第033話 一致しない証言
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朝の街路は昨日の火事を感じさせないほどに賑やかなものになっている。
子供は無邪気に走り回り、大人達は立ち止まって楽しそうに雑談を。
それは、昨日火事があった近辺になっても変わることはない。
「奇妙ですね。まるで、何も無かったかのように人々が暮らしていますよ。」
「あぁ。おかしい以外の言葉が見当たらない。」
どうしていつもと変わらない日常が送れるのか。
俺達は不思議でならなかった。
普通であれば、昨日の事件を人々は噂し、恐怖し、心配する。
そして、自分に子供がいるのだとすれば、外出を控えさせことの真相が明らかになるのを待つのではないだろうか。
「あの、すみません。昨日、火事があったことはご存知ですよね。」
「そうね。民家で火事騒ぎがあったことは耳にしたわね。」
まるで他人事。
次は自分の家かもしれないという恐怖心を全く感じられない。
何か根拠のある理由で問題ないと判断しているのだろうか。
今思い出してみれば、最初の火事の時もそうだった。
火事が起こった瞬間はあれほどの大騒ぎになっていたのに、一夜経てば何事も無かったように生活を続けていた。
気付けるはずの違和感。それはここにいる誰もが気付くことが無かった。
そこで浮かび上がるのは、【洗脳】の可能性。
元いた世界ではこの街全部を一夜にして洗脳するなんてことは不可能だった。
しかし、今は違うスキルという俺達の常識を遥かに凌駕するものがある。
可能性の段階であっても視野に入れておいて損はないだろう。
「どうして、こんなに騒ぎになっていないんですかね。何か理由でもあるんでしょうか。」
「なに言ってんのよ!だって、ティキア騎士団がこの件については3日以内に対処するという通達を街中に出しているからに決まっているじゃない!」
「それはどういうことですか。」
「あら?聞いてないの?どうやら犯人に目星が付いているみたいよ。」
さっきの余裕はそのことを知っていたからなのか。
だとしても納得は出来ないな。
ティキア騎士団への異常な信頼。
それはこの街に来てから一切ブレないものを感じる。
地球でいう警察のような役割なのだろうか。
そう変換させると少しではあるが理解できる。
警察が犯人を特定したからあとは捕まえるだけだとテレビなんかで報道していたら安心感があるからな。
ありがとうございましたと言ってその場から一旦離れる上野と俺。
他のメンバーも今日は聞き取りに出掛けているようだ。
「でも、変ですよね。現場に残されていた犯人の証拠はごくわずか。そこから犯人を特定するのは、いくらなんでも無理があります。不謹慎かもしれませんが、証拠だけで犯人を特定するならもう何件か同様の事件が発生しない限りは。」
「それはこの人が大勢通る場で言うものじゃないな。さっきの感じからして、この街の住民とティキア騎士団は密接な関係にあると思って良いだろう。それなら、どこで誰が何を聞いていたとしても不思議ではないだろうな。」
そう聞いた上野の顔色があまり優れなくなっていく。
自分の言動の過ちに気付いたのか。
それとも、奇妙な関係性が気持ち悪くみえたのか。
どちらにせよ、数秒で正気に戻ってきたようだ。
「聞き取りを続けましょう。ティキア騎士団は、間違った推理でこの事件を解決したことにして事態の沈静化を図ろうとしていると思います。そうなる前にこちら真犯人を捕まえないと。」
「意気込むのはいいが、冷静になれよ。偏った感情は推理を鈍らせれるぞ。」
「良い言葉ですね。しっかりと胸に刻んでおきましょう。」
そうして、休息を取る間もなく聞き取りを行う。
しかし、何か手掛かりになりそうなものを見たと言う人物は現れない。
それどころか、2つの事件の時に事件現場にいたという人物すら見当たらない。
諦めながらも聞き取りを行なっていたその時だった。
「あぁ、1回目の夜の事件の時は事件現場付近にいたぜ。酒も飲んでたし、夜だったからはっきりとは覚えてないけどよ、見たんだ。火が燃え上がる前、時間は分からないけどもその店をうろついてたやつをな。」
「それで身体や服装の特徴は?」
