第061話 魔族解放
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オッドはいつでもどうぞと言わんばかりに立ち尽くしている。
俺達は、その隙だらけに見えて一瞬の隙もないオッドにどうすればいいか分からないでいた。
「どうしたんだよ。さっきまでの威勢は全くないな!俺に3人も割いたんだろ?さっさと終わらせないと他の奴らが厳しいんじゃないか。」
完全に俺達で遊んでいる。こっちから攻めにくいことを知っていてわざと煽りを入れているのだろう。
「【土魔法】”マッドショット”」
「【火魔法】”ファイヤ”」
まずは遠距離から様子見の魔法攻撃を放つ。
その意図を汲み取った上野もタイミングを合わせて攻撃をする。
しかし、オッドは避けるような動作すら見せない。
直撃したはずの魔法だったが、オッドには傷の1つもついていない。
あまりにも硬すぎる身体。
「魔族に魔法を使ってくるなんて本当に何もしらねぇーんだな。」
「魔法には耐性があるってことか。」
「魔族は魔力を力に変える種族だからな。魔法攻撃なんて痛くも痒くもないぜ。でもよ、目障りではあるから潰しておくか。」
今まではあえてなにもしてこなかったオッドであったがついに攻撃に転じてくる。
先に狙われるのは俺か上野か。
どちらにせよ、すぐに援護に入れるようなにしておかねば一瞬で崩壊するのは間違いない。
「まずは、その裏の顔がありそうな生意気ない男からだな!」
まさか、ここで大城に攻撃を仕掛けるオッド。
俺達もまさかの行動に一瞬だけ反応が遅れてしまう。
その一瞬。
目を離した一瞬の隙に大城の元まで距離を詰めてくる。
「まずは1匹目ぇーー!!!」
「悪いが簡単にはやられないぞ。俺は強いからな。」
並大抵の動体視力では捉えることすら難しいであろうオッドの攻撃を完全に見切り、逆に攻撃のモーションに入る。
攻撃を防がれたことが意外だったのか驚きの表情のオッドだったが、攻撃を冷静に避けて次の攻撃に入る。
「同じことはさせないだろ。【迅速投擲】」
魔法が効かなくても物理的な攻撃は通じるはずだ。
なら、俺と大城が主体となってダメージを与えるしかないだろう。
「投擲術か。それにしてはいい腕前だ。俺には効かないけどなぁ!」
攻撃を大城からポルタガに変えて打ち落とされる。
しかし、それで生まれた数秒間の隙がこっちの好機となる。
俺は進化刀を抜き取り、【分身】を使ってオッドに攻撃を仕掛ける。
上野にも何か策があるようで俺が攻撃を仕掛けるタイミングで【分身】を使ってオッドに奇襲を仕掛ける。
近くにいる大城も警戒しないといけないこの場面はオッドにとっても辛いはずだ。
「進化刀。やっぱりこの間のは見間違いじゃなかったのか。」
俺が持っている進化刀に反応している。
それも嫌悪感に近い表情だ。もしかすると攻略の糸口になるかもしれない。
攻撃範囲内までオッドに近づくと俺は刀を振りかざした。
それを伸ばした爪1つで受け切るオッド。
しかし、表情は苦しそうだ。きっと【吸収】が効いているのかもしれない。
このまま押し切りたいと思ったが、蹴りを鳩尾に一撃もらい吹き飛ばされる。
痛みが全身にまで響き渡り、苦痛で顔が歪む。
意識を保つのだって精一杯だ。
たった一撃が、あれほどまでの威力があるとは。
俺が吹き飛ばされたあとにすかさず上野がスキルを使う。
「これは大きなチャンスですよ。【思い出の燈】」
決して消えることのない炎がオッドを包み込む。
魔力とは違う何かが作用しているからなのか、なかなか消火することもできていないようだ。
雑魚だと思っていた相手にここまで苦しめられていることに怒りを見せるオッド。
全身が燃えている中で見せる怒りの表情はかなり不気味に見える。
「これで終わらせよう。【幻想の豪雪】」
止めに大城のスキルがオッドの全身を氷漬けにする。
これでも身動きは全く取れないはずだ。
意外にも呆気なく決着がついてたことに安堵する。
今はこうしている場合ではない。
他のチームと合流して援護しなければならない。
そう思い控室に戻ろうとした時だった。
パリーーンッ!!!
