第026話 赤眼の少女
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もう何回目になるのか個人の自由が許された自由な休息がやってきた。
自分の実力不足を恐れて訓練に勤しむ者。
欲しい物を欲望のまま買い漁る者。
そして、自分の興味や疑心から情報を集めようとする者。
何も決めていなかった俺はどう過ごすかを悩んでいた。
結局のところ何もしないのが1番の贅沢ではないかとまで考えた。
しかし、俺は外に出ることにした。
何か新たな発見や巡り合わせがあるのではないかと思ったからだ。
本当にそれ以外の理由はない。
「いつも通り、狩りにでも出掛けてお金集めと戦力強化でもするか。」
それも味気ないのだが、最近は自分が強くなって来ていることを実感している。
自惚れでなければ間違いなくあのパーティの中では主戦力だ。
その慢心を慢心ではなく事実に変えるために力を求める。
これが人間の帰ることの出来ない性である。
「まずは、この土地の魔物から素材を取ることからだな。話を聞けばこの街には鍛冶屋があるらしいから何か武器や防具を作ってくれるかもしれない。」
ギルドに向かいながら考えに耽る。
もしかしたら、道中で他のことに興味が湧いていつもとは違う日になるとも考えたが、それもなくギルドに着く。
ドアの前に立ちこれから変わり映えのしなくなった休日を過ごすのかと思いながらドアノブに手をかけると、
「待てぇーーー!ふざんけんなぁーーー!」
男の大きな叫び声と共に深く被ったフードから赤い長髪が見えるの少女が飛び出してくる。
あまりにも急な出来事に俺は脳の処理が追いつかず避けることも受け止めることもできずにぶつかる。
「おい!そこの兄ちゃん、そいつ捕まえてくれ!!!」
いきなりそんなことを言われても俺だって倒れ込んでしまっているんだと思いながらも、一緒に倒れた少女の方を見る。
しかし、そこには彼女の姿が見当たらない。
前を見るとすでに立ち上がって走り去ってしまっている。
「おい、あの女どこ行った!?」
「あっちの方に行ったがなにかあったのか?」
「俺達が冒険中に見つけた宝を盗まれちまったんだよ!」
「それなら、俺も探すのを手伝ってやる。俺にも捕まえられなかった落ち度があるからな。」
「本当か!助かるぜ!」
俺は彼女が走り出した方へと進むことにした。
これは自分の善意かそれとも好奇心か。
それは言わなくても分かっている。
しかし、今は動き出した身体を止められない。
後者の方が俺の行動の原動力になっている。
「どこ行ってた!こっちにいるはずだ!」
人が多い大通りで見失った人を探し出すのは難しい。
しかし、この大勢の中にあれだけ目立つフードを被った少女がいれば一目で分かるはずなのにどこにも見当たらない。
あの冒険者達と何があったのか知らないけど、あの人達が先に見つけてしまったなら問答無用で酷い目に遭うのは確かだ。
どっちの事情も知りたい俺は、どうしても先に見つけ出す必要がある。
「まぁ、だいたいは人が後ろめたいことを持った時に人目のないところを好む。そして、ここら辺で唯一の場所はこの路地裏だよな。」
あの冒険者達はまだ店や街道を探しているがこの結論に到達するまでにそう時間は掛からない。
「早くこの辺を調べて彼女の手掛かりを見つけないとな。」
そう思い裏路地の奥へ足を進めていくと、上の方から何が動く音が一瞬だけ聞こえる。
上を見ると降って来てるのは、先ほどの少女。
俺を敵だと判断してここで奇襲を仕掛けてきたのか。
いや、そう判断したのかどうかなどこの際どうでもいい。
「【紛失防止】!いきなり、挨拶も無しに攻撃してくるとは随分と手荒なやつだ。」
ポルタガをバッグの中から探す時間も無いくらい、ギリギリだった。
1秒でも反応が遅れていたとしたら痛いどころの騒ぎでは無かっただろうな。
「私を追って来たということは貴方もこれを狙っているというだと判断した。よって、貴方を排除する。」
手に持っているのは何かのペンダントの様だ。
恐らく、あの冒険者達が宝だと言っていた物に間違いない。
別に俺はそれを狙っているわけではないが、相手が聞く耳を持っているとも思えない。
