7_かり_1/2
リョウは霞猿の死体を荷台に乗せ、カトチトァ村にやって来ていた。
ガラガラと音を立てる荷台とその上の積載物は、彼の魔法の支えのおかげでひと一人の力でも安定して山道を下り、離れのリョウの小屋からこの村の門へと難なく到着した。
「村長」
「………おぉ」
木造でそこまで大きくもない門口の隣に見知った顔を見つけ、リョウは門を潜ってその側に向かった。
門を通る際、村の門番と思しき若い男に睨め付けられるが、村長の態度を見て顔を正面に戻した。
「………リョウ、相変わらずだな。昨日の今日だと言うのに」
彼の言葉には素直な感嘆と、そこに織り交ぜられるように呆れが感じられた。
「………まぁ、予想はしていたが」
村長はそう嘯くが、それは事実であった。
彼はリョウに仕事を依頼した際、大抵のことを次の日にはこなしてしまい、その日のうちにその成果を引き下げて戻ってくるのだ。
それは余程距離が遠いとか、余程数が多いとか、そもそも日数がかかる依頼とか、そう言った状況でもない限り、ほとんど例外はなかった。
「魔獣など、普通は一日やそこらでは狩れんだろうが………」
「村長、お話があります」
リョウは村長のその言葉にはとり合わず、無駄話は無しと彼を急かした。
それを受けて村長はリョウの姿を一瞥し、門へと叫んだ。
「分かった分かった。おい!モンモバ!」
「村長、呼びましたか?」
先の門番と思しき若者が、村長の呼び声に答えて駆けつけた。
「これの荷物を解体師のところへ運んでやれ。俺は少しこれと話がある」
「わかりました」
モンモバと呼ばれた若者は、それを聞いて少し逡巡する素振りを見せたが、言う通りにリョウから荷台を受け取った。その重さに一瞬つんのめるように立ち止まった彼だったが、次の瞬間には力を入れ、それを村の中心へと引きずり始めた。
「ああ、少し待ってくれ」
そんなモンモバに、リョウは声を掛けて引き止める。
「イシタカに伝言を頼まれてくれないか。『傷について思う事があれば見解を』と」
彼は無愛想に頷くと、去り際に興味ありげにリョウを横目で睨めた。
リョウはそれに気づかない振りをして、歩き出した村長の背中に続いた。
「随分、若い守り手だ」
「まさに今日が初任日だよ。やる気も血の気もあるが、まだまだ中身が伴わない。まあ、小村の門衛くらいなら問題なくこなせるだろうて」




