第101話 人混み
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今日の目覚めは最悪で外の騒がしさで起こされた。
他のベッドを見ても誰もいないので騒ぎに気づいて先に様子を見に行ったのか。
俺も頭が回らず立ち上がることを拒否しいている体をなんとか起こして、階段を降りる。
急いで外を確認しないといけないと分かっていてもフラフラしている自分の体を制御するので精一杯。
階段を下り切った頃もまだ騒ぎは収まっていないようだ。
近くに知っているやつがいないか思っていると、上野が俺を見つけて状況を説明してくれる。
「あれですよ!ローエリアにいたはずの奴隷候補達やオークションで売られるはずの奴隷達が何故か解放されていて暴れ出しているんですよ!奴隷中には元冒険者もいて大混乱です!一ノ瀬さんも早く手を貸してください。」
いきなり状況を端的に伝えられて手伝えと言われても何が起こっているのか理解するまでに時間が掛かる。
それでも、腕を引っ張られてしまい寝起き早々戦地に立つことに。
戦闘が始まれば嫌でも状況が理解できる。
「これはゾンビの群れみたいだ。」
「バカなこと言ってないで手を動かしてください!」
いくら相手が反乱を犯しているとは言え、殺してしまうのは道理に反する。
こっちがわざわざ気絶させるで加減しないといけないので面倒だな。
「【土魔法】”マッドショット”」
攻撃力は低いが足止めには最適である土魔法を唱えてみる。
戦闘経験が皆無である相手にはこれで十分過ぎる効果が出る。
しかし、元冒険者や身体能力が高い相手には通用しない。
それだけでなく、数も以上なまでに多い。
前回、ローエリアに行った時にはここまでの人数はいなかったはずだ、
「おい、どうする!加減してる間にこっちが飲み込まれるぞ。」
「どうするのって分かんないわよ!ここじゃ、まともに魔道具使えないし!」
「ここは私が役に立ちそうです!【愛の劇薬】」
清水の覚醒スキルの初出しがまさかこんなところで行われるとは思ってもいなかった。
それと同時に、清水の覚醒スキルを喰らった人間の安否が不安になる。
「殺したりはしないので安心してくださいよ。私の覚醒スキルは相手に異常状態を付与する優れもの。他にも詳しい条件がありますがそれは内緒です。」
口元で人差し指を立ててポーズを取る清水。
普通なら可愛いと思う場面なのかもしれないが、今は恐怖が勝っている。
これから先、清水に対して刃向かうことがあっても覚醒スキルとか使ってこないよな。
「清水さん助かりましたよ。ここにいる人は全員沈静化に成功ですね!」
全員が清水の活躍に喜びや賞賛を贈る。
突然のことに取り乱す人も多かっただろうから、迅速な対処が行われて一安心しているという証拠だ。
遅れて登場したのは、ギルドが派遣してきた冒険者達。
この無数に倒れ込む人間の数々を見て死体かと思ったようだが、近づいて息があるのを確認した。
「これは寝てるだけか。いや、寝てるだけにしてもどうやったらこんなことに。」
冒険者の登場に辺りはざわつき始める。
後から来ておいて淡々と状況の確認をする姿が金持ち達には気に食わなかったのだろう。
「ふざけんな!1歩間違った大変なことになってたぞ!」
「そもそもどうしてこんなことになっている!」
「心配で心配で安心して生活できないじゃない!」
どれも身勝手な要望だ。
自分の身を守るのは、冒険者でもギルドでもこの国でもない。
自分自身である。
それを棚においてここまで罵詈雑言を浴びせられるのは、いくら金を持って上品に振る舞おうとしても品性が窺える。
駆けつけた冒険者も黙っているほど、穏やかな性格ではないようだ。
「黙れ!!!」
怒号は一瞬にして空気を変え、うるさかった声も聞こえなくなる。
静かになったことを確認した後に、冒険者達の言葉は続けられた。
「俺らはお前らがどうなろうとしったこっちゃねぇーんだよ。勘違いすんな。」
「助けて欲しけりゃ護衛として雇うんだな。まぁ、そうするぐらいならそこら辺に落ちている奴隷からまともな奴を拾った方がいいだろうけどな。なんたって俺達は従順な奴隷と違って噛みつくかもしれないから。」
「なんて下品な奴らだ!おい、誰かアイツらをどうにかしろ!」
矛先はすぐに俺達に向いた。
先程の騒動を収める際に目立ち過ぎたのかもしれない。
当たり前のように俺達が動くと思っているのは、気分が良くないな。
金持ち達は動く気配がないと察知するなり激怒しながら近づいてくる。
酷い者は腕を引っ張り強引に前へ立たせようとする奴もいた。
限界を迎えた俺はダガーを空いている片手で取り出して、腕を引っ張る奴の首元に突き立てる。
「ひぃひーー!何やってる!は、刃物じゃねーか。」
「あの冒険者の言うことが正しいとは言わないが、お前の世界が他人の世界と一緒だと思わない方がいいぞ。次はこの刃物が押し込まれることになる。」
本当にそんなことをするつもりはないが、脅しにしては丁度良いだろう。
何でも思い通りになる生活を続けて来たのだろうが、今回は度が過ぎている。
「わ、分かったから!その刃をこっちに向けないでくれー!!!」
懇願を聞いてので、素直にダガーを下そうとした時、銃を構えてきた。
それもかなりの近距離だ。
「これだから低俗な奴らが嫌いなんだ!鉛玉を食べて死ねば良い!」
「ごちそうさん。」
銃を普段から撃ち慣れていないせいなのか発射までに数秒の時間がタイムロスが生まれていた。
それだけ時間があれば、ダガーの柄で殴って気絶ぐらいは可能だ。
「おいおい、お前良かったのか?いくらゴミみたいな性格の奴とは言え殴るのはまずいだろ。」
事の顛末を見届けていた冒険者が近寄ってくる。
あれだけ民衆を煽っておいてその言葉はないだろと思ったが、俺が殴って気絶させたことは事実だ。
「こいつも巻き添いを喰らって寝てたことにすれば良いだろ。」
「まぁ、俺は何も見ていなかったことにしておく。周りの奴らもこれだけの実力見せつけられたら報復が怖くて告げ口なんて出来ないだろうし大丈夫か。それよりも、この奴隷の数々はどうなってるんだ。」
「ギルドから何も情報はないのか?俺達は情報なんてないぞ。」
「俺達も各地で反乱が起こったことぐらいしか聞いてないな。もしかすると上級冒険者は知っているかもしれないがな。」
冒険者の中には知らないで暴動の最中に送られた奴もいるのか。
確実にこの騒動を手引きした人物がいる。
理由が街を混乱させたかっただけなら良いが、ここまでの規模のことをしておいてそれはないだろう。
「あ、そうだ。1つ知っているのは、奴隷になる人間も既に奴隷の奴にも隷属の首輪という魔道具が付けられている。それを解除できるのは、奴隷商くらいだろうな。つまり、犯人は奴隷商の中にいる。あくまで俺の推測だがな。」
「やけに、俺に情報を与えるな。目的はなんだ。」
ここまで親切にされる理由はこの冒険者と俺の間には存在しない。
それどころか、今日会ったばかりの相手。
「金持ち殴った時にスッキリしたお礼さ。冒険者ってのはそれぐらい自由でないとな。」
要件は済んだからなのか、その場から去っていく。
残された俺達がこの惨状の後始末をしなくてはならなくなったのは言うまでもない。
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