「私の魔法は他とは比べ物にならない。【炎魔法】”ファイアーランス”」
「こんな狭いところで魔法を使うんじゃねーよ!危ないだろうが!【土魔法】”マッドウォール”」
火の塊で出来たその槍は俺の作った土壁を徐々に削りとっていきやがてその壁を破壊した。
彼女はすかさず追撃を行う構えになっているが、そこに俺の姿はない。
あるのは砕け散った土の欠片と漂う砂煙だけ。
「逃げたか。あの男から感じたのは一体。」
「1人で何言ってんだよ。俺を混ぜろ。」
急に姿を現した俺に驚きが隠せない表情の少女。
俺の攻撃を防ぐことは出来たみたいだが、吹き飛ばされてしまう。
「いつの間に上に移動したんだ。あの一瞬ではそんなことは出来ない。」
「出来る出来ないだけの話で言えば出来るぞ。この狭い通路で目線から切れる程度の土壁を作ったからその間にヒョイって。」
「そのヒョイっが難しいと言っているのだ。馬鹿者め!」
「俺、スタントマンのバイトもしてたことあったからこれくらい余裕だ。」
「すたんとまん?が何か分からないがおかしいことは確かだ。」
とりあえず、また暴れられても困るので身柄でも拘束しておくかと思い、近づこうとする。
すると、街道の方から声が聞こえる。
さっきの大きな音で冒険者達が気づいたのだろう。
「こっちから聞こえたぞ!」
「あぁ。俺もだ。って、誰もいないじゃねーか。」
「いや、待て。そこを見ろ。土魔法を使った痕跡がある。それに、あの焦げを見るに炎魔法も使われている。」
こちらに近づく音は確実に近くなっているのが分かる。
このままでは確実に少女が見つかってしまう。
人の物を盗んだのだから、捕まえるのは当たり前だが、必ずしもそれが悪とは限らないのではないだろうか。
何かしらの事情があってそうせざるを得ない状況だったのかもしれない。
それを確かめるのは、今の状況をなんとかした後に俺が聞きだすしかない。
「あ!どうだあんたの方で何かあったみたいだが。」
「あぁ。見つけたが俺の実力不足で逃げられてしまった。あの少女ならこの壁を登ってどこへ逃げたぞ。」
「よし分かった!それなら反対の道に逃げたかもしれない追うぞ。」
俺の言葉を信じてくれて助かった。
このまま早くどこかへ行ってくれ。
「待て。その言葉、本当か?」
「それはどういうことだ?疑う余地がどこにあるんだ?」
「・・・。いや、本当なら良いがな。」
そう言いながら俺の横にある布に覆われた荷物の確かめる。
どうやら、この男は疑い深くて視野が広い。
魔法の痕跡にいち早く気付いたのもこの男だ。
この時間が早く過ぎてくれればいいのに。
まるで尋問を受けているような手に汗握る時間を過ごす。
ある程度調べていないことを確認したのか、他の所を探すことにしたようだ。
「探すのを協力してくれていることは感謝する。しかし、余計な真似をするなよ。」
最後の立ち去り際に、そんな言葉を吐いていくので俺の心が見透かされているのではないか不安になった。
まぁ、どこにいるか分かっていなかった時点で【読心術】のようなスキルがないのは確かだけど。
「いつまで私はこうしていれば良いのだ。」
「すまん。もう出て来ていいぞ。」
木箱が積まれた土の台から姿を現す赤眼の少女。
まさか、この台の下が空洞になっていて人が隠れているとは誰も思わないだろう。
「なぜ私を助けた。メリットなど1つもないだろ。」
「メリットならあるに決まってるだろ。俺の暇つぶしだ。」
「助けてくれた礼だ。名前くらい名乗ってやる。私は、レイン。」
「俺は、一ノ瀬だ。どうしてそのペンダントを奪ったのか。お前が何者なのか。しっかりと聞かせてもらうぞ。」
「分かった。話してもいいが、1つ約束してくれ。私の願いを聞いてれると。」
どうするべきか。ここまで自分から踏み込んだ以上、引くに引けない状況だ。
もしも、それが倫理観に反することならきっぱりと断ればいいか。
「約束するが、あまり面倒事はダメだからな。俺にもやることがある。」
俺達はどこか人目につかずにゆっくりと話せるような場所を求めて移動した。
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