第055話 オッド登場
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昨日の記憶が途中から何も無くなった。
食事が進むと同時に酒の飲むスピードが進んでいってしまい、気付いたらこうなっていた。
上野にどうなったのかを聞いてみたが、詳しくは聞かないでくれと何度も言われてしまった。
「今日はギャンブルファイト休みだからな。こっちで動きたいように動けるぞ。」
「どうしますか。とりあえず、どっか燃やしますか?」
「隣に大城がいるんだから発言に気を付けた方がいいんじゃないか。」
「冗談に決まってるじゃないですか。それに覚醒者なんだから問題ないですよ。」
「2人で密会は終わったか。そろそろ俺達も本当のことを話合おう。」
このメンバーで動くことを提案してきたのは大城だ。
どのタイミングかは分からないが上野の変化に気付いたのかもしれない。
そこは流石は警察の嗅覚といったところだと感心する。
「覚醒したことについてですか。それなら僕もしましたよ。ティキアを出発する日でしたね。」
「認めるのが早いんだな。俺はてっきり隠すかと思ったけど。」
「隠していた訳じゃないですけどね。それよりも僕達結構な犯罪者だったみたいですね。あれを鮮明に思い出した瞬間はちょっと興奮しましたよ。」
「気持ちは理解できる部分もあるが、こっちの世界では記憶を取り戻した瞬間に恩恵があるのが大きい。」
「スキルのことか。あれは多分俺にもあるんだろうな。今は鑑定しても分からないようになっているけど。」
「俺が聞きたいのは、ここにいる覚醒者でない人間の一ノ瀬についてだ。」
大城が疑問に思っているのは、俺と上野がよく行動を共にしていることについてだろう。
俺も理由は分からないけど互いに益が生まれているからだと勝手に思っている。
「仲間じゃないですか僕達。それとも何か僕が余計なことを考えているとでも。」
「そうじゃない。単なる疑問だ。俺は、一ノ瀬だろうと上野だろうとそれが信用にたるとは思えん。そう言う生き方を今までにしてきたからな。」
「そう言うことですか。それで言うなら僕は一ノ瀬さんを信用しているとかそういうことではありませんよ。もしかしたら、魔族に売ったり、急に暴露したりする可能性も考慮してます。」
別に敵だと思ってないからそんなことをする必要性もないのだけど、どうやら正義の心を持った俺が何かすると思っているらしい。
ここの話で重要なのは、俺が覚醒者を仲間だと思っているか否か。
それが1番大城は気になっているのだろう。
「僕が一ノ瀬さんと行動している理由は1つ。興味が1番湧く人間だからですよ。僕の求めていた景色は彼の近くにあるはずなんだと。」
「俺の近くには何もないし、危険なことに巻き込むよう誘導しているならやめてくれ。」
「安心してくださいよ。きっと僕がなにもしなくても危険な方に行っちゃいますから。」
「それと大城。お前には役割がある。勝手に討伐をやめると言い出させれても困るからな。」
「別に俺は魔王討伐をやめるわけではない。ただ、お前を利用できるかどうか。それを聞きたかった。俺の判断基準はそこから出ることはない。」
答えがどうだったのかは言うことは無かったが納得はしたらしい。
大城はティキアのあたりから単独行動は増えてきた。
単独行動は情報の共有が難しくなるので、俺達のどちらかでいいから頼ってくるようになってほしい。
「面白い話してるじゃんね。俺も混ぜてよ。」
背後に感じた強力な殺気を感じて振り返る。
そこに立っているのはニコニコと笑顔を振り撒く人の形をしたなにか。
「俺の国で勝手に暴れてもらったら困るし、死んでもらうか。」
「待てよ。別にそんな話し合いをしているわけじゃない。思い出話をしていただけだ。」
「俺にそんな嘘が通用すると思ってる感じ?無理無理無理ー!!!知ってるんだよ、お前らが勇者してるってことくらい。」
「オッドってのはお前のことか。」
「あれま。俺のことを話ちゃったバカがいるみたいだな。お前らのこと許してやるから、そいつ代わりに教えろよ。」
なんでここにオッドがいるのか。
そして、なぜ接触をしようとしてきたのか。
理由は分からないが勇者と知っていて好意的なはずがないだろう。
ここはオッドの名を出したプハンエの情報を出した方が俺達は助かる可能性がある。
「お前は有名人だからな。知っている人間は山ほどいるんじゃないか?」
「確かにそうだな。なら、この国にいる人間を今から全部殺していくか。」
「わかるように殺気を出してますね。どうやっても僕達のことを仕留めたいらしいですね。どうしますか。今なら覚醒者2人。倒せる可能性もありますよ。」
「お前らが何人束になろうと勝てねぇーよ。でもよぉー、この国は金、金、金って飽き飽きしてたんだ。魔王様の命令だから統括しないといけないけどさ。ストレス溜まりまくりだから、サンドバッグ役よろしくな!」
「待て待て。ここでこいつと戦っても勝てないぞ。相手は魔族。力の差は歴然だろ。」
「へぇー。俺のこと褒めてくれんだ。でも、変わんないねぇー。つまんないから殴る。シンプルな原理だ。」
オッドの恐ろしさは欲望への実現。
それを叶えるためには他者の利害など気にならないのだろう。
イラが倒したいと思っているのは恐らくこのオッドで間違いない。
「・・・情報だ。情報で今は見逃してくれないだろうか。」
「俺に交渉とかおもしれーな。情報にもよるが考えてやってもいいかもな。」
「イラという魔族を知っているか。」
「イラ・ウォント。いつ聞いても腹が立つ名前だな。んで、その名を出したからにはおもしれぇー話聞かせてくれんだろうな。」
対立関係にあることもここで確定したな。
ここでイラの情報を売れば簡単に抜け出すことは出来るかもしれない。
しかし、情報を聞き出した後に俺らを殺す可能性も0じゃない。
「イラは・・・」
俺が情報を売る直前に俺達の周りに何か煙のようなものが立ちこめる。
そして、俺の体は透明へと変化した。
オッドは一瞬の出来事だったにも関わらず俺達を逃がさないようにと俺が消える前にいた場所に目掛けて攻撃を仕掛ける。
しかし、既にその場から離脱しているので死ぬことは無かった。
間一髪の脱出に肝を冷やしてしまう。今後、いつオッドが襲ってきてもおかしくないな。
「で、助けてくれたのか勝手に情報を喋って欲しく無かったのかどっちだ?リリス。」
「そのどちらともです。今のオッドは何か別の要因でイラついているようなので、変な行動をしないか監視していました。そしたら、あなた方と接触するのを見かけた次第です。」
「見てたならもう少し早く助けろよ。」
「一ノ瀬。誰と喋っているんだ。それにあの煙は。」
「どうやらお仲間さんが混乱しているようですね。早く事情を説明した方がいいですよ。あぁ、それと簡単に私達の情報は売らないでもらって良いですか。」
「それならちゃんと見張ってろ。」
そう言い残した言葉を聞いていたのかどうかは分からない。
オッドからもリリスからも監視されている可能性があるので今後は非常に動きにくくなってしまったな。
「魔族同士の対立がある。それを利用してさっきの場面を乗り切ろうとしたら、監視されていた。」
「なんか魔族の登場でより複雑になって来ましたね。」
「俺もまだ処理が追いついていない。しかし、オッドは余裕がない状況だということが知れた。それだけでも大きな進捗だと思おう。」
このあともオッドに気をつけながら俺達は捜査を続けた。
今後の俺達のためにも。
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