第一章:新たな秩序 限りある資源
自身と共に来ると決めた、以降【晦冥グループ】と呼ばれる集団は教室の前方へと再度集まっていく。総勢20名の中心となるのは当然の如く、黒神 晦冥その人だ。
「まずはこれだけ言わせてほしい、信じてくれてありがとう」
と一言謝辞を述べ、いよいよ今後の展望について話を進めていく。
「先にも言ったが、もう時間がない。楽観的にみたとしても恐らくあの怪物が建物内を襲うようになるまであと10分もかからないだろう。そこでグループを3つに分けて物資を調達し、屋上で再度集合という形を採る」
「物資って食料とかってことですか?」
「勝手に取っていいのかな」
晦冥の話を聞き、疑問に思うことを次々に口に出していくメンバーたち。
「簡潔に順を追って話す。細かい話は抜きにしてくれ。まずリーダーは俺、剛、誠吾の3人が担当する。これに対して異論は認めないが今回は勘弁してほしい。」
「任された!!!」
「了解っ」
と流れを汲んで二人が返答を返してくる。それに頷き、
「剛は10人を連れて、下の購買会から食料類を出来るだけ鞄に詰め込むんだ。誠吾は6人を連れて先に屋上へ向かって欲しい。その際に近い教室から出来るだけ机を屋上へ運ぶんだ。そして残りの3人は俺と共に食道へ向かう。俺と剛のグループは一階へ降りることになるから男を中核とした構成とするが問題ないか?」
確認するように男子メンバーを見渡すが乗り気でないものがやはり多いようだ。
「おっと怖いか?女子に変わってもらいたい奴は手を挙げて頼み込んでみたらどうだ(笑)」
煽るような口調で男達の士気を挙げようと晦冥がおどけると
「『やってやるよ!!!』」
と、頼もしいような、調子がいいような声が返ってくる。
「あと、悪いようだが宮川 志乃は俺のメンバーに加わって欲しい。命に代えても守ると誓うからどうか頼む」
「え、わ、わたし……? 戦闘も出来ないし力もないですよ……?」
泣きそうな声と表情でそう告げるが、晦冥の心には全く響いていないようだ。だがそれを悟らせないように優しい表情をして彼は言葉を紡ぐ。
「大丈夫。君(鑑定のスキル)が必要なんだ。信じてついてきてくれ」
と、捉えようによっては意味が変わるセリフを意図して発し、志乃の目を見る。
「そ、そんなに言うなら……。」
残念ながら違う解釈をしてしまったか、彼女は顔をほんのり赤らめながら、了承の意を晦冥に伝えた。
「ありがとう。では後のメンバーもここで決めておく。剛にはそこの9人が、俺のメンバーにはプラスして斉木 呂飛、新川 成海を、残りは誠吾と共に行動してくれ」
「げ、俺かよ……」
「了解した」
渋々といった様子のメンバーもいるようだが、それは些細な事と晦冥は考えたようで、誠吾と剛へ概要や緊急時の対応策等のやり取りを手短に済ませ、全員に向けて号令をかける。
「よし、全員行動開始だ!」
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