第102話 犯人は誰だ
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騒動が収束後の俺達の動きは迅速だった。
いつものように分担して各自調査を進めていく。
俺が振り分けられたのは、今朝起こった事件の黒幕を探すこと。
1人で動く事が出来れば自由気ままに調べられたが、今し方起こった出来事ということもあり俺ともう1人上野が指名された。
嫌な予感がする。
お願いだから誰も犯人とか事件とか上野の嗜好を刺激するような発言はしないでほしい。
もしも、そうなった日には盛り上がりが最高潮に達した上野に四六時中連れ回されることになる。
「本当に僕はラッキーだ!名探偵と助手の仕事が再始動ですね!」
時既に遅し。
この状況だけで勝手に盛り上がっているみたいだ。
醜態を見ていれなくなり、先に街を歩くことに。
そのままついてこないければ良いと思うがそうはいかない。
1分もしないうちに俺がいないことに気付き慌てて後ろを追いかけてくる。
「ちょっと置いていくのは酷いですよ!僕らの腕の見せ所だと言うのに。」
「俺はお前とコンビを組んだ覚えはない。ふざけている暇があれば聞き込みの1つでもするぞ。」
まずは、ハイエリアで他に騒ぎがあった場所へ行き、目撃者の情報を集める。
時間にしたら1〜2時間ほど経過したが、一目見ただけで何があったのかが窺えた。
こっちは人がバラバラに倒れているというより綺麗な山積みになっている。
人もまだまだ残っているようだな。
「今良いですか?なんでこれだけ人が集まっているんですか?」
何も知らないフリをして話を聞こうとするとあっさりと答えてくれるようだ。
人の心理を突くのが上手い上野を見てさっきまでと違い感心してしまう。
「なんだアンタら。今、街で何が起こっているのか知らないのか?奴隷達が暴走してこの有様だ。」
「でも、今は収まっているということは誰かが対処したんですか?」
「それがなんとなA級冒険者のフウライさんが来てくれたんだよ。他のところは、程度の低い冒険者が来たと聞いているからラッキーだったとしか言えないね。」
ここでも、フウライの評価は高いらしい。
周りからの評判が良く、ギルドでも異例な功績を残している。
非の打ち所がないとはまさに彼のことを言うのだろう。
「噂をすればこっちにフウライさんが来たぞ!アンタも手ぐらいは振ってもらえるかもな。」
男が言ったように、フウライはこっちに近づいて来ている。
知らないフリをしようかと思ったがあちらから声を掛けてきたので逃げようもない。
意気揚々と話をしていた男もまさか俺がフウライと知り合いさと思ってもいなかったようで、口を開けたまま戻らなくなった。
「よぉー!イチノセ!それにウエノだっけ?お前らもこの騒ぎを聞きつけてやってきたのか?」
「いえいえ、フラフラと散歩していたら人集りが見えたのでどうしたのだろうと思いまして。」
「わざわざ、こっちの宿屋まで散歩かぁ。」
隣に話を聞いた男がいる手前、知っていたと言わないのは上野なりの優しさか。
上野の嘘になんとなく気がついている様子のフウライ。
彼が言う通り、わざわざ泊まっている宿屋から別の宿屋まで散歩する人間は中々いない。
チラッと隣の男を見て状況を理解したのかこれ以上は追及してこない。
まぁ、肝心な彼もこの至近距離でフウライを見て言葉を失っているようだがな。
話を聞いていた感じ尊敬や憧れを感じていたしアイドルと似たような扱いなのは察していたけど。
「俺の方は、かなりの荒れ具合だった。中には、重症の怪我を負った市民までいたようだ。」
「武器を持っている奴でもいたのか?」
「そう言うことではない。ただ、普段から戦闘を自分でしない奴らばっかりだから自分の身を守ることが難しいんだろう。」
つまり、俺達のところと同様に素手で暴れていたということになる。
最初は計画的な犯行にも思えたが所々粗が目立つな。
そもそも狙うべきは人が少ない真夜中、もしくは冒険者が依頼などで少ない昼間だ。
「計画的な犯行でないとすると犯人は咄嗟に思い付き実行に移したとも考えられますね。暴動を起こして時間稼ぎをしたかったという理由なら計画性も捨てきれませんが、武器を持たせた方がより効果的ですし。」
「思い付かなったと言うには少し無理があるか。だが、気になることが1つ。」
「隷属の首輪ですよね。1度、僕がローエリアに行った時には全員隷属の首輪をつけていましたから。」
「それを外せる人間が咄嗟に行動に移すだろうか。それを外す大変さやリスクを考慮すれば慎重になるだろ。」
「となると真犯人が誰かを唆して暴動を起こさせた。これはミステリーっぽくなってきましたね。」
その可能性で調査を進めていく方が良いだろう。
自らの手を汚さなければ捕まる確率は低いと考えたか。
実際、犯人を絞るのは難しそうだ。
「ローエリアに行くぞ。こっちでも情報も重要だが、あっちにも証拠はあるかもしれない。」
「おっ!乗り気になってきましたか!」
上野に言われるのは腹が立つが、実際に真相へ近付いているのは面白いと思ってしまった。
そんなことを口に出すと上野が調子に乗り出すので、今後は気を付けよう。
移動時間も上野が話を振ってくれているのを俺が返す時間が続く。
会話のネタを考えなくても勝手に話が続くので余計な気を遣うこともなかった。
「ローエリアに到着はしましたが、やはり人は全く見当たりませんね。」
移動時間はだいたい20分程度。
距離にすればまぁまぁ離れてはいる。
そして、変わったことといえば上野の発言のように人が全くいないこと。
「仮拠点らしき所があるのでそこまで行って見ましょう。」
前回来た時には、少し見ただけで引き返したのでローエリアには詳しくないが、上野は違うらしい。
1度来た時にある程度見て周ったのだろう。
「前来た時に行ったのか?」
「あれだけマップに強調してハイエリアとローエリアを分けられたら気になりますからね。」
「よく見て周る余裕があったな。」
「僕は何も気になりませんでしたから。」
案内されて辿り着いたのはテントの集合地帯。
奴隷寸前の人間は、ここでの生活を強いられていたのか。
外から様子を伺おうをしていると躊躇なくテントを開ける上野。
何をしているんだと制止させようとするが、人もいるはずがないので自由にやらせることにした。
「これは支給される食事でしょうか。食べかけですね。」
テーブルの上は上野が言った通り食べかけの食事が3セット。
その他は服以外の物は無く荒らされた形跡も無い。
手荒なことはしていないと見て、まず間違いない。
他のテントも見たが、結果はどれも同じ。
どのテントも食事途中で荒らされた形跡も無し。
「となると、あの食事が怪しいでしょうか。」
「食べてみるのか?」
「流石に無理ですね。しかし、どこも食事の途中だったのは不自然です。配給にズレはないでしょうから、同時に異変が起こったとしか。」
食事を1つアイテムバッグに入れてギルドで調べてもらうことにした。
何か異変が出れば、その物質から特定に繋がるかもしれない。
ローエリアからそれ以上の物証はなく、諦めてハイエリアに戻りギルドへ直行した。
結果が出るまでは時間が掛かるようなので、犯人特定はまだ先のことになりそうだ。
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