第096話 エルフの住む森
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
「今回の依頼に参加することになったフウライだ。この森は数回依頼で来ているから俺の方が詳しいと思うし任せてほしい。」
「まかせろっていきなり言われてもね。アンタ、ソロの冒険者なんでしょ?わざわざこんなパーティのお世話をする義理なんてないんじゃない?」
開幕で捲し立てられてしまったフウライは、俺の方を見て助けを求めている。
そんな顔をされても、俺は助け舟は出してやれないのにな。
「あ、いやそうだな。俺はこいつを知り合いだからな。どうしてもって言われて付いていくことにしたんだよ。」
俺の方に近づいて方を持つ肩をガッシリと掴んでいる。
少し力を入れたぐらいでは振り解けないので、諦めて協力することにしよう。
「フウライとは奴隷オークションで知り合った。ここら辺の情報はかなり知っているようだし、役に立つのは間違いない。」
「一ノ瀬さんってそういうところの詰めは甘いですよね。まぁ、肝心なところでは問題なかったから今があるんでしょうけど。」
「案内はあった方がいいことに間違いない。慣れない土地で歩くのは命取りだからな。ぼさっとしてないで行くぞ。」
大城が上手くまとめてくれたおかげで無事にフウライが合流することができる。
森の中に1歩踏み入れるとそこは危険の連続。
「何よこれ、変な虫が寄ってくるんですけど!」
「うわわぁー!この地面、足をかなり取られます!」
慣れない環境の変化に全員がパニックに陥っている。
その声を聞くことで、さらに不安感を煽られる。
「落ち着け!これ以上下手に動いてみろ。死ぬぞ。」
フウライの真剣な表情から放たれた言葉は、俺達を正気に戻すには十分だった。
次の指示があるまで誰もその場から動くような真似はしない。
「まずは、火魔法を使え。ここの虫は生きているものに反応するが、火を異様に嫌う。」
「ここで火魔法なんて使ったら木々に燃え移りませんか。」
「木には火耐性がある。あと、お前が沈んでいる沼はじっとしていると逆に浮ぶようになっているから脱出は簡単だぞ。」
あの一瞬で状況は全て把握して対処方を提示するところが場慣れしていて、冒険者としての力量の違いを見せられている。
フウライは、的確に指示を出しながらも、森の中の様子を監視いているようだ。
耳に手を当て、微かに聞こえる風の音を感じている。
俺達にはただの風と変わらない音に思えるが、どうやらフウライには違うように聞こえているらしい。
「来るな。構えろ。」
短い言葉にどれだけの意味が含まれているのだろう。
それを理解する頃には、目の前に広がる光景が物語っている。
「まさか、そっちの方から来るとはな。」
「歓迎的って感じではないのは伝わりました。」
弓を構えているエルフが何十人も木の上で待機している。
俺はその理由を知っている。
奴隷にされた仲間の解放以外に目的はないだろう。
しかし、俺達を襲ったところでその解決にはならない。
そう交渉しようにも話を聞いてくれる雰囲気でないことくらい、目を見れば分かる。
「人間。余計な言葉は喋るなよ。お前達は我々の同胞の居場所を知っているか?」
「あぁ、知っている。」
俺達が余計なことをしないように真っ先に答えるフウライ。
ただの言葉のやり取りではない、命のやり取りをしているのだと思い知る。
「ならば、答えよ。」
「答えただけでたどり着けるのか?場所を知らなければ意味がないだろ。」
「そうだったとしても、全員を生かしておく必要はない。やれ。」
リーダーらしき風格のエルフの言葉によって一斉に放たれる矢は雨のように俺達へ降りかかる。
俺達が対処しようとした時には、フウライが動いている。
「【雷魔法】”サンダーボール”」
バチバチと音を立てて光を放つ球体は、1つの矢に当たった瞬間に連鎖して他の矢を消し炭にしていく。
その実力に敵味方問わず、驚愕の表情を隠せない。
「やるな人間よ。しかし、我々のフィールドで勝てると思ったら痛い目を見るぞ。」
「お前らの村にまで案内してくれ。そしたら、全部持っている情報を話す。」
「愚かだ。わざわざ棲家を教えてやるほどお人好しではない。お前らの意志は汲み取った。」
仲間全員に合図を送ると今度は弓ではなく、杖を構え出した。
とはいえ魔法スキルが来ることは、分かっているなら対処はいくらでも出来る。
俺は精霊の鏡を取り出しす。
そして、天から溢れ落ちる太陽の光を集めて力を発揮する。
その効力は地下で使った時とは比べ物にならないほどの力を感じる。
「待て!その鏡をどこで手に入れた!」
精霊の鏡に反応したエルフ。
魔法スキルの行使を取りやめてまで興味を示している。
エルフのとってこの精霊の鏡が深い関わりを持っているのは明らかだ。
「それをこっちに寄越せ。」
冷静だった態度を少し崩してこちらに話しかける。
だけど、今まで攻撃を仕掛けてきたような相手だ。もし渡してしまえば、返ってこない可能性だって十分に考えられる。
「渡したら返ってくるとは思えないな。」
「いや、必ず返すと約束しよう。」
念の為取り出した真偽の審判にも反応はない。
しかし、いくら反応がないとはいえ、渡してしまうのは不用心か。
それとも穏便にことを済ませるには、仕方ないか。
空気が一瞬凍りつく。
エルフ達は何を話しているかは分からない程度の声でざわつき始める。
「現れたのか。まさか人間共が成し遂げることが出来るとは。」
「どういうことだ。この真偽の審判に何かあるのか。」
「エルフの村にある言い伝えだ。魔を討たんとする勇者、秘宝を持って現る。残る1つを求めて。」
今の状況と全く同じことが起こっているということだな。
ここまであまり良い印象を残せていなかった俺達だが、秘宝によって一気に覆された。
他のメンバーは、何が起こっているか理解するのに時間がかかる様子だ。
「ここまで来れば言い伝えに従う他あるまい。ついてこい。」
付いてこいとだけ伝えてどこかへ行こうとするエルフ達。
この感じからして罠ではないと思うが、ノコノコと付いていって良いのだろうか。
「迷っている暇はない。いくぞ。」
フウライの後押しもあって、歩みを進めるしかない。
もしも、そうで無かったとしてもこんな機会は簡単には訪れないはずだ。
「エルフって人間嫌いなんですね。なんか、私とちょっと似てます。」
横から登場した小原がそう呟いた。
本人に直接言うことは無かったが、ちょっとそれは違うのではないだろうか。
エルフは仲間を人間に攫われて、奴隷という酷い扱いを受けている。
人間からの悪意が原因なのは同じだが、少し内容は違うだろう。
「ここが村だ。今から見る物はお前達だから見せる。他言はないようにしてもらいたい。」
急激に信頼を寄せられているのが余計に恐いが、仕来りを重んじる種族だということで納得することにした。
俺達は何もなかったはずの空間に進んで行くと、そこには立派な村が突如として出現した。
「ここが我が村だ。魔王を討伐する一筋の光である勇者に深い敬愛を。」
エルフ全員がこちらに対して跪く。
憎い人間であっても勇者であればこのような態度を取らないといけないのは、あまりに酷だと感じた。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




