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約束と契約4  作者: オボロ
60/64

#60 模索

マリアが見つけたマリアが理想とする悪魔の祓い方を、琴音や凪、B・Bたちに話してから、マリアも、B・Bたちも、御弥之様みやのさまに向かい、祈る時間が長くなった。


御弥之様の導きが、どうしても必要だった。



被害者が、また出た。


マリアは、通学途中のバスの中で、その話を聞いた。

B・Bたちは、参拝客同士の会話の中で、そのことを知った。



『最近、この近くで惨殺死体が見つかったって。』


『同じような遺体は以前にも見つかっていて、今回で4人目らしいわよ。』


『これは絶対に連続殺人事件よ。もう4人も殺されているんだもの。』



最近は、被害者が出たことをマリアの耳に入れまいとしてか、テレビをつけることはない。

新聞も雑誌も、マリアの目に入る場所には置いていない。

琴音や凪、B・Bたちが、マリアを気遣ってしていることだ。

けれど、被害者は出ているし、テレビや新聞でも報じられている。

度重たびかさなる報道に、無関心ではいられなくなった人たちの間で、徐々に噂は広まっていった。


マリアが通う都ヶ丘高校でも、噂をする生徒は、結構、現れていて、しかし、自分の身に降りかかるかもしれないとまでは、思っていない様子だった。

殺されている被害者の年齢が自分達よりもかなり上であることや、そこまでの恨みを誰かに持たれているとは思えないからだろう。

だから、恐怖によるパニックを起こす者はいない。

ゴシップと変わらない程度の噂にすぎないのかもしれなかった。

それならそれで、マリアにとっては救いだ。

だが、それもいつ変わるかわからない。


悪魔が狙う被害者の年齢が、いずれ下がる時が来るかもしれない。

マリアの知る人が、狙われてしまう時が来てしまうかもしれない。


マリアの不安は、日々増していく。


悪魔が必要としている人間は、少なくても13人。

だが、13人もの被害者を出すのは嫌だし、被害者の中に知人も知人に関わる人も、ただの一人ですら含まれて欲しくない。


その為には、一日でも早く悪魔を拘束する必要があり、一日でも早く悪魔を祓う必要がある。



どうにかしたい……



「………。」



どうにかしたい……



「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」



どうにかしたい……



どこにいても、何をしていても、思いは募る。



マリアにも、B・Bたちにも、御弥之様の導きが必要だった。















パーン!パパーーン!

パパーーン!パーン!





どんなに心配で不安であっても、学校行事である体育祭の日はやってきた。

どうして体育祭当日の朝に花火が上がるのかは分からないが、日本では、体育祭がある朝には、必ず花火が上がるという。


先日のリハーサル通りに、全校生徒は順番に入場門をくぐって行進し、決めた通りの場所にクラスごとに並ぶ。

校長先生は壇上に立ち、これから始まる体育祭に向けて、生徒達を鼓舞し、生徒会長による選手宣誓が行われ、予定通りに体育祭は始まった。


生徒達は一度、全員が退場門をくぐり、体育祭の競技場内から退出した。

退出した後は、すぐに競技に出場する生徒と、それ以外の生徒に分かれた。

第一種目と第二種目の出場選手は入場門に集まり、その他の生徒は、各々のカラーエリアに移動して、学年ごとに分けてある応援席に座る。

競技場内に第一種目の『大玉ころがし』の準備が出来ると、各学年4名ずつの女子がカラーごとに並んで入場し、スタートラインより後方の待機場所に停止した。

『大玉転がし』の出場選手が入場したあとの入場門には、第二種目の『ムカデ競争』に出場する生徒達が並んでいる。

実に、日本という国は規則正しいと、マリアは思った。









「どこにいる?」

「あそこにいる。」


体育祭が始まった都ヶ丘高校の校庭の端に並ぶイチョウの木の上に、一羽のカラスとイタチがいる。

クロとヴィゼだ。

コレだ!———と思える方法が見つからないままで、学校行事である体育祭になってしまい、マリアの様子が気になったクロが、こっそり神社を抜け出そうとしているところを、ヴィゼが引き止め、一緒に来た。

ヴィゼは、『クロだけでは心配だから』の一点張りだったが、マリアの様子が気になっているのは、クロだけではなかった。


マリアが通う都ヶ丘高校に着くと、生徒達の謎の行進を見つけ、一羽と一匹は困惑した。

クロとヴィゼもイギリスで行われるスポーツデーぐらいしか、体育祭らしきものを見たことがないのだからしかたなかった。

校庭に集まっていた生徒達は、しばらくして、ぞろぞろと移動を始めたあと、再び集まった生徒達だけで、また行進をして校庭の広い場所に出て来た。

そして、なぜか大きな玉を二人がかりで運びだし、その速さを競っているようだった。次に出て来た生徒達は、どういう意図がるのか、同じ方の足をひもで結び、縦に5人並んだ状態で、前へ進む競争をしていた。

勢いよく走っているグループもいれば、ぎこちない動きでゆっくりと歩いているグループもいる。

競技に参加していない生徒達は、競技している生徒達に声援を送っていた。


競技中の生徒達の中にマリアの姿は無かった。

声援を送っている生徒達はたくさんいて、マリアの姿を見つけるのは大変そうに思えたが、幸い、二人とも目がいいので、マリアはすぐに見つかった。


いつも一緒に居る友人二人と一緒に居る。


「大丈夫そうだね。」

「うん、大丈夫みたいだね。」



沢井萌々さわいもも清水美羽しみずみわと一緒に並んで座り、談笑しているマリアの様子を見て、クロもヴィゼも安心した。


長期休暇の時期ではない為、子供の姿で歩き回ることは出来ないし、カラスとイタチが一緒に行動しているのも不自然なので、このまますぐに神社へ帰ることも考えたが、せっかく来たのだから、都ヶ丘高校の生徒達や教師たちの様子も見たいと考え、クロは空から、ヴィゼは地上で身を潜めながら、生徒達と教師たちの様子を見て回ることにした。






校庭では、次の競技が始まりそうだ。




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