動けないと思っていた氷を割って脱出してくるオッドの姿があった。
今までは慢心や強気な表情でこちらを馬鹿にするようだったが今は怒りのみが顔に表れている。
「俺はなぁー!こんなにもコケにされるたのは始めてだぜ。・・・楽しんでいたけどもういいか。【魔族解放】」
その言葉の後に今までとは全く異なる容姿と変貌を遂げている。
先ほどまでは全く持って本気では無かったことを象徴するように禍々しくなっていく。
爪は先ほどまでと違い、それだけで武器になりそうなほど長く鋭い。
そして、翼を全力で広げて空を飛び、角や牙を鋭く尖らせている。
1番違うのはオーラである。
通常状態では、普通の人間と変わらなかったが、今は殺気や魔力が誰でもわかるほどに漏れている。
「雑魚相手だと思って手抜いてやったら調子乗りやがってよぉー。ぶっ殺すしかなくなってじゃねーかよ。」
「どっちにしろ生かしておくつもりは無かっただろ。」
「そんなことはないぜ。クロン達のように一生奴隷として扱ってやるつもりだったんだ。」
どちらにせよいい未来が待っていなかったのは確かなことだ。
それよりもあの状態になってオッドに勝てるかどうかが問題になってきた。
確実に先ほどまでより強くなっていることが窺える。
「俺から特別にプレゼントをくれてやるよ。【魔族術】”カース・オブ・アンデッド”」
魔族術という聞いたこともなにようなスキルを使ってくる。
名前からして魔族にしか使えないスキルなのだろう。
そう考えているうちにも地面からは続々と骨の騎士が生み出されていく。
「これぐらいなら簡単に対処できる。【幻想の豪雪】」
「オッド本人じゃない分、楽ですね。【思い出の燈】」
しかし、生み出せれた骨は大城と上野によって一瞬で壊滅する。
オッド本人でなければ苦戦することはないというのは本当だ。
「なんだよせっかくのプレゼントをもう壊したのかよ。そんな奴には俺様直々に罰を与えてやるよ。」
空中に浮かんで高みの見物をしていたオッドが地上に降りてくる。
また何か強力なスキルを使ってくるはずだと思い身構える。
「【魔族術】”リミットオーバー”」
その言葉を発した瞬間には俺の目の前まで移動しているオッド。
長い爪を活かした強力な一撃を放ってくる。
先ほどの鳩尾への攻撃のダメージがまだ残っているので動きにくいが、これをまともに喰らうのはまずい。
「【受け流し】+【反撃】」
俺が動きにくくてもスキルの力でかろうじて避けることができる。
そして、合わせ技として反撃を喰らわせる。
確かに攻撃は当たった感触がある。
が、全くもってオッドは苦しい表情を浮かべない。
「おいおい、そのスキル便利だなッ!」
背後から奇襲を仕掛けようとしていた上野と大城の攻撃を完全に見破り、攻撃をいなして距離を取るオッド。
まだまだ余裕そうな表情に見える。
誰でもいいから援護に来てくれないだろうかと何度も心の中で願う。
「オッド様!こちらの対処は終わりました!」
まさかのタイミングで現れたプハンエ。
プハンエには2人もつけていたのに倒されてしまったのか。
実力は確かにあると思っていたがここまで強いとは予想外だった。
プハンエはオッドの少し後ろを位置取り援護に入る。
ただでさえ状況はよくないというのに余計に悪化してしまう。
俺達はこのままオッドを倒すことはできるのだろうか。
不安と絶望が脳裏を支配したまま戦いは続く。
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