第052話 十傑と魔族
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「最後はお前だぞプハンエ。」
「分かってるって。まさか、ここでお前ら2人とも勝ち上がるとは思ってなかったんだ。緊張してきた。」
「おい。人を駒として使っておいて勝ったら弱気なんて話があるか。この使用料は高くつくぞ。」
「俺は金なんて持ってない。だから、力を与えただろ。」
「自分の計画に使う力をカウントするな。ま、でも安心しろ。知識だ知識。それを少し共有してくれればいい。」
「何言ってんだ!」
「ほら、行ってこい。どうやら相手は激怒しているようだぞ。」
既にゲートの方に向かっているクロン。
何度もゲートの扉を蹴っている。
十傑の中でもかなり気性の荒い人間に喧嘩を売ったのだ。これくらいのことは想定できただろう。
残る8人のうち、俺とプハンエで2人。相手はクロンのみだ。
新しく十傑の座を手に入れた上野がいることを考えると3人。
さらに、もう1人こちら側に新しい十傑を用意しておけば、ほぼ半分以上を占めることになる。
「俺が勝たないと話にならないな。クロンが相手になのはつれぇーけど。」
愚痴を言いながらもゲートの方へ向かうプハンエ。
俺が気になっているのは他の十傑の反応だ。
普通であるならば、この異常な状態に動揺の色を見せてもおかしくはない。
それにも関わらず全く変化がないのは知っているからなのか興味がないからなのか。
プハンエの試合にも興味があるけど今はそれよりも十傑のことを調べよう。
こいつらを調べることで魔族との繋がりを持っているやつを見つけられるかもしれない。
プハンエから欲しい情報も魔族のことだしな。
今は、それ関連の情報が少しでもあれば調査したい。
「少し。よろしいですか。」
俺の背後から何者かの声が聞こえる。
しかし、さっきまではそこに誰もいなかったはず。
そして、今振り向いても姿どころか気配すら見えない。
「魅了の隠匿者ってのはこういうことか。」
「あら、殿方に覚えていただけるなんて感激ですね。」
「こっちも十傑に接触を図ろうと思っていたところだからな。それで話があるなら姿を見せて会話をしようとは思わないのか?」
「レディーの素顔というのは見えない方がミステリアスで美しいのですよ。」
「あっそ。要件はなんだ?」
「十傑に興味があると言いながらも随分素っ気ない返事をするんですね。まぁ、いいですけど。あなたが探している情報とあなた自身を交換しては見ませんか?」
俺の探している情報。
今は魔族のことだが、これを知っているのは限られた人物のみ。
ましてや、会話すらしたことのない人間がそれを知っているとは思えない。
「どんな情報を出してくるのかは知らないが俺自身を交換というのには引っかかるな。」
「あなたに秘められた力。これが我々にとって重要なものになるのです。」
「なんの話をしているのか本当に理解できな。」
「最初の試合。あなたの仲間が使った能力ですよ。ハクファンはユニークスキルだと思っているようですが、全くの別物。魔族が作ると言われる負の感情からできたユニークスキルの上位互換に当たるなにかです。」
「それだったら、俺じゃなくて上野に頼めばいいんじゃないか?」
「イラ様。その名前を出したらご協力いただけますか。」
イラ。ティキアであった初めての魔族の名だ。
どれほどの実力だったのかも未知数だったのだが、様と言われている時点で結構上のクラスの魔族だった可能性があるな。
「私は、イラ様の家来の魔族リリス。ここであなたの力を持って倒して欲しい魔族がいるのです。」
イラが俺の名前を出したのか。それともこいつの勝手な判断か。
それは全く分からないが、1つ言えることがある。
「俺はまだあの力を使えないぞ。使えるようになるまでに条件があるからな。」
「えっ。そうなのですか。」
「こちらから詳しい情報を提供してやる義理はないがそれは本当だ。」
「であれば、交渉は成立しませんね。今のことも忘れてください。」
忘れてくださいと言っても難しい話だ。
現に情報として魔族間での敵対があることをでてしまっている。
そして、ティキアでイラが言っていた魔族は間違いなくそいつだ。
「名前だけでも言ってくれていいんだぞ。俺がそいつを気まぐれで倒すかもしれない。」
「忘れてくださいと言ったはずです。それに普通の状態では勝てるわけがありませんから。」
そのまま言いたいことだけ言って会話がなくなる。
リリスはそのままどこかへ消えたのだろう。
自分から探す手間もなく魔族の情報が出てきたのは大きい。
そして、イラと関係しているであろう魔族が十傑の中にいるということも。
ふとモニターを見るとプハンエがクロンに押されている。
プハンエが負けるようなことがあれば、十傑の改革も始まらないだろう。
そこは勝つことを信じて他の情報を集めたい。
今度はたまたま目についたドウイウに話しかけることにした。
すると俺を見かけてドウイウも近付いてくる。
なにか話したいことでもあったのだろうか。
「おいお前。その腰につけてるの進化刀だろ。」
興味があったのは俺の進化刀だったのか。
確か武器破壊の専門家という二つ名だったはずだけど、武器には人一倍興味があるのだろう。
いや、この進化刀は色々な人間から言及されてきたということは俺の知らないだけで有名なのか。
「アロットで買ったんだ。」
「進化刀を買った。にわかには信じられないな。それにしても、まだ二式じゃねぇーか。まだまだ使い始めか。」
「この刀について詳しそうだな。ついでに色々と教えてくれてもいいぞ。」
そういうと少し黙ったが、どうしても自分の知識を自慢するのが止められなかったのかペラペラと語りだした。
「その刀は魔族が恐れた兵器。そして、魔王を破らんとする勇者が使っていた刀だ。」
「それであるならば、魔族が血眼になって探しているんじゃないか?」
「探しているだろうな。ここでその刀を見せて歩いていたら殺されることもあるだろう。」
「魔族がいたる地方で発見されているが目的はなんだ。」
「それを言えば殺される。ここで生きる者の守らないといけない絶対的なルールだ。」
「ここで1番偉い魔族の名ぐらいは言えるだろ。」
「ベル。ベル・ホートン。上位魔族の中でも最も金に飢えた魔族だ。」
ここにきてやっと知ることのできた魔族の名。
俺はここに滞在している間にそいつをどうするか決めなければいけない。
放置しておけばいつか脅威になることは間違いない。
しかし、簡単に倒すというのも難しい話になりそうだ。
これだけの情報を手に入れて次はどうしようかと悩んでいるうちにプハンエの試合は終わったようだ。
結果はプハンエが僅差で勝利したらしい。
こっちらに戻ってくるとやれ疲れただのなんだのと文句を言っている。
どこかへ消えていた上野とも合流し今後のことを話合う。
「で、お前の計画には十分と言っていいぐらい付き合ったぞ。」
「まだだ。最後の計画として、俺が十傑を掌握しないといけない。」
「それはなぜですか?十傑といっても入れ替わりの激しい団体。そこまで固執する意味がわかりません。」
「5年間。その期間、十傑を続けられたやつは魔族にどんな願いも叶えてもらえる。だから、俺は。」
そんなルールが設けられているなんて初耳だったな。
だとしても、そこまで必死になるなんて余程の理由があるのだろう。
プハンエの真意。
それに1つ近づいて、また1つ遠のいた。
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