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約束と契約4  作者: オボロ
48/64

#48 悪魔の術と犠牲者の数


「他の七曜しちように、結界を張るための依頼は、我々の方からもさせていただきます。日本全土となると、同時に結界を張ることになると思いますが、詳しい日時はどうしますか?」



日本全土に結界を張り、悪魔が狙うだろう生贄の場所を絞り、そこで悪魔を祓う覚悟がマリアにあるのは分かった。

しかし、それ以外の詳しいことは、何一つ説明されていないことに不安を持った柿坂が、遠慮がちに発言した。

おそらくは、桧山も気になっていたのだろうが、琴音が一切、そのことを口にしない為、触れてもいいものなのか迷った上で、質問を後回しにしていたらしい。

桧山は、柿坂の言葉で、今、気付いたかのような振りをして、B・Bに尋ねた。


「あなたは、悪魔が今、行っている魔術を知っていると、おっしゃっていましたよね?」

「はい。」

「では、その魔術に必要な生贄は、何人ですか?」



「………っ⁈」


驚いたマリアがB・Bを見た。

マリアは、必要な生贄の人数まで、考えていなかった。


『………。」


琴音は驚いていなかった。


「………。」

「………。」


柿坂と榊原も驚いてはおらず、B・Bの答えを待っていた。

驚いていたのは、マリアと小松だけ。


「………。」


小松は、目も口も大きく開いて、驚いていた。


「………。」


凪は、驚くマリアを心配そうに見詰めている。



B・Bは、ちらりとマリアを見て、申し訳なさそうに言った。


「13人です。」


その人数を聞いた後、マリアの顔から血の気が引いた。


13人⁈

13人も、あんなむごい殺され方をするというの⁈




「13人ですか……。残り11人……」


桧山は冷静だった。

人数を聞いて、すぐさま頭の中で分析を始める。


「1人目の遺体発見と、2人目の遺体発見まで、12日ありました。だいたい10日間隔で1人を狙うと計算した場合、生贄を13人集めるまで、だいだい3ヶ月ぐらいかかることになります。この間にかかる日数というのは、どういう日数なんでしょう。生贄を見つけるのに、そんなに時間をかけるものなんですか?それとも、それは偶々たまたまであって、1日と置かずに生贄とすることも出来るんですか?」


当然のことではあるが、B・Bは、考える間もなく、即答した。


「空いている時間は、生贄を選ぶ時間と、術を仕込む時間です。生贄に、こだわりがあればあるほど時間は掛かります。術を仕込むのは、生贄にではなく、生贄が気を許すだろうと思われる人間に———です。だから、その人間を選ぶのにも時間は掛かりますし、術を仕込むのにも時間が掛かります。生贄となった男の遺体が発見された後、自殺している女性がいたと言っていましたが、おそらく、その女性に術が仕込まれていたんだと思います。」


「術を仕込まれた女性は、何をさせられたのでしょうか?」


「悪魔が狙った男を、魔界へと送り込む役目を果たしたはずです。もちろん、女性は、こんなことになるなんて、思わなかったと思います。だから、自殺をした。悪魔は生贄となる男を見つけたら、その男の周りに居る人間の中で、手駒となるだろう人間を選び、接触します。狙いどころがあるとしたら、そこだと思います。」


「なるほど……。」


桧山は納得した。

なんとなくだが、連続している惨殺事件の全容が、わかったような気がした。



まず、悪魔は、昨年の秋に、黒石神社の秋祭りに行った。

そこで七曜神楽により、祓われかけ、顔と腕を負傷した。

怒った悪魔は、その腹いせに、負傷した顔と腕を元に戻すための生贄として、わざと日本人を選び、その死体を、黒石神社の次期宮司が知ることになるだろう場所に捨てていた。

生贄には、自分好みの若くて美しい男を選んでいる。

その男を魔界に移動する為、男の近くにいる人間を利用している。

利用されていることを知らず、術により悪魔の手伝いをしてしまった人間は、その罪の重さに耐え切れず、自殺した。

次の生贄を殺すまでの間隔は、生贄を探す時間と、手伝いをさせる人間に術を仕込むまでの時間で、左右する。


しかし、全容がわかっても、阻止する方法が見つからない限り、犠牲者は出続けることになる。

今、少なく見ても、既に4人の犠牲者が出ている。


「今すぐ結界を張ることは出来ないわけですし、結界を張っても、阻止する方法が、まだ見つかっていません。これからも犠牲者は出ると、考えていた方がいいかもしれません。でも、我々は諦めていませんから。」


桧山は、そう言って、マリアを見た。


「宮司がおっしゃっていたとおり、あなたなら、何か方法を見つけてくれると信じています。また犠牲者が出たとしても、決して諦めずに方法を探してください。我々も、我々に出来る事をします。」


「………はい。」


桧山のまっすぐな目に見つめられて、マリアは頷いた。

ここで、無理ですと言う選択肢はない。


マリアの返事を聞いて、満足した桧山は、琴音に言った。


「今日は、これで失礼します。結界を張る日時や、何か策など決まりましたら、すぐに連絡してください。」


桧山は、これ以上、長居しても、今は何も決まらないと、判断した。





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