第103話 疑いを呼ぶ花
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鑑定結果が出た。
食事は予想通り異物が混じっていたことが判明。
話によるとプロドエルという花から採れるエキスが混じっていたようだ。
プロドエルは、強烈な興奮作用が含まれており、内面に秘めた思いが爆発してしまう代物。
それを知っていた誰かが悪用した可能性が高いらしい。
「犯人がなんとなく分かって来ましたよ。」
「これだけの情報で何か分かるのか?」
得意そうに犯人が絞れたと話す上野だったが、花なんて誰が持っていてもおかしくない。
俺は半信半疑で聞き返してみた。
「この間ギルドに行った時に依頼書を見ていたんですが、その中にありましたよプロドエルの花を採取する依頼が。」
「それで、依頼人は誰だったんだ?」
答えを言うまでに溜めを作る上野。
大事な場面なので、決めポーズでもしたいのだろう。
「犯人は、ギルドです。」
指先は今し方出て来たギルドの建物を指している。
依頼人は、ギルドだったということか。
何故、ギルドはこんなに危険な花を欲しがったのだろうか。
「仮にギルドが犯人だったとして、目的はなんだったと思う。」
「ギルドで何かが行われていたと思っています。冒険者を駆り出すことでギルド内を空にして何かしていたとしか。」
「直接聞いて素直に答えると思うか。」
「良いのがあるじゃないですか。」
真偽の審判のことを言っているのだろう。
俺が迷っているうちにギルド内で入ってしまっている上野。
1人で問題を起こしたら目も当てられない状況になるので仕方なく後を追いかける。
ギルド内はいつものように冒険者で賑わっていて到底何かがあったとは思えない。
ギルド職員のいる依頼受付カウンターに行くと俺達の言葉を待たずして、テンプレートの文を聞かされる。
「いらっしゃいませ!依頼なら、こちらで。冒険者登録でしたら、あちらの窓口で行っています。」
「ちょっと聞きたいことがあるんですが、よろしいですか?」
受付の職員も質問と聞かれて首を傾げている。
普段は勝手の分かった冒険者しか来ないから珍しいのだろう。
「以前、プロドエルを採取する依頼を出してしたのはギルドで間違いないですか?」
「プロドエルの依頼ですね。確認しますから少々お待ちください。」
パソコンに酷似している魔導具を使い、調べているようだ。
時間にしたら30秒ほどで結果が出る。
「そうですね。最近ギルドで1件だけプロドエルの依頼を出していますが、これがどうかしましたか?」
「彼らは私達を疑っているんだよ。」
ギルド職員の後ろから出てくるギルマス。
ローエリアの食事を調べた時点でこちらの動きを察知していたのだろうか。
「単刀直入に言うとそうですね。お答えください、ギルドマスターさん。今回の事件は、貴方が引き起こしたんですか?」
「さぁ、どうでしょうね。」
はぐらかされた。
相手をしないつもりでいるのだろうか。
プロドエルの依頼の件がある限り、1番犯人候補として有力なのはギルド、いやギルドマスターだろう。
「これ以上の収穫は望めないでしょうから、行きますか一ノ瀬さん。」
上野も諦めてギルドから出ることに。
まだまだ情報が少ないので断定は出来ないから仕方ない。
「今後はどうやって動くつもりだ?」
「今はどうしようもないですね。また、犯人が動いてくれれば楽に見つけられるんですが。」
「縁起でもないこと言うんじゃねーよ。」
そろそろ日が暮れそうになる時間帯。
1日中動き回った結果が、ギルドが怪しいということとだけ。
成果としては少ないように思えるが、頑張った方ではないかと自画自賛しておく。
俺とは違い上野はかなり悔しそうでさっきから何も喋らずに考えにふけていた。
街の騒がしさも落ち着きを見せ、いつも通りの生活に戻っている。
ただ、奴隷達を隣に歩かせている人間が少ないのは、多少なりとも影響があったと言える。
「おっ、こんにちは〜!どうでしたかおふたりは?」
「現状では、犯人を断定するのは不可能だな。」
「断定出来ないと言うことは、候補は上がっているんですか?」
興味を持ったのかグイグイ聞いてくる清水に1から状況を説明することになる。
それと引き換えに清水もエルフの奴隷を解放する交渉に行った話を始めた。
「なんとなんとですね!1回の交渉で成功したんですよ!」
俺はてっきり失敗に終わったのではないかと思って話を聞いていたが、事実は大きく違っていたようだ。
元気の理由はそういうことだったのか。
あれだけの大金を使ったエイジオが簡単にエルフを手放すことを決めたのか。
何か裏があると思ってしまうのは考え過ぎか。
「エイジオはただ分かったと返事をしたんですか?」
「そうですよ。確か、もうすぐ家族に合わせてやるから安心しろって。」
「エルフの村に帰す話はしてないよな?」
「するわけないじゃないですか。ただ、理由は言えないけど解放して欲しいとだけ。」
「なら、大問題ですね。」
情報は流していないのに、エルフが奴隷になった同族の解放を狙っているのがバレている。
家族という単語を言ったのもこちらの情報が筒抜けなことを知らせる挑発だ。
「狙いはなんだと思う。」
「エルフの村の特定といったところですかね。」
「え?どういうことですか?話が全く分からないですけど。」
「エルフの奴隷を解放したのは、解放後にエルフの村に帰すことを前提として場所を特定するつもりでまず間違いない。」
「特定したところを大量に捕獲していくつもりなのではないですかね。」
いくらなんでもエルフを全員を相手するとは思えないが、リザードマンの巣窟で見たあの実力からすると十分可能性としてはありえる。
そうなれば、人間対エルフの関係は悪化していくばかりだ。
「止めるしかないでしょうか。」
「もちろんそうするつもりだ。恩を仇で返す人間じゃないだろ?」
まだ、具体的な作戦が決まったわけではないが助ける以外の選択肢は存在しない。
真っ向勝負になる可能性も捨てきれないので、実力を磨いておく必要性も考慮しておこう。
「ここからは、冒険者やギルドに味方はいないと思ったほうがいいですね。行動も筒抜けかもしれません。」
「それで他の奴はまだ聞き込みでもしているのか?」
「何が聞き込みしているのか?よ。呑気にサボってないで終わったならこっち手伝いなさいよ。」
後ろから軽くチョップを喰らう。
振り返らなくとも怒っているのは、宮武だと分かるな。
「俺達も聞き込みでかなりの情報を入手してきた。」
小原と宮武、大城と井村がペアでドラゴンの巣窟について情報収集をしてくれていたようだ。
成果は少ないと思っていたが、まさか逆の結果だ。
「多過ぎでどれが秘宝のある洞窟か分からないくらいよ。」
ドラゴンがいる洞窟だけならかなりの数あるようだが、そこから秘宝のある洞窟を探し当てるのは至難の技だ。
聞き込みをした相手がどのようなことを言っていたのかを共有しながらある程度候補を絞るしかない。
最終的に情報をまとめ上げて今後の方針を再度練り直す。
裏で動く陰謀と交わる日は、そう遠くないと誰もが理解をしながら。
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