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第170話 最弱の老人

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

「おいおい冗談だろ?こんな老ぼれが俺の相手をするってか?」


「相手の実力も見ないで不平不満を溢すのかい?」


「威勢の良いのは嫌いじゃないが、無謀な挑戦な止めておいた方が良いって言う優しい忠告だろ。」


忠告にしては少々粗々しいが、言っていることは的を得ている。

この歳になって自分の限界が分からない程、愚かではない。


しかし、覚悟を見せる必要がある。


後ろでワシがナギハヤとの対決に集中出来るように手下を足止めしてくれている。

ワシの思いを尊重して送り出してくれた仲間の下に、ダメだったの一言で戻ったら合わせる顔がないだろう。


「黙り込んでどうしたんだ。ポックリ逝っちまったか?」


「【神通力】」


相手のペースに飲み込まれてはいけない。

こちらからの攻撃を一方的に通す。

それが体力的にも実力差的にも望ましい戦い方だ。


後はそれを押し通す為に常に相手の隙を付くトリッキーさが必要になる。

思考することはワシにだって出来る。

考えることをやめなければいつか勝利に繋がると信じよう。


「なかなか痛い攻撃だな。俺じゃなきゃ吹き飛ばされてたね。」


「な、どうして。これまでこのスキルが通用しなかった相手はいなかったのに。」


「さぁー、どうしてだろうな。わざわざ教えてやる義理はないが、そのスキル程度じゃ勝てないぜ。」


最初に立てた計画というのは、どうしていつも上手くいかないのだろうか。

今はそんなことさえ嘆く暇はない。

真正面からの攻撃が来れば、単純なパワーで負けてしまう。

それだけは防がなければ。


「焦らなくて良いのか?まぁ、お前はもう追い詰められた野兎と大差ないけど。」


これも相手の戦略の上。

感情的になってしまえば思う壺だ。

まずは、落ち着いて一呼吸。


「まずは機動力から。【迅雷投擲】。」


懐に隠し持っていたダガー。

一ノ瀬君に習って【紛失防止】が付いているのを買った。

【反転】と合わせれば無限の可能性を秘めていると思う。


この速さには確実に対応できない。


「甘いねぇ。脳をもっと動かさないと。【反転】」


「・・・!?このスキルは!」


思わず声が漏れてしまう。

ワシが1番良く知っているはずのスキルだ。

スキルの中では主力級の能力を持っている。

だからこそ、あれが自分だけが使うスキルなのだと思い込んでいた。


当然、覚醒スキルと違って通常でも入手が可能なスキル、誰が使ってもおかしくない。

そのことを完全に頭に入れていなかった。


こうやって考えている間にもワシが投げたダガーが飛んできている。


「【紛失防止】!・・・・あ、当たるかと思ったー。」


ダガーが手元に戻ってくる為にはある程度の範囲にそれがある必要がある。

相手の【反転】に驚きは隠せなかったもののその後は冷静に局面を見れた自分を褒めたい。


「いちいちスキルに驚くなよめんどくせぇー。それだと先が思いやられるな。」


「余計な心配をしない方が良いよ。ここからは有象無象の1人から今後一生この顔を忘れらないようにしてあげるから。【悪心】」


「ついに本気を出して来たってことか。俺としてはそっちの方が手応えあって面白いが、老人なのに後先考えないタイプなのかよ。ここが終わってもまだ魔族が控えている。それに魔王様だって。今本気出すのは危険な賭けだ。」


