第027話 少女の秘密
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俺達は少し街の中心部からは離れた飲食店にやってきた。
ここはあまり人の出入りは多くなく密会するにはこれ以上ない場所だろう。
彼女もまた人の気配が少ないことに安堵してなのか気が緩んでいるよに感じる。
「で、何者なんだ?お前は。」
「私の母親は”古の魔女”と呼ばれる。世界に1人しかいない天才魔術師だった。」
「てことは、お前もその”古の魔女”ってやつなんだろ。」
「私は違う。」
短く端的に彼女はそれ以上自分が何者かを語ることもなく話を始めた。
その話をするのはまるで禁じらているかのように。
彼女にとって自分の話をしたくないのかそれとも訳があって出来ないのかそれは分からないが、気になるからといって無理に聞き出すのが得策ではないことは明らかだ。
身の上話が無理になった今、聞けることもそう多くない。
限られた質問の中で何か彼女の情報を得たいところだ。
「結局、レインがここまで冒険者に追われながら欲しがったペンダントはなんだったんだ。」
「これは私の母が作った最後の作品。名前は、真偽の審判。」
真偽の審判か。鑑定で詳しいことを調べてみる。
名前:真偽の審判
説明:”古の魔女”が作ったとされる最後の作品。このペンダントを持っている者はいかなる嘘にも騙されず、どんな状況でも真実を信じることが出来る。このペンダントには欲望を増長させる効果もあり、何かしらの強い信念を持ったものでないと扱えない。
スキル:【真偽鑑定】Lv MAX 【欲望増長】Lv4
「なるほどな。ある程度の仕組みは理解した。」
「鑑定のスキル持ちか。また便利な物を持っているもんだ。」
「鑑定は珍しいスキルなのか?あまり使っている人を見ないが。」
「確かに強力なスキルだが、戦闘中には使いにくい上に元々その情報を知っているものには使えない。好んで覚えるのは、探検家ぐらいな話だ。」
俺達にはぴったりのスキルかもしれないが、こっちの人間にしてみれば使い道が少ないのか。
それにしても、このペンダントをあの冒険者達はどこで見つけたんだ?
道端にたまたま落ちているような代物ではない。
つまり、最初からこのペンダントを狙っていてどこかで情報を入手して今に至ると考えた方が自然な流れだ。
「あの冒険者達と最初から顔馴染みって訳ではないんだよな。」
可能性としては少なくはない。
自分でペンダントを回収できない理由があってあの人達を利用した可能性もあり得る。
「そんな訳ないだろ。どこでこのペンダントの情報を知ったのかさえ知らない、。言えることは、私と同じくこのペンダントを狙っている者がいること。」
「お前の母親が自ら情報を流しているとは考えられないのか。どこにあるかの情報は簡単に入手できないはずだ。それでも知っていたなら直接聞いたか相当な頭脳を持っているかだろう。」
「さっき言っただろ。これは母の最後の作品。なぜ、最後になっているかは単純明快で作り上げた瞬間に死んだからだ。だから、母から直接聞いたなんて線は全くもってありえない。」
死んでしまっているなら納得できるな。
それに形見を大事に持っておきたいのなら、多少はペンダントを強奪したのも頷ける。
「ここまでイチノセの質問に答えてきたが、今度はこちらからだ。イチノセ、お前はこっちの人間じゃないだろ。」
こちらに向けられて目は、俺をしっかりと捉えており離さない。
そして、疑いでもなく信頼でもない。ただ、俺が何者か知りたいといった目だ。
俺がこっちの世界の人間じゃないことを見抜くとは思ってもいなかった。
自慢じゃないが、この世界に来てから多くの人間を観察して、違和感のないように立ち振る舞いを修正してきたと思っていたが、分かる人には分かるらしい。
「俺は、ここじゃない世界。地球に住んでいた。」
「チキュウか。前にこの世界にいた勇者もチキュウという場所から来ていたそうだ。ということは、お前は転生召喚陣でこちらの世界に呼ばれたのか。」
ここに来て発見した事実。
前にも俺達と似た様に勇者という存在がいたようだ。
それならなぜ魔王がまだ存在するのか。前勇者はその話を聞くに1人だったようだが、どこに消えてしまったのか。
結局はこの世界で知らない情報が多すぎる。
