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第171話 幻想と現実

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

「こっちは倒したよ!」


響き渡る井村からの吉報。

こちらもグダグダと戦って入られない。

それ感じたのは俺だけではないらしく、上野と大城が2体の巨像に立ち向かう。


「僕は一撃であれを倒せますけど大城さんは大丈夫なんですか?」


「上野、お前はいつも一言余計だ。俺が倒せないと本気で言ってる訳でもないだろうに。」


「今のは、問題ないってことで良さそうですね。じゃあ、一気に決めちゃいましょうか。」


この2人はいつも頼りなる。

戦闘面では、他の人よりも頭1つ抜けている印象がある。


俺は進化刀を鞘に納めて、後ろへ下がる。

これ以上は、戦う必要がないだろうからな。


「ふざけてるのか!?俺達をたった2人で倒そうと言うのか!」


「我々はナギハヤ様の意志を受け継いで貴様らを打ちのめすのだ!」


怒りを露わにした2体が乱暴に襲い掛かってくる。

統率を取っていたリーダーを失ってしまえば、この暴挙を止められる者はいない。


「【思い出の燈】」「【幻想の豪雪】」


これで手下も倒し切った。

そう誰もが思っていた。


想定よりもはるかに高い耐久性によって攻撃の中から飛び出してくる。


完全に油断している2人が攻撃を止められるとは思えない。

俺がどうにかするしかないのか。

しかし、どうやっても間に合う距離ではない。


「「【禁術】"二命一死(にめいいっし)"」」


まさか、コイツらも【禁術】が使えるのかと驚いたが攻撃は2人の前で途絶える。

既に限界が来ていたのか、その場で倒れ込んでしまった。


「僕としたことが。」


「あまりも不覚だった。手下のレベルなんて高が知れていると慢心してしまっていた。」


俺達の勝ちにも関わらずあまり喜べる空気ではない。

結果として2人は生きていたが、1歩間違えれば死んでいた可能性だってある。

いくらヴァイスが蘇生出来るとはいえ、ここで死んでしまえば魔王討伐など夢のまた夢。


重い空気をどうにかして変えないといけない。

そう悩んでいると宮武が喋り出す。


「アタシ達は勝ったの?負けたの?」


「勝ったと言えば勝ちましたけど。」


「結果が全てよ。これ以上、グチグチとネガティブなことばっかり言うようなら張り倒すわよ。」


と言いながら2人の背中をバンッと1回叩く。

暴力的な解決方法ではあるが、2人の顔を見ると気合いが入っているのを感じる。


宮武の言う通り悲観的になり過ぎていたら、必ず支障を来たす場面があるはずだ。

ここで強引にでも強制しておく必要性はあった。


「そっちも終わったみたいだね。ワシの活躍をみんなに見せれなかったのはショックだけどしっかり勝って来たから。」


「俺は最初から心配をしていなかった。井村には前から助けられてきたからな。」


「なんだい一ノ瀬君、老人を泣かせる遊びでも始めたのかな。」


「どうやらまだ元気もあるみたいだ。先へ進もう。」


慌てて追いかけてくる井村。

今いる場所が魔王城であると忘れてしまうほど穏やかな空気が流れる。


階段を登ると今度は、元の世界のような空間に迷い込む。

天まで届きそうな高層ビルが所狭しと敷き詰められている。

車や人の話声がうるさく耳に残る。

ふとした拍子に帰れたのかも知れないと思ったが、その可能性もかなり低いと考えて良い。


「まるで僕達が見えていないみたいだ。」


「普通、こんな奇妙な格好の集団を見ればどんな感情にせよ興味を持つだろうな。」


「それに私達は銃や刀を所持していますから通報されていてもおかしくないですよ。」


状況を整理するにこれは日本に無事帰還した訳ではない。

恐らく高度な幻影系のスキルだろう。

今まで多くの幻影と遭遇して来たが、ここまで本物と相違ないと感じるのは無かったからな。


相手のスキルだと分かってのは良いが突破する方法が見当たらない。

