第041話 報告
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「かなり早かったな。情報はしっかりととって来たのか?」
「それはひどいですよ!大城さん。1日で情報を見つけ出しかもしれないんですから喜びましょうよ!」
「僕も清水さんの意見に賛成です。普通に帰ってきただけでも十分な成果です。」
「で、どうなのよ結局のところ。」
感動的な生還。
という訳にはいかないらしい。
宮武や大城からは正確な情報だけを渡してくれればいいというのが伝わってくる。
そう思うのは不思議ではないので、勿体ぶらずに聞いた情報を伝える。
「まず、どこから話すべきか。犯人のことから行こう。まず、騎士団側は2日後に上野、お前を連続放火魔の犯人として連行することを決めているらしい。」
「僕は、、、。」
「違うと言いたいんだろ。実際に俺は1回目も実行犯を名乗る者と会っている。連続放火魔じゃないのは確かだ。」
「じゃあ、そいつがどっちの放火も!」
俺は首を振った。
しかし、上野はどうしてもそれが納得できないようだ。
それもそのはず、1回目の犯人が違うと言っても自分が濡れ衣を着せようとしているとしか考えられない。
「別に犯人のことを庇うつもりはないがあれは同一人物の犯行じゃない可能性もある。」
「・・・その結論を出すには早すぎるということですね。納得出来ませんが納得するしかないです。可能性を鑑みないで決めるのは愚かな行為だと思うので。」
「それと街の状況に関する情報だが、騎士団は近々金目的で隣国へ攻め入るらしい。だから、軍事投資などで街の徴収は厳しく不景気に陥っているらしい。」
「だから、武器屋なんかは騎士団との取引をしていたのか。」
「その情報はあまり私達と関係なさそうね。がっかり。」
全員なにかあると思っていたようだが、結局は戦争のためという最もらしい理由があった。
少し財政的には厳しくなると思うが、どの国にいようが戦争を起こそうとすればなりうる状況だ。
騎士団が私的に徴収した金を使い込んでいるという訳ではないようだ。
「あとは、秘宝ですね。私と清水さん、井村さんはそれぞれ秘宝の情報を集めようとしましたが、収穫はゼロです。」
そっちでも色々と動いてくれていたようだ。
言ってないだけで火事についても調査を進めてくれていたのだろう。
結果は実らなかったようだが、こちらで確信的な情報を得たので問題はない。
「その前に聞かせろレイン。お前は何者で何が目的で俺達に付いて来ている。」
「その言葉の意味が理解できない。質問を質問を返すが、私を何者だと思っている。」
「レイン。お前の姿は、見える人間と見えない人間がいる。だから、聞かせろ。真偽の審判を盗まれたのは偶然か。」
「その答えが知りたいなら、・・・必然だな。」
その言葉を聞いて俺以外の6人がざわつき出す。
あれが必然でないとするなら、何か目的が会って近づいてきた。
冒険者の目の前にわざとペンダントを落として拾わせて姿を見せて強奪。
それを俺に見せつけることでここまでの接触をうまく運んだ。
そう思うと辻褄が合うことは多い。
「目的は分からない。それであれば直接本人に渡せば終わる話だろ。」
大城が俺の横でそう言った。俺もその意見に同感だ。
回りくどいせずに直接渡してきたほうがもっと単純明快な結末が待っていただろう。
「イチノセもそう思うか?」
「嘘偽りなく話すならそうだ。無駄な手順にしか見えないからな。」
「その様子だと結局最後まで古代語は読めなかったようだね。私の親愛なる魔道具を見つけたあなたへ。破滅か救済かどちらの結末を望むか見届けることにする。現れた指導者は謎を与え、その謎を読み取る者にのみ魔道具を与えるとする。君が祠に落ちた時に書かれていた古代語の訳さ。」
「あれが古代の魔女を祀る祠だったのか。そして、指導者の役目を与えられたのがレインで挑戦者が俺という訳だったのか。」
「ここまで辿り着くのに時間は掛かったようだけど、これが秘宝だと見破り、それを君の前に運んだのが私だということまでは当てた君にあげることにしよう。」
