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犯罪者から勇者にジョブチェンジしました〜異世界を救う7人の犯罪者〜  作者: 風野唄
七章 洗脳された街 ガーデハ

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第155話 死を紡ぐ

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

「良いね血が出るってのは。唯一体を機械に変えて後悔したよ。」


「他にもあるだろ。機械だから錆びたりするだろうし。」


こんな他愛もない会話を死のやり取りの中で行っている。

話し合って決めた訳でもないのに攻守の時間がはっきりと分かれていた。

攻撃する時に生まれる一瞬の隙を互い逃さない。


「おいおい、人間じゃないだろお前。普通の反応速度じゃないからそれは。」


「お前が言うことじゃないだろ。というか、そろそろやめないか?」


「無理。絶対にな。」


拮抗しているかのように見える勝負も実は傷が増えていくばかり。

じわじわとだが追い詰められている。

なりよりも気力を使いすぎて疲労感が大きい。


扉の奥から何か物音が聞こえる。

その物音に意識を取られてたせいで、正面からパンチを防ぎ切れなかった。

吹き飛ばされるなどの外的なダメージは一切ない。

内臓を破壊されたような衝撃が全身を襲う。

立っているのも辛い。


「あれ?なんで立っているの?この攻撃で床を舐めているはずだったんだけどな。」


「眠れるなら眠りたいけどな。この後仲間が来るんだから、寝ていたら格好が付かないだろ。」


「まだ冗談を言う余裕があるのかよ。気持ち悪いな。」


追撃をしようとするアイアン。

予想通りに俺が倒れなくて苛立ちを覚えたようだ。


スキルで避ける以外の選択肢はないか。

どうにか避けたとしてもその先に勝ち目を拾えるだろうか。


「大丈夫ですか!一ノ瀬さん!」


この声は清水の声。

ここに最初に到達するとは思っていなかった人物だ。

俺を回復する為に近付こうとする。

アイアンがそれを許す訳もなく、清水を狙っている。


危ない!


忠告しようにも声が出ない。

限界まで我慢していたダメージが今になって崩壊するように押し寄せてくる。

どうにかなれと願うほどに反比例して清水が近付いてくる。


「今度は貴方を殺せば良いの?ねぇ、一緒に死んでくれる?」


清水とアイアンの間にいつの間にか現れた小原。

よく見ると腕からは血が出ている。

なるべく戦うのを好まない小原が血を出しているということは何か大きな出来事があったと見て間違いない。


「説明は後でしますからまずは回復を。」


回復の最中に説明が始まる。


どうやら清水と小原は2人で魔族と戦っていたようだ。

そして、2人だけでは幹部クラスの魔族に対抗できなかったらしい。


ここまでは2人に悪いが想定できる。

戦力としてはサポートよりの2人が一緒になれば、明らかにパワー不足だからな。

問題はその後だ。


防戦一方でありながらも何とか猛攻を耐え凌いでいたが、それも限界が来たらしい。

清水が攻撃を貰いそうになった瞬間庇うために小原が飛び出した。

あの腕の傷はその時に出来たのか。


血を見た瞬間にパニックになった小原は気絶してしまう。

そして、10秒ぐらいで目を覚ました時にはこうなっていたようだ。


清水はすぐさま傷の治療を申し出たが、本人が強い拒絶反応を見せた為あの状態が続いている。


肝心な魔族はどうなったのか聞くと死体になってしまったと清水は答える。

血を見るのも怖がっていた彼女が急変し攻撃的に。

記憶を完全に取り戻したのかは分からないが、強いショックによって前の世界の小原に戻っている可能性がある。


「あれが本当の小原。」


強化系のスキルを使っても互角の勝負だったアイアンと平然と渡り合っている。

それどころか小原の方が押しているのが分かる。


「でも、私達のこともきちんと覚えているんだと思います。刃物を見て魔族と戦った時も私には攻撃が来ないようにしてくれましたし。魔族2人を入り口前で殺した後、一ノ瀬さんがピンチになっているのを見て一目散に走り出しましたから。」


彼女の中に存在する記憶が戦っているのだろうか。

心配をしている清水には悪いが、俺達が勝つ為には小原に頼る他ないかもしれない。


「なんだこの化け物は!どうしてこんな躊躇いもなく殺そうとしてくる!」


「死は救い。だからこそ、全員に共有してあげないと。」


「ふざけるなよ!【拳術】”デッドオブライン”」


あの時の技が繰り出される。

しかし、彼女は動じない。

攻撃が当たる前に姿を消してしまう。


彼女の【気配遮断】は、他の人が使う物と違ってどんなスキルを使っても見つけるのは難しい。

完全に清水を見失ったアイアンは、キョロキョロして探している。

それでも見つかる訳がなく、恐怖で場が支配されていた。


小原はタイミングを伺って背後から襲い掛かる。

気配や音などは一切ない無からの攻撃。


アイアンもギリギリの所で気付いて攻撃を防ごうするが、間に合っていない。

勢いを多少は軽減できたものの吹き飛ばされて家具を巻き込み、壁にぶつかった所で止まる。


「俺が負けてるてのはどういうことだよ。なんでだよ。また、あの時みたいな思いをしないといけないのかよ。」


トラウマが呼び起こされているのか、アイアンもまとな精神を維持できない状況になり始めた。


「いじめられてたんでしょ?辛い?苦しい?なら、死ねば解放される。」


語りかける小原の言葉は悲しい。

彼女も似たような経験をして来ただろう。

そして、導かれた結果がこれか。


自分がその身に立ったことがないので、簡単に共感も否定もできない。

けれど、そう考えるまでに至る経緯を考えると悲しいという感情が湧いて出るのだ。


「俺は、俺は死なない。それで得するのは本当に俺か?違う。アイツらが喜ぶだけだ!絶対復讐するんだ。この目でアイツらの泣いてる顔を見る為に力も持ってあの世界に帰る。」


強い意志を感じる。

復讐という褒められた方法でないにしろ戦うことをアイアンは選んだのだ。


「可哀想。まだ、頑張らないといけないなんて。」


言葉を聞くと悲しげな表情を見せる小原。

哀れみか、それとも前を進む彼を見て辛くなったのか、将又両方か。


痛みで動けないままのアイアンに近付いて胸の辺りを踏みつける。

踠いて立ちあがろうとするも、押さえつけられていてはそれも叶わない。


「ほら、痛みが生まれる。」


そして、小原はなんの躊躇いもなく腕を斬り裂いた。

機械なので血は飛び出してこない。


「損傷を確認。記憶データーベースの保持不可能です。」


アイアンは、いきなり機械のように話始めた。

彼は自分が元々は人間だったと語っていたが本当にそうだったのだろうか。


「損傷割合50%に達した為、危険信号を送ります。」


「どういうことでしょうか。アイアンは人ではないということですか?」


「それにしては地球を知っているような話方だったぞ。って、危ない!」


限界が来たのか小原が倒れる。

息はあるので死んだ訳ではないようだ。

清水と一緒に回復するのを待っておこう。


戦いが1つ終わって安堵するが、息つく暇も無く次の事象が起こる。


「あれあれ?もう壊れたのか。劣等感と怒りの感情をセットしたけど、力の割に生存力が低いな。」


ワープゲートからひょっこりと現れた武将髭と白衣が印象的な男。

アイアンの様子をじっと観察してうなづいている。


「誰だアンタは。」


「俺か?平賀 源治(ひらが げんじ)。このアイアンを作り上げた男だ。ちょっと攻撃的だったみたいで悪いね。」


アイアンを作ったと名乗る男の出現。

これはもっと話を聞かなければならないだろう。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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