第058話 勝負師の勘
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何が起こったのか。
それを問いたださない訳にはいかなかった。
あれだけの騒ぎで注目を集めてしまい、オッドにも要注意人物として警戒されているだろう。
もしも、記憶を取り戻して覚醒者になっているのだとしたら尚更目立つ行動は避けてほしかった。
「どうしてあんな目立つ行動を取った。」
「なぜ?そんなの簡単な話よ。目立った行動を取れば統括している魔族を誘き寄せることができるでしょ?」
「それはそうかもしれないですけどね。あまりに危険すぎますよ。今回は無事に終わりましたけど、何かあったからじゃ遅いですからね。」
「結果が全てよ。何も無かったじゃない。それでいいじゃないの。」
今回は何もなかった。
結果だけ見ればそう見える。
しかし、今後も似たような行動を取る場合にリスクが付き纏ってくる。
成功体験ばかりに味をしめて欲しくないのはそれがあるからである。
「まぁ、今回はいいんじゃないですか?終わってしまったことですし、これ以上責めてもなにも始まらないですよ!」
清水が口論を中断するように言葉を発する。
清水の意見も確かにある。
結局は、終わったことで無事に何もなく帰れた。
それだけでも大きな功績として讃えることができる。
しかし、俺や上野、大城が懸念しているのはそこではない。
まだ、他のメンバーにはバレていないが恐らく宮武は覚醒している可能性が高い。
もしも、そうであるならこんなにも堂々と実力を発揮するのはどんな理由があるのだろう。
「ここでは一旦話を切り上げよう。あとで、宮武を呼んで個別で話を聞けば良い。」
「そうだな。これ以上は、俺達が必要以上に責めているようにみえる。」
話は自然な形で切り上げられて、いつものように全員で食事のついでに会議をする。
恐らく、どの勢力も次のギャンブルファイトで大きく動き出すだろう。
その時にどれほどの被害が出るのかは分からない。
オッドも最大限の警戒を始めているだろう。
だからこそ、こちらの問題は今のうちに解決しておいて明日へ望みたいのだ。
会議の中で集めた情報の交換を手短に済ませる。
俺達から話すことと言えば魔族の人数が分かったことくらいだろう。
情報をまとめて見たが、今日の時点で他に実りのある情報は誰も手に入れることが出来なかったらしい。
「話がある。時間はあるか宮武。」
「別にいいわよ。心当たりが無いわけじゃないし。」
他の人が帰った後に俺達は場所を移して今日起こった一連流れの真意を聞く。
周りから見れば男性3人が女性1人に詰め寄る酷い現場に見れるかもしれないが、今はそんなことはお構いなしだ。
「アタシの予想じゃ、記憶を取り戻したのは1人、2人かと思ったけど、どうやら山が外れたようね。」
ここにいるのが3人なので、俺も記憶を取り戻したのではないかと思ったようだ。
「俺はまだ記憶を取り戻していない。けど、2人のことは既に本人の口から聞いている。」
「あらー?アタシ達仲間だと思ってたのに隠されたんだ。他の人が知ったらどう思うかしら。」
「一ノ瀬さんが知ったのは偶然でしか無いですよ。それに僕達最初から仲間ごっこなんて望んで無いですよね?」
「ほんの前までは良い子ちゃんだったのに急に悪ぶっちゃうのね。そういうところ、子供っぽくて好きよ。」
まともな会話をしようとしてものらりくらりと道筋をズラされる。
そんな状態に痺れを切らした大城が直接的な質問を問いかける。
「記憶を取り戻したということで間違いないんだな。そして、お前の犯した罪は賭博。生まれた国が違うなら犯罪にすら問われてなかっただろうな。」
「分かってるならわざわざ聞かなくてもいいじゃない。意地が悪いわね。全部正解。確か"不敗の勝負師"って呼ばれてたかしら。」
不敗の勝負師。
ギャンブルにおいて負けないというのは不可能に近い。
それを実現させていたとするなら相当な実力を有しているのは間違いない。
更に覚醒者としてのスキルを入手していたとするなら、半数近い人間が強力な戦力になっていることになる。
「大城、上野、宮武。俺はまだ3人が協力してくれるかどうか信じている訳ではない。」
「なら、疑ったまま魔王討伐を進めていくのか?確実にその疑心感が足を引っ張ることになるぞ。」
「勝手に仲間割れ始めないでよ。アタシのことを掘り下げるのが先でしょ!」
もはや宮武のことなどどうでも良くなっている。
覚醒者の真意、これを知ることができなければ先に進めないのは俺が疑い深いからだろうか。
「なら、ありますよね確かめる方法が。使えばいいじゃないですか真偽の審判を。」
ここに来て多く活用している真偽の審判。
それほどの活用価値があるのは確かだ。
「ここにいる3人は元いた世界に帰ると言う方針で間違いないんだな。」
それを全員が頷いて返す。
真偽の審判にも反応はないことから信じるしかないのだろう。
「なら、真偽の審判無しで答えてくれ。お前らの中に正義はあるのか。いや、俺達は心の底から悪だったのか。」
「悪か正義か。それを知って何になる。人によって変わる価値を問うな。」
「そうですね。それは、結局自分に犯した罪があることが怖いだけですよね。」
「当たり前だ。正常な人間が犯罪者かもしれないと思いながら過ごして正常に生きれるわけがないだろ。」
「何言ってるのよ。生きてる人間に正常な奴なんていないわよ。」
「そうだとしても正常でありたいと思うのは普通のことだろ。」
「アタシは記憶を取り戻した時とその前とではあまり変わってないわよ。強いているならギャンブルの知識が増えたことくらい。」
その情報は意外だ。
大城も上野も覚醒した時の表情は普段からは想像できないようなものだった。
恐らく、普段は皮を被って生活していたという証なのではないだろうか。
逆に罪の意識がないのか、それとも自分の犯罪を広めたいのかわからないが普段と変わらずに過ごしていた宮武のような人間は記憶を取り戻す前と後ではそれほど変わりがないのだろうか。
「てか、こんな話はどうでもよくて、今はオッドをどうするかの話をするべきなんじゃないの?」
「ここの4人だけで話し合って良いものじゃないだろ。他の3人にも共有する必要がある。」
「大城の言うことも一理あるけど、たぶんアタシが1人でなんとかできるわよ。」
「直接対決でもするつもりですか?いくら覚醒者のスキルがあるからとはいえ魔族相手に勝てるとは思えませんけど。」
上野が言ったように魔族に勝つのは難しい。
今の状態では誰もオッドに勝つことはできないだろう。
だから、プハンエやリリスの派閥と協力して倒す計画を立てる必要がある。
「ならこうしましょうよ。アタシは1人で動く。あんた達はあんた達で勝手に動く。そして、勝った方が100万ゴールド払うってことで。」
今の状態の宮武を1人にするのはデメリットが大きいと言える。
もしも、何か裏切ったり足を引っ張るような行動をされたら困る。
「流石に1人でもダメだ。俺も監視として同行しよう。」
大城が宮武の監視役を申し出る。
この短い時間で宮武と大城が手を組んで何か企んでいるとは考えにくいし、何より真偽の審判の結果を信じたい。
事が動くのはもうすぐ。
その中で1番良い結果を残せるのは誰なのか。
きっと明日は、このカジノ史上最も大きなギャンブルが起ころうとしていた。
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