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第104話 洞窟の中で

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

いくらニペガピでお金を集めたからと言って、依頼をしないわけにはいかない。

当然、入るお金がなければ減っていく一方だからな。

依頼と聞くと面倒くささもあるが、最近では慣れてきたこともあってスムーズに行くことの方が多い。


「また、あの洞窟ですね。」


「気分が良いとは言えないが、依頼を受けるならエルフの森かあの洞窟が効率が良いからな。」


あそこで採れる鉱石を集めるのが今回の依頼だ。

採取した量によって金額が変わるタイプだったので、7人もいれば相当な金額が稼げるはず。


「まずは、リザードマンがいなくなったせいで急増した魔物達をどうにかしないといけないですね。」


「【念力】+【迅雷投擲】」


先に動いたのは珍しく井村だった。

スキルのコンボまで覚えており、急激に成長しているのを感じる。

蜘蛛の魔物は、その一撃だけで倒れているのを見るとコントロールも完璧なようだ。


「油断するな!敵はまだまだいるぞ!」


井村の方に注目していたが、大城の言う通りおびただしい数の魔物が通路を塞いでいる。


「前まではこんなことなかったのに。」


清水はこぼした言葉は、リザードマンがいればという意味を含んでいるのだろう。

敵だと思っていた種族を排除した結果、新たな弊害が生まれるのは人間の愚かさを物語っているな。


「一気に片付ける。どいてろ。」


刀を取り出して構える。

呼吸も忘れ、周りの音など完全に入ってこない集中状態。


「【一心化】!」


空を斬る一振りはやがて斬撃に変わり、その圧倒的な力を持って魔物を次々と切り裂いていく。


進化刀の扱いも最初に比べてかなり上達したと自負している。

前の世界では刀に触れたことすら無かった。

これは俺のセンスなどではなく、進化刀が導いているとしか思えない。


「魔物を倒したまでは完璧でしたけど、その後に考えごとをして動かなくなるのはダメですよ。ほら、ここに残った敵が。【衝撃】」


「お前が来るから問題ないだろ。」


「まーた、そういう屁理屈を。」


実際に魔物には気付いていなかった。

と言うよりも数匹ぐらいなら反応が遅れても倒せると思ったから、無防備に体を晒していた。


「道が空きましたよ!ほら、あそこにもここにも、鉱石が!」


「でも、これは図鑑によると違うみたいだよ。今回の鉱石はもっと奥にあるらしい。」


本を取り出した井村がページを素早くめくり調べる。

どこのページに何があるのか分かっているような動きだな。


井村は知識の面で、ここにいる誰よりも長けていると言っても過言ではない。

上野も知識量で言えば負けていないが、新しい知識への探究心で上回る印象が強い。


「また魔物とか出てこないでしょうね。」


「出てこないわけないだろ。てか、宮武が魔道具使わないんだから問題ないだろ。」


「何?使っても良いけど、その分お金払ってよ?」


「喜んで戦わせていただきます。」


宮武の前でお金が絡むような話をして良かった試しがない。

それにこのパーティの活動資金として使っているお金も大半は宮武があの時に集めたものなので、頭が上がらないのも事実。


辺りを警戒しながらも慎重に奥へと足を進める。

魔物もいるが個体数は。入り口前と比べて明らかに少ない。


反響する足音を聞きながら歩いていると、俺達のものではない奇妙な音が聞こえる。

それは徐々に大きくなる。

事実確認のために音のする方へと進んでいくと、元々リザードマンのいた空洞についた。


「・・・あれは何だ。」


「動く岩ですかね。あれが壁などにぶつかっている音が聞こえてきたのでしょうね。」


名前:ストーンゴーレム

称号:【洞窟の新王】

スキル:【土魔法】Lv7 【吸収】Lv3 【衝撃】Lv4 【メテオバースト】Lv6 【防護壁】Lv7


どうやら動く岩の正体は、ゴーレムだったようだ。

リザードマンがいなくなったこの洞窟で王として君臨しているらしい。


ゴーレムは何故暴れているのだろうか。

その疑問の答えは、すぐにでも分かる。


「やめろー!ここは俺達の場所だ!」


「お願い!私達が何をしたっていうの!」


声が聞こえる。

人間の声の可能性もあるが、生き残りのリザードマンの可能性を信じたい。


聞こえた先にいたのは、人間とは違う体に鱗を纏い槍を持って戦おうとする勇敢なリザードマンの姿があった。

しかし、その体は前に見た大人よりも遥かに小さいことから、命からがら残すことの出来た希望なのだと分かる。


「大丈夫!私達が助けるから!」


無鉄砲にリザードマンの子供達に声を清水。

彼女自身は理解していないようだが、配慮に欠けている。

目の前で家族であるリザードマンを人間の手によって根絶やしにされたのだ。

人間という一括りに俺達も含まれているのは言うまでもない。


「人間もいるのか!来るならこい!ゴーレムとまとめて倒してやる!」


「待って!違うの!」


暴れているストーンゴーレムよりも1人で近づいて行った清水を倒す方が簡単と判断したか、剣を持ち真っ直ぐに突進してくる。

剣の扱いは、幼い故か拙いが勇敢さは誰にも負けないだろう。


「そんなことを考えてる場合じゃないな。井村、サポートを頼む!」


「一ノ瀬さんやめてください!話合えば分かります。」


状況を理解してないのは、清水の方だ。

話合いをするにしても誤解を解くにしても、リザードマンの攻撃を受け止めて冷静にさせる必要がある。

興奮している者同士がぶつかり合っても解決にはならない。


「【反転】」


刃先が後数十センチで清水に届くところで俺と清水が入れ替わる。

間もなく金属特有の甲高い衝突音が洞窟内に反響する。


「い、入れ替わりやがった!」


「狐に摘まれた気分か?ってこっちじゃ伝わらないか。」


「こいつ、何を訳が分からないことをごちゃごちゃと。」


「訳が分からないままで何もするな。俺達があのゴーレムを倒してやるから。」


「ふざけんな!ここだけは、俺が守らないといけないだよ!ってあれ?こいつ俺と会話してる。」


やっと俺が会話できることに気付いたのか。

それに気が付けば、話は単純だ。


「選べ。憎き人間と協力してこの村を守るか、村を放棄してまで憎い人間を殴るか。選択肢は2つに1つだ。」


「迷うまでもねぇーよ。お前らは後でブッ飛ばす!今は、手貸してもらうぞ。」


常人なら、判断するまでに時間が掛かる。

状況を完全に理解できていないはずだ。

それなのに、守るべきモノのために復讐心を胸の奥にしまってまで協力を依頼することがどれだけの信念が必要だろう。


「いつも、お前ばかりに活躍させている。今回は俺もいくぞ。」


「僕ももちろん全力で倒しに行きますよ。」


リザードマンがこちらの援護を許可したのを見計らって、前線に集合する上野と大城。

後衛も準備はいつでも出来ている様子だ。


「下がってろ。お前は。」


「私も戦うわ!だってここは私の居場所でもあるもの!」


「お前まで!・・・お前まで失ったら俺はどうやって生きればいい!」


激しい戦いの前に2人のリザードマンは白熱する。

この世にたった2人だけの家族。


女の子のリザードマンは、清水に連れられて安全な場所まで離される。


俺は絶対に守らないといけない。あの時何も出来なかったせめてもの償いとして。

ご覧いただきありがとうございました!

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毎日22時から23時半投稿予定!

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