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約束と契約4  作者: オボロ
10/61

#10 恐ろしいのは、魔物よりも人間






琴音に頼まれ、マリアに同行することになったB・Bとクロとドドは、三四子川みよしがわに着いた瞬間から、ただならぬモノの匂いを感じていた。


ヒトとも、妖とも違う。

魔のモノではない、化けものと呼ばれる類のモノの匂いだった。


子供を溺れさせて殺している幽霊。

それはもう悪霊だ。

マリアが、どうやって退治するのか分からないが、殺すことだけを目的として存在している悪霊は、どんな魔物よりも恐ろしい。

祓うとなったら、逆上して、何をするか分からない。


そんなモノに、マリアを近づかせて話をさせるなんて、凪と琴音は何を考えているのだと、B・Bには理解しがたいことだった。

前のオオジョロウグモの時とは、何もかもが違った。


悪霊の恐ろしさを、凪も琴音も、本当に知らないのだろうか?


「………。」


B・Bは、マリアが心配でたまらなかった。


河童は妖怪だ。

人間の怨念によって、変わり果てた姿ではない。

水神のなれの果てではないかと、推測している本もあった。


そして、女は、河童ではない。


幽霊と妖怪は別物で、この世に未練があって現れるのであれば、悪さはしないし、憎い相手が居て現れているのなら、その者だけに災いは起こるもの。

しかし、今回の怨霊は、子供であること以外は選ぶことなく、殺しているように思えた。


目的は何だろう?


B・Bは考えた。


子供を食べて若返る魔女の話は、聞いたことがあった。

若くて美しい魔女は、実は老婆で、子供を食べて若返っていたという。


「………。」


クロとドドが話を聞いた鳥たちとカエルたちは、”ずぶ濡れの女”、”怖い女”と表現していて、”綺麗な女”だったとか、”若い女”だったとか、女性が好む表現を、全く使っていなかった。

つまりは、”綺麗な女”でも、”若い女”でも、ないということ。


食べる為に殺している訳ではないのだろうか?

では、なぜ殺す?

どうして子供だけを狙う?



マリアは、今日も遅くまで勉強していた。

ノルマがあるからだと、言っていた。

三四子川の悪霊には、明日、会いに行くことになっている。

だが、その前に勉強会に行ってくると、マリアは言った。

約束だから、行かなくてはならないのだと、言っていた。

宮司修業に、悪霊退治、その上、学業までこなすのは大変だ。

このままでは体力が持たないだろう。

疲れているのに、悪霊と対面するのは、辛いのでは?

万が一の時のことも考えておかなければならないだろう。


あまり無理はしてほしくない。

しかし、止めることも出来ない。


一体、どうすればいいのか……


「………。」


B・Bは、思い悩み、その夜、なかなか眠れなかった。







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