第056話 情報屋とプハンエ
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オッドがこのカジノ全体を監視しているのだと動き辛くなるが、今回はたまたまだったと思いたい。
3人でまずは酒場に潜入して情報を集めることにした。
アルコールを摂取している人間は正常な判断ができなくなり、口が軽くなってしまうと思ったからだ。
「お兄さん達、少しお時間よろしいですか。」
「なんだテメェーら。俺達は見せもんじゃねーぞ。こっちは負けてイライラしてんだから話かけるんじゃねーよ。」
「今日の食事代はいくらくらいになりそうですか?」
「飯代だと。まぁ、ヤケ酒しちまったから全部で2万ゴールドってところか。ちょっとここは安くていいぜ。」
その言葉を聞くとアイテムバッグから5万ゴールドを取り出す上野。
いつの間にかアイテムバッグを入手していたことにも驚きだが、ここで自腹の5万を払うのにも驚きだ。
情報を持っている確証もなければ、嘘の情報を言う可能性もある。
「真偽の審判頼みましたよ。ここからは僕と大城さんの交渉に賭けていれば良いですから。」
真偽の審判があれば確かに情報の信憑性が増す。
それと俺としてはこんなところで使って何かあったら困るとも思ったが、それは心配のしすぎだろう。
使用方法も理解しておく必要があるし、ここは試しに使うか。
「この5万で聞きたい話があるのですけど良いですか?」
「お金に困っているのは、理解している。金を受け取って簡単な質問に答えてくれればいい。」
「なんだそういうことかよ!それなら全然いいぜ!早く言ってくれれば歓迎ムードで迎えたのによ。」
「魔族とこの国で会ったことはありますか。」
シンプルな質問。はいかいいえで答えられるほどシンプルだが、返答次第ではこの国で魔族の情報が出回っているかそれとも何者かによって禁制されているのかを知ることができる。
「魔族か。噂程度には聞いたことがあるけど実際に会ったことはねぇーな。」
こちらに情報の真偽を求めてくるが真偽の審判も真実だと告げているので、軽く頷く。
簡単には姿を現さないのは、当たり前のことか。
「噂というのはどんな物だ。些細なことで良いから教えてほしい。」
「俺達が聞いたことあるのは、ある程度下の階層に進めるようになると魔族が当たり前のようにいるとか。ギャンブルファイトで勝ち続ければ会えるとか。一部噂では隣にいる人間が魔族かもしれないとか。」
噂になっているのものの大半が真実だろう。
酒場にいる一般人がそれを知っているぐらいで、簡単に話始めたということはそこまで抑制はされていないのだろう。
目の前のやつは接触していなかったが他の人間なら会ったことがある人間がいてもおかしくない。
他の奴にも声を掛けてみるのもいいだろう。
「会ったことのある人間は知り合いにいないのか。」
「いないな。あくまでも噂話の領域を出ないって感じだな。」
その質問を聞いた途端に真偽の審判を揺れる。
嘘をついた場合はこうやって揺れ始めるのか。
俺は咄嗟に大城にサインを送る。
嘘をついていると分からないと高を括ったのだろうが、残念だったな。
「おい。こっちは金を払っているんだ。本当の情報を話してもらわないと困るな。」
「なんのことだかさっぱりわからないな。それともいちゃもん付けようってのか。やめだ、やめ。」
嘘をついたことがバレたことに焦りを覚えているのか、ゴールドを回収してこの場から離れようとする。
でも、相手が悪かった。
今まで多くの逃走する犯人に出会って来たのか分かるほど、スムーズに身柄を拘束する。
これ以上大きな音を立てて目立たせないように場所を移す。
他の仲間もあの一瞬の出来事を見て黙って俺達の後ろをついてくる。
「知り合いにいるんだな。魔族と会った人間が。」
「あぁ。いるよ、いる。けどよ、そいつとコンタクトを取るのは難しいと思うぜ。」
「それはなんでだ。知り合いなら連絡ぐらいは取れるだろ。連絡ぐらいしてくれればあとはこちらから話をする。」
「知り合いなんだけど、あっちは知り合いと思っていないというか。」
「それ何かのクイズでしょうか。って、ヒントが少なくて何もわかりませんが。」
「情報屋って名乗ってる奴だ。あいつが1度魔族にあったと電話で話していたんだよ。このカジノで情報屋を知らない奴はいないし、俺も電話したことあるから知り合いみたいなもんだろ?」
情報屋か。忘れていたが、彼女に連絡すれば最初からスムーズにことが進んでいたのではないだろうか。
魔族の討伐に協力している俺らが頼めば快く情報を渡してくれるはずだしな。
少し大城に怯えている酒呑み達を解放してから情報屋の番号に電話を掛ける。
コールがワンコール鳴っただけで、電話が繋がる。
「一ノ瀬だ。情報について教えてほしいことがある。」
「君か。まさか、仕事用の魔導電話に連絡してくるとはね。で、なんの情報が欲しいんだい?」
「お前が魔族と接触している情報をもらってな。このカジノにいる魔族の情報をあるだけ欲しい。」
「別に隠していた訳ではないけどね。でも、魔族の情報は簡単には売れないね。それなりの報酬がないと。」
「どういうことだ。オッドの討伐に協力してやるんだから金は必要ないだろ。」
「それはプハンエの話だよね。私は、あくまでもプハンエに協力しているだけ。情報を売る時はお金は貰う。」
その電話に反応して真偽の審判が反応する。
反応したということは、嘘をついているということだ。
対面でも反応するとは思っていなかったがこれはラッキーだ。
「嘘をついているだろ。」
「なんでそう思うんだい。私の真偽を確かめる方法は何もないはず。」
「魔導具とだけ言っておこう。それもかなりの優れものだ。」
「そうか。君達はここに来る前にティキアにいたんだし真偽の審判ぐらい持っていても不思議ではないか。」
「そこまで把握しているなら話は早い。お前は、プハンエにただ協力している訳ではない。お前の自分の目的があって利害の一致でプハンエに協力しているだろ。」
「そうだね。」
静かに返事をした。
俺が何を言うのかを静かに聞いているようだ。
「なら、金を要求せずに情報を渡せ。このカジノには今どれほどの魔族がいる。」
「・・・。仕方ないその質問に答えてあげよう。オッド、リリスまでは知っているんだね。他にも下級の魔族が50人、中級魔族が15人。そして、オッドやリリス、イラに相当する上級魔族にプハンエと私だ。」
魔族にもランクがあるのか。
下級と中級で合わせて65人もいるという驚き。カジノ内でどこかですれ違っていたとしてもおかしくない。
いや、普通に考えればオッドが職員として配置していると考えていいだろう。
そして、1番重要なのは最後の言葉だ。
「プハンエと情報屋。お前らが魔族だったとは。」
「別に必要な情報じゃないから。」
「お前らが魔族なら俺達が協力する理由もなくなる。そうは考えないのか。」
「結局はオッドを倒さないとこのカジノからは出られない。君達の顔を知れ渡っているからね。」
黙って協力しろと言うことだろう。
3つの魔族の勢力がこのカジノでぶつかり合おうとしている。
1番不利なのはオッドだろう。2つの勢力から敵対視されているのは苦戦を強いられているはずだ。
裏を返せば、それほどの力がオッド1人にあると言うことでもある。
小国とは言え国を1人で作りあげたというのもうなづける。
激化する魔族の抗争に見て、このカジノに足を踏み入れたのは偶然だったのか、それとも神のイタズラだったかを考えていた。
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