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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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57話 嘔吐、戻るモノ②

 ぴゃお~ふぃぅ~っぅぅ~ふぇっふぇふぇ~と響く妙な音は、時間移動空間内に響く音である。音が響くということは、というか呼吸もできているということは、この空間にも大気が含まれているということか。時術は本当にわけがわからないなぁとトッシュはパーフェクトガイザスと共に時を渡る。


 トッシュが過ごした18年前の過去の世界。あの世界はトッシュの知る歴史とは異なる未来へと進むに違いない。グランガイザスは滅んでもジャスティスが人間に裏切られないという保証はないが、きっと大丈夫。あの時代には、短い間しか一緒にいなかったけども、二度と会えなくとも友達となったアッシュがいるのだから。


 ぶぃぃ~ん、とまたも間の抜けた音と共に、時間移動の旅が終わる。トッシュとパーフェクトガイザスの本来の時代に穴が開く。時代にペッと吐き出され、トッシュとパーフェクトガイザスは自分たちの時間へと帰還した。帰還したトッシュがまず目にしたものは、瓦礫と化した王城、そして魔王イクス、聖女サン、そして青い肌をした魔族の青年…ギャなんとかくんという見知った3人が倒れている姿だった。


「なっ!?ボス!それにサン!」


 トッシュはすぐにサンの元へと向かう。パーフェクトガイザスの切り札、案内人アストレイたちも何事かと動きが止め、トッシュへ目線を向けたその隙を、伊集院は見逃さない。


「…!」


 今だ!と言いそうになったのを我慢し、無言でその場の砂ぼこりを巻き上げる。全員の視界を塞いだ彼は、すかさず魔王イクスを連れ、その場から離脱した。伊集院は魔王イクスの症状を見て急を要すると判断したのだ。まだパーフェクトガイザスに変化する直前、ランに貫かれた直後の魔王イクスの状態。冷や汗、動悸、意識障害、けいれん、手足の震えがみられた。その後、意識朦朧とし、深いこん睡状態に陥ったこの症状…そう、低血糖である!


 インスリンが過剰に分泌され、血糖値が急激に低下した状態である。糖尿病患者がインスリンを過剰に注射してしまった場合に起きるアレである。当然、放置しては命の危険もある。人間より耐久力が高い魔族であるが、外傷ではなくこういった内部からの症状に対する抵抗力は人間と同じ程度である。人間よりはるかに強い像だって低血糖になったらやばいのだ。


「ボス!?」

「魔王様!?」

「イクス様!?」


 伊集院が魔王イクスを連れ去ったことで当然、トッシュをはじめとした家臣たちは何事かと伊集院を追おうとするが、それをサガが制止する。


「待て!奴は味方だ!奴は医術に精通している!」

「フォーゲル…念のためイクス様を頼む」

「承知した」


 サガの言うことを完全に信用したわけではないが、この場にいる敵。パーフェクトガイザスと手下の案内人たちも放置しておけない。イクスシェイドはフォーゲルを伊集院の元へと向かわせ、残った面子でガイザスたちを迎えうつ!


「俺とジャスティス、イクスシェイド、サガか。4vs4だな」

「待て!俺もいるぞ!」


 トッシュに向かって自己アピールする魔族の青年がいた。先ほどまで寝ていた、ギャなんとかくんだ。伊集院がしれっとその傷を癒し、気絶したフリをさせていたのだが、状況が変わったため彼も戦闘へ参加する方針へ転換した。その顔、トッシュは見覚えがあるがイマイチ思い出せない。


「大丈夫ですか?あの、顔青いですよ?」

「元からだよ!ていうか何だよその言葉使い。俺の部下になる決心でもついたか?ん?」

「いや、知らない人にはいきなりなら慣れ慣れしくできないでしょ…」

「お前マジふざけんなよ…このギャミ様を忘れたとは言わせないぞ!」

「あぁ!ギャミくんか!懐かしいな久しぶりじゃん!」

「お前ー!」


 わちゃわちゃしてる二人を、イクスシェイドが諫める。


「いい加減にしろ。敵が来るぞ」

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