第126話 不滅の守護神
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「どうする?アタシの魔導であれを倒せそうなものはないけど。」
「どうするのって言われてもな。どすんだあれ。」
俺に頼られてもその答えを持ってはいない。
進化刀も効かないだろうし、石像相手に土魔法が有効かも怪しいところだ。
スキルの中で唯一ダメージを与えられそうなのは【反撃】だが、あれと正面からやり合うのは最終手段として残しておこう。
「まぁ、俺じゃなくても倒せるだろ。覚醒スキル持ってる奴いるんだし。」
パーティの実力を鑑みれば、硬いという取り柄しかない相手に負ける要素がないと結論付けた。
実際に後ろの方で宮武と話をしているのにも関わらず、戦っているメンバーは辛そうな表情は見られない。
むしろ、肩慣らしだと言わんばかりに嬉々としている。
上野と大城が主体となって2体の石像を食い止めているようだ。
2人だけでも十分に戦えているが、そこに井村、清水の手厚い援護と小原が時折宮武からもらった魔導具で応戦しているので戦力として過多なぐらいか。
「見てるだけで良いの?アタシは怒られないけど、アンタは貴重な戦力なんだから。」
「なんでだ。さっきまで大量の魔物を倒してたのを忘れたのか。」
「あれはあれ。これはこれよ。」
最初の言い分も次の言い分も宮武独自の理論であることを願う。
もしも、あれが世論であるなら世界は俺に厳しすぎる。
そんな会話をしている間にも石像を倒すのが終わりそうだった。
全身はヒビが入っているのにも関わらず活発に動く姿は実に健気だ。
しかし、その健気さにかまってやる時間はない。
出来ることならこの薄暗い洞窟から出て新鮮な空気を吸いたいのだから。
「こっちは終わりましたよ御二方。ちょっと優雅に休憩し過ぎじゃないですか。こっちは大変だったんですからね!」
「宮武も怒られたみたいで何よりだ。」
やはり、この状況でどちらか一方が非難されるなんてことはありえない。
同じように見学していたのだから同罪である。
「あら、1人くらいはクルートの護衛が必要でしょ?いくら防御スキルがあるとはいえ。」
いきなり巻き込まれたクルートは何も言うことが出来なかった。
なので、それは正当な理由として認められる。
つまり、理由がないのは俺だけってことになるな。
今度からは上手い言い訳の仕方を宮武から学んでおこう。
「あぁ、すまない。俺も少し疲れていてな。」
自分もこれまでの道中で活躍してことをそれとなく伝える。
それがどれほど効果的かは分からないがそれ以外の言葉が思いつかなかった。
もはや呆れて返答もないのでただ気まずい空気だけが流れていた。
逃げるように目線を逸らしていると崩れた石片がゆっくりと集まっているのに気付く。
この場にいる俺以外の誰もがそのことに気付いていない。
2つの攻撃がゆっくりと背後を狙っている。
「また動き出しているぞ!」
俺は声を荒らげて忠告をしながら再生した石像に対峙する。
本当に刃物は通らないようで強い衝撃が返ってくるだけだった。
それは相手も同じようで体勢を大きく崩している。
片方は上野が瞬時に対応したので被害が広がることは無かった。
「本当にさっき倒したんだよね?」
「もちろんですよ!疑う余地もないくらいにね!」
そうとなると単純な破壊では、同じことの繰り返しになるということだ。
思考することが俺の仕事では無いので、戦闘に集中する。
「上野、大城と変わってもらえ。時間は稼ぐから突破口を見つけ出せよ。」
「僕に不可能はないので安心してくださいよ!」
ちょっと格好を付けて後ろへと下がる上野。
完全集中モードに入ると身動きの1つも取れないので今度はしっかりと宮武が護衛に入るようだ。
俺はそれを確認しながらもしぶとい石の塊の相手を続ける。
攻撃はシンプルなもので硬い腕を凶器にしたパンチの繰り返し。
これを対処するだけなら簡単なものだが、こちらからダメージを与える手段も乏しいため硬直状態が長引く。
このままではこちらの体力を一方的に削られるだけだ。
「大城!お前の覚醒スキルで氷漬けに出来ないのか!」
「時間はそれで稼げるかもしれないが数十秒程度だ。馬鹿力で氷を破壊されてしまう。」
あまり得策ではないということか。
後ろを一瞬見たがまだ上野が攻略法を見つけた様子はない。
仕方なく戦闘を続けようと前を向いた瞬間、拳が俺の目の前に迫っていた。
なんとか直撃こそ免れたが、その勢いによって後方まで吹き飛ばされる。
「分かりました!再生するのは魔力が原因です。魔力を断つ方法があれば!」
簡単そうに無茶を押し付けてくるな。
魔力を断つ方法がない訳でもないが、かなり接近しないといけないことになる。
それも魔力を出し切るまでも時間ずっとだ。
危険ではあるがそれ以外に選択肢がないのであれば挑戦する他にない。
「なんでいつも俺が大変な役回りなんだ。」
懐へ入り込んで進化刀に付随しているスキル【吸収】を発動する。
その間は刃を当てていないのいけないので動き回る敵を相手にするのは骨が折れる。
序盤は大きく体を動かして魔力を吸われるのを阻止しようとしていたが、途中からは抵抗すらしなくなっていた。
魔力が動力源かは半信半疑だったがどうやら本当だったようだ。
あの短時間でそれを見破るのは流石としか言いようがない。
しばらくすると灰のように散っていきいき、それから2度と復活することは無かった。
「俺の仕事もこれで終わりか。結構活躍しているんじゃないか?」
「おい、まだこっちが終わってないだろ。援護に来てくれ。」
案の定、魔力を遮断する方法が他の仲間にある訳もなく俺が2体目も魔力を吸い出すことになる。
2体目ということもあって先程よりも上手くなっているのを自分でも感じた。
きちんと2体目も灰のように粉々になったのを確認してやっと落ち着きいた時間が取り戻される。
まだ序盤であるというのに、ここまで厄介なトラップが仕掛けられていると考えると先へ進む足が重くなる。
「俺まじで何も出来なかったぜ。」
安全が確保されると後ろの方から現れるクルート。
自分がこの罠を作動させたということもあってか反省しているのが全身から伝わる。
「どうやら新たな道が開かれたのを見ると、戦わないといけない相手だったので気しないでいいと思いますよ。」
「お、おう。今度は大人しくしておくから。」
本人も少しずつ気付いてきているのだろう。
まともに戦闘は出来ずただ付いてきているだけだということに。
それでも決断したのは本人の意思であることに間違いはない。
「今ならまだ戻れるぞ。迷いがある人間を連れて行けるほど楽な場所じゃないんだろ?」
「分かってる。俺が行くと決めたんだお前らがどれだけ拒絶しても付いていく。」
吹っ切れたよう何よりだ。
少しばかりの休憩を挟んだ後に新しく出現した道を進んでいく。
洞窟の暗さはより一層深くなる。
魔導具で辺りを照らすと、そこは人工的に作られたように舗装された道であった。
程なくしてそれが迷路のようになっていることに気付く。
「ただの迷路って訳じゃないわよね。」
「そうだと思いますよ。賢竜が作り上げた洞窟がそんな簡単な訳ないですから。」
通路に置かれたランタンが俺達を歓迎するように光を灯している。
それに従うようにして全員が止まった足を進め始めた。
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