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第040話 勝った先には

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

「かかってきなさいよ。先手くらい譲ってあげる。」


それが慢心か、それとも罠なのか。

全く悟らせないような表情。


こちらから攻めるにしても隙は見えてこない。


「先手を譲るっていう感じはしないんだが、もっと気楽に構えてくれた方が嬉しいのだけど。」


「それは出来ない相談ね。」


会話をすることで油断を誘おうかと思ったが、そんな安易な思案に引っかかるほど相手も考えなしではない。

俺は静かに袖からポルタガを用意する。


久しぶりの【投擲】だが、スキルの補正が付いているので命中が不安定になることはないだろう。


「まずは、これを挨拶代わりにさせてもらうか。【投擲】」


飛ばしたダガーを追う形で、黒鉄も手に持つ。

防いだ瞬間にできた隙に攻撃を与える。

これで勝てると踏んでいる。


「魂胆が見え見えよ。私と剣の勝負で勝てると思っているの?」


そう言いながらポルタガを避けてこちらの攻撃の対処をしてくる。

重なり合う剣からは圧倒的な技量の差を感じる。


正面衝突していては勝ち目がないことは分かりきっている。

俺はその勢いに吹き飛ばされてしまい、地面に激しく打ち付けられる。


「力は見た目に反しているようだな。」


「これはスキルも上乗せになっているからよ。まぁ、スキル使わなくたって同じ結果だったけどね。」


この更に上に【魔法剣術】や【風魔法】なんかも控えている。

他にも効果の分からないスキルも多い。


戦って勝つ可能性の少ないのに意味があるのだろうか。

そもそも欲しい情報はイラの登場によって大体聞け出せた。

これ以上、戦う意味はあるのか。


「なんか色々考えすぎかもしれないな。これ以上考えることはやめた。」


「なんか知らないけど、そっちの顔つきの方が好印象ね。気取るのをやめたって感じがする。」


言葉はこれ以上いらない。

脳のリソースを最善の選択を選ぶために全て割く。


「会話もなしってことね。【魔法剣術】”風燕(かぜつばめ)”」


風魔法と剣術の複合スキルと見ていいだろう。

剣先から出る風魔法が見た目以上のリーチを生み出す。


かなり離れていたはずの頬を掠める。

だけど、俺も多少の攻撃は想定の範囲内。

臆することなく確実に距離を詰める。


1歩がこれほど遠く感じたのはいつぶりだろう。

この1歩がこれほど重く感じたのはいつぶりだろう。


でも、確実に俺は今楽しんでいる。


「あなた、こんな状況で笑顔が出るなんて相当なバトルジャンキーね。」


「そんな相手に剣を突きつけられる気分はどうだ?」


やっと届いたこの一撃は相手との距離を1センチに満たない距離にまで追い詰める。


俺は、この時初めて思い知ることになる。

力を身につけて来た事によって、どこかで慢心を生み、努力を怠っていたと。


世界はどうやら広いらしい。

俺よりも幼いであろう女性にそれを突きつけられた。


「本当に良い気分だわ。私が勝つのは!」


コンマ数秒しかなかったはずの時間で俺の攻撃をしゃがんで避けられる。

そして、避けた彼女の後ろには風で作られた球が2つ。


左右のどちらからも攻撃が来ても良いように防御の体制で備える。


「新しく見えた攻撃に反応しすぎよ。」


魔法が着弾しそうになった瞬間に彼女が限りなく体制を低くしたままこちらに攻撃を仕掛けて来た。

逆転の目を見出すにはあれしかないのだろう。


「あら?防御は諦めた?」


「【反撃】」


攻撃をわざわざもらう痛みを伴うそのスキルに、悶絶の表情を浮かべながらも攻撃を終え隙のできた彼女に文字通り反撃を喰らわせる。


反撃中はアドレナリンでなんとか行動ができていたが、今は自分の体がボロボロになっているのに気付く。


「痛いけど、あいつも立ってられないだろうな。これが本当の痛み分けってやつか。」


「なにゴチャゴチャ言ってるのよ。さっきの攻撃、もう1回やってきなさいよ。やり返してあげるから。」


