第167話 ある意味で最強な僕
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次の階層へ進むのも慣れて来た。
どんな敵が待っているのかと考える余裕さえある。
そして、誰が活躍するのかも重要である。
順番がはっきりとある訳ではないが、偶然にも記憶を取り戻した順番に魔王守護の魔族を倒している。
この法則に当てはまるのだとすれば、次は清水ということになる。
なるにはなるが、他3人と違って完全にサポートタイプの清水には1人で戦うというのが困難だ。
自分も1人で戦わなければならない重く受け取り、無茶な行動に出ないよう注意が必要だろうか。
いや、清水ならそんな心配をしなくともリスクを簡単に取るような人間ではないか。
勝手な考察もここまでだ。
ついに階段を上り切り次の階層の到着する。
今までのどの部屋のタイプに属さない無の部屋。
何か置いてある訳でもなければ、特徴的な装飾が施されている訳でもない。
あるのは階段と少しばかりの照明だけ。
白と黒を基調とした壁の柄も在り来たりで面白みに欠ける。
「なんか普通ですね。まだ、ここの階層だけ魔族がいないとかでしょうか。」
「そんなことある訳ないでしょ。いるのよきっと。油断させるために隠れているとかそういうくだらない理由でしょ。」
「くだらないとは酷いなぁー。僕は最初からここにいたのに。」
目の前に姿を現す子供。
僕と言っているが、容姿も服装も中性的で判別が付かない。
何から何まで謎の多い奴だ。
1番注意しないといけないのは、こいつがこの階層の守護者である可能性。
もし、そうであるなら小原の【気配遮断】に似たスキルを持っているのは厄介極まりない。
「僕が誰かって?うんうん、気になるよね。えっ?聞いてないって?それでも答えちゃうもんねー!魔王守護第四等級・超スーパー可愛いリコたんこと、リコワルドだよ。よろしくねぇー!」
気が抜けるような挨拶は計算か天然か。
どちらにせよ、俺達の前に現れた理由が行く手を阻む為なのは間違いない。
躊躇いなど一切持たずに斬り裂いてしまうのが最善か。
キラリと光る進化刀の刃がリコワルドの体を斬り裂く。
余りにもあっさりと事が進んでしまう。
しかし、案の定これで終わるはずが無かった。
血飛沫すら上がることなくケロりとした表情で立っている。
どんなギミックが発動しているのか分からないが、物理攻撃が効かないとなると魔法スキルを試してみるしか。
考えついた頃には上野が魔法スキルを連発している。
1度放てば効かないことぐらい分かっているのに、何度も何度も放つ。
「やめてぇーーーー!!!ちょっとちょっと!こんな可愛い生き物になんて酷い事するの!可哀想とかない訳?」
「敵に慈悲の心を持つ奴なんて少ないですよ。ましてや、相手が魔王を守っている魔族となる尚更。」
「怖いよぉー。こんな真顔で淡々と説明されたらリコたん泣いちゃうー!」
言動はふざけているが、この絶対的な防御をどうにかしないといけない。
そうでないと倒しようがないからな。
「アンタは攻撃してこない訳?それともアタシたちなんていつでも殺せちゃうってこと?」
「すっごい物騒だよー。女の子がそんなこと言っちゃいけないんだよ。」
リコワルドが宮武に女の子と言っているが、残念ながら彼女は・・・
「一ノ瀬、殺すわよ。」
まだ何も言っていないだろ。思っただけだ、思っただけ。
それにしても、相手からのアクションもないので大きな進展が見られない。
ただ、時間だけが経過していく。
徐々に俺達のことを疲労させるのが狙いか。
「あ、忘れてた。僕が始めないとそっちは動けないのか。」
ようやく、戦う気になったらしい。
ダメージは与えられなくとも攻撃を防ぐ事はできるはずだ。
その中で対策を考えていけば、自ずと。
「じゃあ、始めるよー!第∞回目 真の可愛いを決めろ!アイドル王決定戦ー!」
謎のタイトルコールと共に鳴り響く楽器の音。
いつの間に演奏隊が現れたんだ。
何も無かった部屋もいきなり明るい煌びやかなセットに変わっている。
「説明してもらってもいいか?」
「そんな急かさなくてもしっかりとルールの説明はしますので悪しからず。それでは・・・」
「違うに決まっているだろ。何故、武器を持って戦わないのかって聞いている。」
相手がふざけていると感じたのか怒りも込めて真剣に問いただす大城。
魔族なのにその圧に怯えてしまっている。
「ぼ、ぼ、僕はそこまで戦いが強い魔族じゃないというか。たまたま、防衛系のスキルが1つ優秀だっただけで。」
「なら、それを活かして一方的に攻撃するとかあるだろ。」
敵に塩を送るアドバイスを真剣にしている。
そんな気の抜けた空間に大半が呆れて物も言えない。
「いやー、ちょっと効果が強ぎるというか。制御しきれていないというか。とどのつまり、僕も君達に攻撃しても意味ないんだよねぇー。あは、あははは、はは・・・はぁー。ちょっとタイム。」
セットの角へ行き、膝を抱え込んで丸くなるリコワルド。
数分間、ずびずびと鼻を啜る音が鳴り響く。
敵ながら申し訳ないと思ってしまうのが不思議だ。
色々試行錯誤した中で自分が有利に勝敗を決めれるのが、アイドル対決だったのだろう。
だが、これは不利な状況になってしまっている。
攻撃が一切通用しない相手であるならば、その提案を飲み込むしかない。
しかし、アイドルのように華やかな立ち居振る舞いができる人間なんてどこにも。
「ズビィーーーー!よし、気を取り直して始めていこうか!まずは、僕と対戦する相手を決めないとね。えぇーーと、君!そこの君で!」
ズバッと指を指されたのは清水だった。
うーーん、妥当といえば妥当か。
そもそも男性陣はリコワルドの方向性と合わない。
そうなると自然と3人の中から選ばれることになるのだが、小原は積極的に前に出るのが苦手だし、宮武は愛想を振り撒くようなタイプではない。
少なくとも一方的に決着つくような人選でなくて助かった。
「わ、私ですか!無理ですよ!アイドル対決とか。何やるか知らないですけど、無理ですって!」
「落ち着け清水。胸に手を当てて考えてみろ。この中で出来そうな奴は誰がいる。」
「うっ。・・・そう言われれば、ちょっと弱いですけど。」
「それに清水は子供相手なら間違いなくアイドル級の人気を誇っていたはずだ。」
悩んでいるようだが、はっきり言って勝率の高い者が出場してもらわないと困る。
物理的な勝負が出来ない現状、ここでの勝利が全てになる。
「分かりました。分かりましたけど!何があっても後で掘り起こすのは禁止ですよ。それが絶対的な条件です。もし、守れないなら。」
「なら?」
「内緒です!」
スイッチを切り替えているのか飛び切りの笑顔で答えている。
そのままの勢いで対決には望んでほしいが、あの言葉の後に使うと恐ろしさが倍増するからやめていただきたい。
やっとの思いでステージに上がる清水。
最初のタイトルコールからここまで進行するのに、約10分。
時間稼ぎをする役目だったとしたら最高の仕事をしているなリコワルドは。
グダグダなまま発表される種目。
「男の胃袋&ハートを掴め!ドキドキ手料理対決〜!」
また最初の時同様に楽器の音が聞こえる。
どんな対決かと思ったが、これはチャンスだ。
こちらにも十分勝機のある勝負で俺達は安心した。
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