「分かっているよそんなこと。でも、後先考える程今は余裕が無いからね。それにどちらにせよ、ここを突破しないと次の階層には進めない。」


「それもそうか。なら、俺も本気で行くのが礼儀か。【魔族解放】。」


ナギハヤの着ている和服が見る見る内に赤い甲冑姿へと変化していく。

それに影響されたのか刀も徐々に体と同じぐらいの大きさへと変化する。


まだどれだけの威力を持っているか分からないが、想像するだけで恐ろしい。


「その身をもって体感しろ。【剣術】''不知火抜刀"」


轟々と刀身を燃やしながら、その一撃は放たれた。

あまりの熱さに肌が焼かれそうになり、全身からは水分を全て抜き取られてしまいそうなくらいだ。


「その厄介な炎、封じさせてもらおうか。【消失した色彩】」


どれだけ強力な技を使おうとこのスキルの前には無力だ。

あの熱さの炎が嘘だったかのように消えていく。


赤色はそれだけではない。


甲冑の色も赤なので徐々にナギハヤの体から消える。


「どうなってやがるんだ。」


今まで終始冷静さを保ち、相手を揺さぶることで優位を得ようとしていたナギハヤも見慣れないスキルを警戒している。


「面白いスキルだろ?少しはワシも戦えると認めてくれるかい?」


「強いのはスキルであってアンタじゃない。その証拠に傷だらけだぜ。」


「そんなはずはないよ。だって、1度も攻撃は当たってないんだから。」


ハッタリだ。

そう思ったが、念の為に傷がないか確認をしてしまう。


ど、どうなっているんだ。


痛みもないのに、所々に切り傷が。

そして、出血していたであろう形跡も見られる。


たまたま赤を消していたので出血も止めることが出来たが、仮にも他の色を指定していたら気付かないまま出血死していただろう。


「取り乱してるのが丸分かりだ。本当にここまでやって来た挑戦者とは思えないぜ。あっ、そうかそうか。アンタ、後ろにいる奴らの金魚の糞か。」


弱いと煽られているのだろうか。

でも、不思議と怒りが湧いて来ない。

理由は明白。


「確かにね。後ろの人達と比べると最弱かも知れない。でも、あの中で最弱の男でも守護者を倒せると証明してあげよう。」


ワシは足を引っ張ることも多い。

それでも、彼等から見捨てられたことは無かった。

だからこそ、これ以上彼等の足を引っ張らないように。

いや、隣並んで胸を張って戦えるように。


「老人の妄言は終わりか?終わったのなら、現実に引き戻してやるよ。」


闘志が消えない井村に焦りを覚えたナギハヤは、決着を早めに付けるため井村に襲いかかる。


「【剣術】"颯連撃"」


残像で無数に見える攻撃。

これをどうやって切り抜けるか。


「生き急ぐのは勿体ないよ。限りある人生なんだから。って、魔族が同じかは知らないけど。これで足を止めてほしい、【消失した色彩】」


空間を真紅に染める何よりも熱い炎。

ナギハヤが生み出した何倍もの威力を有しているだろう。


「これは訂正せざるを得ないな。間違いなく、アンタも化け物の内の1人だってことを。だからこそ、俺の最強を持って迎え打とう。【禁術】"禁断の代償"」


何が始まるのかと見ていると、自分の腕を斬り落とすナギハヤ。

そんなことをすれば自分が不利になるかも知れないと言うのに、スキルの発動条件のためにそこまでするのか。


時空に裂け目が生まれ、そこから魔族とも魔物とも言えない、何か異様な雰囲気を醸し出す巨大な腕が出現する。


2つの強力なスキルがぶつかり合う。

巨大な腕は燃えながらも炎の勢いを完全に止める。

しかし、止めるのが精一杯で時空の裂け目に帰っていく。


「これだけ代償を払った攻撃でも相打ちかよ。」


敵に掛ける慈悲もないので持っていた天叢雲剣でトドメを刺す。

最後のスキルが覚醒スキルと同等の威力だったのは想定外だった。

しかし、その後は代償のせいで血を流しすぎて戦うのも困難だっただろう。


「お、終わったーー!勝った、勝てたよ。」


これでワシも戦えると証明した。

少なくとも足手まといでは無くなれただろう。


勝利後の空気はいつも美味しく感じる。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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