無作為に攻撃をしても無意味なのは分かりきっているので、どうにか脳をフル回転させて答えを導き出したいところ。


「どうするかな。とりあえず、適当に・・・」


周囲を散策しようと他の6人に話しかけようと思ったが、振り返ると誰もいない。

さっきまでは確実に俺の後ろにいたはずだ。

何がどうなっているのか分からないが、確実に相手の蒔いた毒が回って来ている。


「空模様が変わったな。」


朝だったはずの空が急激に夜空へと変化する。

これは何か予兆だと思い、身構える。


そこへ現れたのは普通の人間だった。

ただ、1人、2人の話ではない。

その全貌を把握できないほどの大群が俺を見てざわめき出しているのだ。


今までは無視されていたはずなのに1人になって途端に認識され出した。

何か関係があるのかと考察する。

しかし、結論という結論が思い浮かばない。


スマホを向けられて眩い光があちらこちらから飛んできている。

忘れかけていた感覚だが、この世界の人間というのは話題というのに敏感なのだ。


「この人だかりは別に良いが、どうやって他の奴らと合流すれば良いんだ。」


解決方法を模索するべきだ。

とりあえず、この場に留まるのはまずいと思い移動しようと思うが誰も道を開けてくれない。


「そこを退いてくれないか?」


「うわっ。話しかけて来たよ。」


「どうしよ〜。この人、犯罪者なんでしょ?私達、殺されてしまうかも。」


なるほどな。

相手は俺がどんな人間なのかも知っているのか。

それならば、恐怖で道を開けてほしいものだ。


「これってさ、殴ったりしても正当防衛なるんじゃね?」


「確かに!こんな凶悪犯を掴めたら絶対誉められるよ。」


「そうだ!いくぞ!」


急に目の色を変えた人々が波のように押し寄せてくる。

懸賞金の掛かっているお尋ね者にでもなった気分だ。


「俺が手を出さないと思っているから、こんな安易に向かってくるんだろうな。」


もっと高レベルの幻術であれば、俺の意思までコントロールできたかもしれないが、普通に攻撃しても心は傷まない。

なぜなら、これが本物では無いと知っているから。


「怪我したい奴から前に出てこい。俺は時間がないから手加減はしないからな。」


その言葉に足を止める者もちらほらと。

飛び出してきたのは威勢の良い男達だけ。


「おらぁーーーー!」


身体能力だけでも改造されているのかと思ったが、そんなことも一切なくただただ隙の多い攻撃である。

躱わしたのちに、鞘に収まったままの進化刀で小突く。

たったそれだけで大きなリアクションと共に転がる。


鬱陶しいとも思ったが、そのリアクションのお陰で無謀にも挑戦してくるものがいなくなった。


「悪いが先に進ませてもらう。」


ここから脱出するための方法は何1つ分かっていない。

どうすればと頭を悩ませていると明らかに人間とは異なる二足歩行の生物を見つけた。


肌は爬虫類のような見た目でよく見ると尻尾らしきものまで。

それが10数体いるのだから気持ちが悪い。


観察を続けていると俺の存在に気付いたようだ。


「ギギィッ!!」


明らかに魔族であり、あれが鍵を握っていると思って間違いない。

しかし、俺を確認するなり走って逃げてしまった。

ここの世界がどれだけ広いのか分からないが、また群衆に紛れられても厄介だ。

すぐに後を追う。


見失わないように走り続けていると、排気処理場にたどり着く。


「あれ、一ノ瀬さん?」


後から入って来たのは、上野。

そして、どんどんと集合してくる。

どうやら、他の6人もあの爬虫類に導かれてここまで来たらしい。


「さっさと倒して、幻術を打ち壊すぞ。」


「あぁ、準備は出来ている。」


時間は少しでも惜しい。

情報のすり合わせをする前にさっさと決着をつけよう。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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