「真偽の審判が破壊を招くというのは本当なのか。」
「もう何千年も使った人を見たことないから忘れてしまったよ。ただ、古代の魔女がいうにはどんなものでも使い方を変えれば武器になる。そう言ってたね。」
俺の手の上に置かれるペンダント。
役目を終えたレインはこの場から消えていくのがわかる。
まだ聞きたい情報は山ほどあるが仕方がない。
「消えたな。」
「消えましたね。」
全員がこの状況を飲み込むのに時間がかかる。
手元にある秘宝と呼ばれる真偽の審判だけが、事態を物語っている。
「まぁ、よく分からないけど秘宝は手に入ったんだし、これで良いじゃない。次行きましょうよ。次。」
「どの街にするかは話し合って決めるぞ。」
「そうですね。このままだと騎士団に僕が捕まってしまうので今のうちにこの街から去るのも手ですね。」
俺達は急に気を取り直して次の目的地を決める。
あの状況に囚われていては先には進めない。
だがら、無理矢理にでも流れを変えた宮武には感謝ばかりだ。
「何を目的にするかだよね。」
「お金よお金!やっぱりそれが足りないわ。」
「この街でそれぞれ十分な武器を揃えたみたいだからな。お金はかなり使っただろう。」
「どこか依頼が簡単で報酬が良い街ってことですか?」
「お金稼ぐ方法は何も1つじゃないわよ。あるんでしょ、金の街が。」
宮武の言っているのは、先ほど話で出たティキア騎士団が攻め込もうとしていたニペガピのことを言っているのだろう。お金になりそうな話はしっかり記憶しているらしい。
「ニペガピのことを言っているなら当てにしな方が良い。あれは賭博の街らしい。だから、金があるんだ。」
「ほう。ギャンブル。ワシは多少の心得があるよ。ラスベガスに行ったことも何回かあるし。」
「アタシも旅行で行ったことあるわよ。」
「これは、趣味や遊びとは違う。確実に増やさないと意味がないんだ。地道に稼ぐ以外の選択肢はないだろう。」
「別にギャンブルで増やすって言ってるんじゃないわよ。金があるなら依頼の報酬も割が良い可能性が高いし、もしかすると勇者ということを話せば少しは融通を聞かせてくれるかもしれないじゃない。」
「それならやはり多数決で決めるべきですね。1人でも嫌な人間がいたら、その人の提案を聞いて再度検討しましょう。」
挙げられたのは7人全員分の手。
焦る必要はないと思っているのでどこでも良かったが、他の意見を考えるのが面倒だし手を挙げておいた。
「これで全会一致ですね。ニペガピへの出発は2日後にしましょう。」
「ティキア騎士団が動き出す日だな。2日後の早朝からこの街を出れば犯人として晒されることもないだろう。」
「なので、明日の1日で準備を終わらせておいてください。」
この街で出来ることは限られているが、俺は鍛治屋で依頼したグローブをまさ受け取っていないことに気がついたので明日受け取りに行こう。
ドラゴンの装備なので少し期待が高まっている。
今日の報告会は一旦解散となる。
それぞれが部屋に戻り寝る者や風呂に入る者などそれぞれだ。
俺は1人の人物から呼び出されていた。
「俺に何か用だったのか?」
「えぇ。一ノ瀬さん。貴方も僕が犯人だと思っていますか?」
聞きたいのはそのことだったのか。
皆が疑いの目を持たれているとしたら、良い気分はしないだろう。
だから、こそ不安なのか。それとも、過ちを犯した自分に戻るのが怖いのか。
「上野。お前は、大城が怖いか?憎いか?俺は、負の感情を抱かなかった。ここいる7人全員が過去に犯罪を犯している。その事実は、いくらこの世界で足掻いても消えることはない。お前が求める正義はなんだ。そして、憎むべき悪はなんだ。」
「・・・それは。」
「お前が仮に犯人だったとしても、俺は別に驚かない。きっと俺も同じ側の人間だからな。」
俺達の正体。
それは本人達ですら知り得ない。
正体を知った先にあるものが、悲しい結末でないことを願うばかりだ。
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