光魔法を見た瞬間に嫌な顔を見せる。
魔族にとって光魔法が弱点になるのは間違いないらしい。
「光魔法を使うやつもいたのか。この状況でなぜ足掻こうする。お前らに勝てる可能性なんて全く持って残されていねぇーーんだよ!!」
「それはお前が決めることじゃない。俺達が冷静に判断して決めることだ。」
進化刀とオッドの爪が激しくぶつかりあう。
普通の刀であれば、力負けして吹き飛ばされてしまうかもしれないが【身体強化】のおかげで互角の勝負を繰り広げる。そして、時間をかければかけるほどに有利になるのは俺だ。
「【吸収】とかいうレアなスキルがついているのを忘れていた。クソがぁ。」
その場から距離をとって何かスキルを使おうとしている。
スキルなしでも強いということは散々証明されてきた。
ここで新スキルを使われたら壊滅状態になる可能性もあるだろう。
「ここでお前の傲慢な物語は終わりだ。お前をここで必ず殺すと決めている。【魔族解放】」
プハンエの魔力解放によって放たれる一撃は、確実にオッドの心臓を貫く。
流石にこの攻撃でオッドも動けなくなることだろう。
プハンエの復讐劇は意外な形で終わることになった。
と思われたの束の間だった。
「このままで、勝ったと思うなよ。」
そう言って、口に何か丸い薬のようなものを含む。
するとこの場から姿を消し去る。
「くそぉ!!!あいつ、転移丸を使いやがった。このカジノのどこかでまた息を潜めているだろうな。」
どうやら逃げられてしまったらしい。
しかし、まだ控室の様子がわかっていないのでとりあえず合流することにした。
この先のオッドがどうなるか知らないまま。
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