2.魔王会議
という訳で本日二話目の更新です。よろしくお願いします。
「眠い。動きたくない。ずっと寝っ転がっておくことこそが俺の仕事なんじゃないのか?怠惰なのに動くなんて世界への冒涜なんじゃないのか?そんな畏れ多い事をするなんて、俺には恐ろしい。俺には出来ないよ」
朝早くから起きろと俺の唯一の部下のネームが言う。メイドの格好をしている癖に生意気な奴だ。俺は寝るんだ。
「はいはい、そういう事を言う時は早口になるんですから。……今日は魔王会議なんですよ!前私たちだけ欠席して恥かいたんですから、今日という今日こそは行ってもらいますよーー!!」
お前はママか!……と言いたくなるが、実質ママだ。部下なのだが、やっている事は主に俺の世話なので、侍女と言ってもいいのかもしれない。
だが、そんな彼女にも譲れないものがある。俺は怠惰の魔王だ。ダラダラする事に命を懸けている。それを邪魔する生意気な部下は躾なければならない。
「いい加減にしないと……」
「いい加減にしないと?」
「い、いい加減にしないと……」
「はい、何ですか?怠・惰・の・魔・王・サ・マ?」
……駄目だ。ネームが俺のことを怠惰の魔王と言う時はガチギレ寸前だ。前にキレた時はご飯三ヶ月無し、掃除無しと散々だった。
「……………………………魔王会議に行くとしよう」
「さっすがダー様!話が分かりますね~!それじゃあ行きましょう!」
ネームがそう言った瞬間、俺は宙に浮き、飛んできた椅子に座わらせられた。……ちなみにダー様は俺のあだ名だ。「たいだ」から「ダ」を取ってダー様らしい。
安直だな。
「それじゃあ転移です!!」
有無を言わさず、俺はネームに転移させられた。……魔王会議の会場となる、クソゴミハウスへと。
☆☆☆☆☆
「あぁ、妬ましい……そんなに強い部下が居るなんて……羨ましい……悔しい……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
会場に着くと、早速嫉妬の魔王がこちらを見て発狂した。長い髪で顔は見えないが、こちらを睨んでいるのは分かる。これだから魔王会議は嫌なんだ。
「ふっ、その欠けらも無い自尊心。尊敬に値する。その浅ましさだけは我には真似出来ぬ」
おい、傲慢、拗れるから嫉妬に変な事言うな。巻き添えを喰らうのは俺たちなんだぞ。
「あらぁ、いつ見ても可愛いわねぇ。ネームちゃん、こんなダンゴムシ野郎なんて放っておいて私の方に来ない?」
「有難いですが辞退させて頂きます、色欲の魔王様。このお方は私が世話しないとやっていけないので」
「あらぁ、残念。でもいつでもこっちに来ていいからね。歓迎するわよぉ」
色欲、俺の部下に手を出すな。コイツは俺の世話をするんだ。あとネーム、ちょっとだけ悩むような顔をするな。頼むから。
「よぉ、怠惰。俺っちにアイツをくれないか?ほら、この通りだ。アイツは貴重だ。お前みたいなところにいるのは勿体ない」
強欲は黙っとけ。お前はどうせコレクション的な意味で欲しいんだろ?絶対にネームはやらん。
「美味い美味い美味い美味い。メシは最高だ。メシは全てを救う。この世は全部メシだ。あぁ、美味い」
そしてそんな俺たちを無視して飯を食い続けているのは暴食だ。この通り、飯にしか興味は無いから魔王の中ではまだマシな方だ。
全然話は聞いてくれないがな。
「はい、怠惰が来たので、これで全員揃いましたね。それではこれから魔王会議を始めようと思います」
そして最後、こうして取りまとめているのが憤怒だ。……え?憤怒だけ全然らしくないって?
馬鹿言え、アイツはキレるとヤバいんだ。一度キレると三日三晩は収まらない。
まぁ、キレて居ない時なら魔王たちの中でも俺に次いで常識がある。
「え?」
おい、ネーム。疑問を持つな。俺は何も間違ってないだろ?俺が一番常識があるのは見ればすぐ分かるじゃないか。
「はぁ……」
納得してない雰囲気を出すな。部下だろ?俺の部下なんだろ?ちょっとくらい敬ってくれよ。
「それじゃあ最初の議題だけど……」
……………………………ねっむ。寝よっかな。
一応まだ書き溜めはありますので明日も更新します。また午後6時位ですかね。
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