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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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56話 伏兵、タイフーンファイター②

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「兄ちゃんヤベェよアレまじヤベェよ!あれマジジャスティスだよ!マジジャスティスがピンチだよ!」

「わかってるから。興奮するなって。まさかワンコたちの巣にあんなヤベェのがいたなんてなぁ」

「サウザー、シュウザー。見て通り相手はとんでもねぇバケモンだ。けどな、そのバケモンをやっちまえば俺ら三兄弟の名はヤベェことになる。良いタイミングであいつらを助けて俺らの評判を吹いて回ってもらうぞ」


 ダブルガイザスとジャスティスたちの決戦のバトルフィールドを数百m先から観察している三人の傭兵がいた。彼らは草しかない祖国セラスから名を上げるために王国へ上京したデビュー間もない傭兵団・嵐の三兄弟。祖国に伝わる風の技を身につけた彼らは、実力は十分、足りないのは経験のみだと嘯いている。


「さて、この小高い丘には良い風が吹く。サウザー、俺が合図したらお前の烈風で俺たちをあそこへ連れて行け」

「任せてくれ兄者!」

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「ぐわあああああ!」

「きゃあああああ!」


 ダブルガイザスの猛攻にアッシュとサンが倒れる。そしてジャスティスも無尽蔵なダブルガイザスの魔力と闘気に押され気味だ。


「くっそ、一体どんだけエネルギーがあるのよ…」

「ワッハッハ!貴様の聖拳がいかに強かろうと、それ以上のエネルギーで呑み込んでしまえばよかろうなのだ!」


 ダブルガイザスの拳に纏わるうじゅるうじゅるした触手めいた器官が噴き出すエネルギー!そのおぞましいの拳はまるでジャスティスの聖なる拳と対を成す邪拳!ダブルガイザスはエネルギーを生み出す内臓を四肢に纏いパワーアップしているのだ。


 右手は肺を纏うラングナックル。空気を操るその拳(肺)は空気の弾丸を吐き出す。

 左手を覆う胃はストマックシールド。相手の攻撃を防ぐとともに胃酸で溶かす攻防一体の盾。

 右脚に装着される脾臓はその免疫の力を身体の外部、体表に纏うことで毒や病から身を守る。

 左脚は心臓を装備。最強の耐久力を誇る筋肉である心筋で物理的に身を護る。


 これぞダブルガイザスが打倒ジャスティスのために辿り着いた戦術。純粋な力で圧倒!パワーこそ力!


(っていうのはわかるけど、そのためのエネルギーをどこから確保しているのか…まぁ霊脈レイ・ラインなんだろうけど…霊脈に深く根差したやつのパーツをなんとかしなきゃじり貧ってやつだ…)


 その力の秘密に辿り着いたジャスティスだったが、攻略法が浮かばない。エネルギーを吸い上げるダブルガイザスの籠っていた肉の蛹から地下へと延びる肉の根。これを切断したいのはやまやまだが聖拳の最大出力であろうとも、地面を一気に掘り返すことはできない。1000度の鉄球を氷に落としたら一瞬で突き抜けるか?答えはNOだ。ゆっくり時間をかけて穴を開けていく。貫通するころには鉄球はある程度冷めている。聖拳も同じ。表面を抉るのにエネルギーを使うため、ある程度掘ったところでエネルギーは尽きてしまう。


「ククック。さて、そこの見学しているお前」


 ダブルガイザスはその戦いを少し離れたところで観察していたトッシュに目を向ける。


「お前はどこかで見たことがあるぞ。そう、たしか貴様はジャス…」


 そこまで言った所で、ダブルガイザスの顎がガチンと閉じて舌を噛んでしまう。これにはダブルガイザスも悶絶する。不死身と称されようとも、無尽蔵の再生力があろうとも、痛いものは痛いのだ。いやそれ以前に顎がひとりでに閉じたことに驚きを禁じ得ない。自らの意に反した体の動き。もしや内側のグランガイザスがダブルガイザスの主導権を奪おうとパーフェクトガイザスへ牙を剥いたのか。舌を噛んだし。


(いや違う!この動きは外部ではなく内部の動きだが…グランガイザスも驚いている…!これは一体…!?)


 不気味な現象に焦りを見せるダブルガイザス。そしてその下手人たる者は。そう、トッシュである。


(やべぇ…それ以上言わせないためについ使ってしまった…!どうする、もう察してしまったかもしれない!ていうか俺のことを知っていると言ったぞあの野郎!先週会ったばっかりなのにおかしいだろその言い方。ていか『仕込みながら』気付いたが、あいつの中身…なんだありゃ?グランガイザスの中にグランガイザスがいやがる)


 トッシュも焦っていた。が、それ以上にダブルガイザスの発言の内容に感じる違和感。後悔はしたところで状況は変わらない。現在の状況から最善を尽くす。この違和感が、勝機に繋がるかもしれないと、トッシュは頭を回転させる。そして、彼は一つの結論に辿り着いた。


(野郎も、未来から来たのか?)

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