「うっすらとだけど、確かあんたのみたいな黒い髪のようだったな気もするな。それと体格は小さいような気もする。でも、若者て感じもしなかったな。歩く足取りは少しおぼつかない様子だったし。」
この世界で黒髪の人物はかなり少ない。
全くいない訳でもないので、黒髪=俺達の誰かとはならないけど。
それに最年長の井村は体力的な衰えはあるものの足取りがおかしかったり、猫背のようになって体格が小さくなることはない。
むしろ、年齢の差を感じさせないほどの活躍を見せてくれる。
「髪が黒髪なら犯人を特定するのことは簡単かもしれませんね。早速、黒髪を探していきましょう。」
「まて、それが本当に黒髪だったのか。あのおっさんが言うにはかなり酔っていたらしいし、辺りは暗かったのなら暗めの色を黒と勘違いした可能性の十分に考えられるぞ。」
「証言を疑っていたら何を信じればいいんですか。」
「疑っているわけじゃない。それが本当のなのかきちんと見極める必要があると言っているんだ。」
「・・・分かりました。まぁ、まだ目撃証言は少ないのでもっと聞き取りを行うつもりではありましたし、行きましょう。」
その後も粘り強く、声を掛けていく。
ティキア騎士団が解決するといっている事件について詳しく聞こうとするのを怪しく思う人を多いみたいで、すぐに切り上げる場面も数回あった。
それに、やはり誰もどちらの夜も近辺に近づいたものがいないということだった。
それもそれで不自然だが、意図的に情報が操作されているか、それとも犯人は何らかの理由で人がその近くを通らなくなるのを知っていたのかもしれない。
次にまともな目撃証言を得れたのは随分と時間が経った後のことだった。
「1件目も2件目も怪しい人を見たわよ。」
「怪しい人ですか。それは同じ人物ですか。」
「それが全く違うのよね。1件目は青色の髪に身長は小さめで杖をついていたわ。きっと足が悪いのだろうと思うんだけど、大丈夫ですかって声掛けても無視してどっか行ってしまったわ。ずっと店の方を見ていたからなにかあるのかなって思ってたんだけど、少し時間が経ったら燃え始めたのよ家が。」
「つまり、その青髪の人物に会った後誰も他には会っていないのに、店が燃え始めたと。」
さっきのおじさんの証言と一致する部分も少しある。
きっと2人は同じ人物を見たと思って間違いない。
「2件目は誰を見たんですか。」
「誰って言うかね。言っていいのかしら。」
少し俺達の方を見て戸惑いを見せるおばさん。
何か言い出せない理由でもあるのだろうか。
考えてから仕方ないといった顔で話を始めた。
「2件目に見たのは2人よ。1人はさっきから話を聞いてくる少年よ。別に何かしてた訳ではないけど民家横の通路を何回か往復していたのよね。まぁ、その後火事が起こるまでに結構な時間差があったから関係はないでしょうけど。それともう1人はおじいさんだったわよ。白髪で髭を生やしていて、手には何も持っていなかったわ。」
「もしかして、2人目は身長がこのくらいじゃなかったか。」
そう言いながら、井村の身長を手を作って見せる。
すると、おばさんはそうそうと何度も頷く。
軽く似顔絵も作って見せたが間違いないらしい。
「どういうことだ。説明してもうぞ。」
「どうと言われましても、昨日の夜にあの辺りを通ったのは確かですが、何度もあそこを通ったのは忘れ物をしたので店に取りに引き戻したりしたからですよ。それに彼女の言う通り発火はその時間帯と異なりますし、それよりも井村さんも近くにいたのなら何か見ていたかもしれませんよ。」
「それならきっと本人口から既に何か言っているだろう。そうじゃないと言うことは、何も見ていないのか、言いたくないのかのどちらかだろうな。」
「待ってください!疑っているんですか僕達を!最初の事件はどう説明するんですか。」
「落ち着け!まだ、疑っている訳じゃない。だが、味方だからって完全に信じるなよ。」
「そうですね。大城さんの件もあります。もう、どこで誰が記憶を取り戻していても不思議ではないですから。」
「そう言うことだ。それならこの調子で夜まで聞き取りをしよう。」
こうして、俺達は聞き取りを再開したのだった。
他の人はどんな証言を集めてくるのかを待ちながら。
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