自己防衛の意味も兼ねて、情報収集は怠らないようにしよう。
「その通りだ。今良い当てられたことに間違いはない。追加していえば、俺は一部の記憶を失っている。」
「記憶を?それは不便なのではないか。」
「いや、今の所はそれで良かったとさえ感じている。」
自分を取り戻した時にどんなことになるか想像も出来ない状況だ。
それなら、知らぬが仏。今のまま生活できた方が幸せなのかもしれない。
今のところ、大城も大きな変化こそ見せていないが見えていないからこそ不気味に感じるということもある。
「そうか。私も似た様なものだ。覚えていることを数える方が簡単なくらいに。」
悲しげな表情でそう語るレイン。
彼女はきっと苦しんできたのだろう。
葛藤の中を1人で歩いてきた。だからこそ、このタイミングで全て吐き出している。
俺は、彼女の姿がそう見えて仕方ない。
「簡単な名前と、母親の記憶。そして、このペンダントを誰にも渡してはいけないこと。」
これは俺よりも酷い状況だ。
そして、気になることが1つ。
ペンダントのことをなぜか覚えている点だ。
名前や母親の記憶は、自分の心の中に深く刻まれていてもなんら可笑しくはない。
ペンダントとなると話は別だ。しかも、守らないければいけないということまで。
まるで、誰かにそう教え込まれているかのように。
「そもそも記憶がない理由が知りたいよな。」
「それが分かるなら私も苦労していない。」
そんな話をしているところで新たな客が入ってくる。
それが知らない顔などではなかった。
レインを探していた冒険者。
そいつらが3人ともこの店に入ってきたのだ。
その表情は、優雅に昼ごはんを食べに来たという感じではないな。
「やはり、お前裏切っていたのか。」
軽蔑か。それも怒りか。
どちらにせよ好ましくはないであろう感情を隠すことなく俺に向けてくる。
今にもこちらに襲いかかって来そうな雰囲気だが、ここは店内だ。
ここで戦闘になったら店の人は困るだろう。
俺は騒がしくしてしまった謝罪の意味も込めて食事をした料金より多い金額を置いていく。
そして、冒険者達とすれ違いながら外へ出る。
何かこいつらが勘違いしているようなので、すれ違い際に訂正する。
「別に俺は興味本位で付いて行っただけだ。今はこの子を助けるほうが面白そうだ。」
「その悪魔のような女に魅入られたか。所詮は、その女は犯罪者。穢れ多き人間に惚れるなどたかが知れてるな。」
そんな言葉聞いて少し笑いそうになっているレイン。
「イチノセは私のことが好きになったのか。それならそうと、クククッ。言ってくれれば。」
「お前、この場で置いていくぞ。」
「さて、冗談はさておき。あいつら話は通じないようだぞ。話合いが出来ないなら戦闘は避けられない。」
ここから激しい戦いになることが予想された。
この街で少しの間活動をするなら目立った行動は控えたいが、ここまで乗り掛かった船だ。
途中で降りるという選択肢が残されている訳でもない。
すると、馬に乗った甲冑の男がやってくる。
「貴様ら、ここで戦闘をしようという訳ではないだろうな。」
「それだったらどうした。」
相手のリーダー格の切れ者が甲冑の男にそう問いかけた。
邪魔者が入ってきた怒りが目に見えるように表れている。
「これだから野蛮な冒険者は嫌いなんだ。もしも、戦闘をするようならティキア騎士団が黙ってないぞ。我々に目をつけられて自由に生活できると思うなよ。」
半分は注告、もう半分はこちらを威嚇するような脅迫。
普段からこういった冒険者の治安の悪さを見て来ているようで、呆れたようにも感じ取れる。
どちらにせよ、ティキア騎士団は冒険者と対立の関係にある。
それを上手に利用すれば、こいつも手は出してこれないだろう。
「帰るぞ。今は話にならない。お前ら2人。覚えておけよ必ず借りは返す。」
絵に描いたような捨て台詞を吐いてその場から立ち去る。
俺達もこの場にいると目立ちすぎてしまうので移動することにした。
今後、レインも一緒に行動をしたいが、今はチームで活動している。
なんて説明すればいいのか。
それを考えていると時間をあっと言う間に消えて無くなってしまった。
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