彼女も自分の攻撃と同様かそれ以上の攻撃を受けてしまい立っているのもやっとのはずが、なんと立ち上がっている。

それも何事も無かったかのように平然と。


外傷は見受けられるところから考えるにあの謎のスキルの効果か。

まずいな。俺としてはあの反撃で確実に仕留め切るはずだったのに。


それよりも立っているのがやっとだ。

使えるモン全部使ったぞ。


いや、まだあれが残っているか。


「はぁああああ!!!」


こっちに向かって剣を持ち攻撃を仕掛けてくるウィリル。

今までの攻撃と違い隙だらけでキレもない。


しかし、俺がもう動けないことを悟っているのだろう。


「動けないみたねイチノセ。悪いけど私の勝ち。」


大きく振りかぶる剣。


「【土魔法】”マッドショット”!」


俺はまだ魔法が使えた勝つことは出来ないがこれくらいの悪あがきはさせてもらおう。


「お前の勝ちに泥を塗ってやった。スッキリしない勝ちを味わえよ。」


魔力が底を尽きた訳ではないはずなのに、それは地面に倒れ込み気絶した。


目が覚めると俺は医療室のベッドの上で目を覚ました。

横のベッドではウィリルが眠っているのが見える。


ここに運んだのがウィリルじゃないとすると誰なのだろうか。


「やっと目が覚めたみたいだな!音がするなぁとおもって外に出てみればお前ら2人が倒れ込んでたんだよ。」


俺達のことを見つけたのはどうやらマルスだったようだ。

ここまで運んだのもマルスだろう。


「ありがとうマルス。それにしても重く無かったか俺達2人を運ぶのは。」


「こう見ても鍛えてるからなこれくらいのことはどうってことないんだよ。」


力瘤を見せるような動きを見せながら自慢してくる。

普段は適当なやつかと思っていたが仲間思いな一面もあるようだ。


それに、俺は良いとしてもウィリルが他の団員に見つかるのは好ましくない。


もしかしたら、騎士団を辞めさせれる可能性もあったからな。


「てか、なんであそこで2人して倒れてたんだよ。何か侵入者がいるんじゃないか?」


「全くそんなことはない。たまたま特訓をしている最中に出会したから手合わせを申し出たんだ。」


「だからって、2人ともボロボロになるまで続けるなよな。」


「今度からはないように気をつけよう。」


口ではそう言ったが、俺に次はない。

この場でウィリルが目覚めるのを待って、起きた時にこの騎士団から立ち去ることを伝える。


秘宝のことや戦争を行おうとしていたこと、それに火事の犯人を上野と断定した事。


これだけの情報をまさか1日で手に入るなど思っていなかった。


今、ここで残り続けるメリットは少ないと判断するべきだ。

それだけではない。俺のことについて騎士団長にはバレている。

長くいることで退路を防がれる可能性が高い。


「あなたがここまで運んでくれたの?」


どうやらもう1人も起床したようだ。


「俺が運んだ訳じゃないマルスがここまで運んだみたいだ。」


「そうそう俺が運んだんだぜ!2人もいたけど軽々とね!」


「そう。ありがとう。ちょっとノセと2人で話したいから席を外してもらっても良いかしら。」


何かを感じ取ってこの場から離れてくれるマルス。

こういうところは空気が読めるやつで助かった。


「今回の勝負は引き分けってことで・・・」


「いや、俺の負けだ。だから、俺はここをやめる。」


「何言ってるの!私が引き分けって言ってるんだから。」


「言いたいことはそれだけか?なら、お前と関係なく俺は辞める。やるべきことは意外と早く終わったからな。」


「どういうこと?ちゃんと説明しなさいよ!」


「今度会った時は敵同士で会うことになるだろうな。」


ひどく傷付いた体を起こして俺は騎士団の敷地から立ち去った。


初日からイラと俺の2名が姿を消した。


俺は確信している。イラとはまた出会うことになりそうだ。


ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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