52話 未来、終わりの始まり③
「あんくん…?」
この時代のグランガイザスは知らないその言葉の意味を、未来のパーフェクトガイザスが教授する。
「人間たちの言葉でな、世を破滅させる終末の王をそう呼ぶのだそうだ」
「おお…!まさに余に相応しき称号!」
「そうよ!我らが一つになればまさに真なる暗君!ダブルガイザスとなるのだ!さぁ!この胸に飛び込んでくるがいい!」
「承知した!行くぞ!ガイザズダーッシュ!」
「ガイザスチャージ!」
息を合わせ二人が叫ぶ!一つになった心が、新たな力を目覚めさせる!
『ガイザスフォーメーション!』
パーフェクトガイザスの胸部腹部が展開、中に納められていた大腸を除く臓器たちが飛び出し、パーフェクトガイザスの四肢と合体強化する。そうして生じた胸部の空間に、グランガイザスのボディが収納される。収納されたボディに大腸がからみつき、胸部腹部を閉鎖。溶け合う心はまるで最初からそうだったのような一体感!完成!ダブルガイザス!
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「ギャミくん。君も暗黒新陰流を使えるようだね…それも極伝、無刀取りまで。君は伝承者なのかい?」
「…いや、全国大会優勝はできたけど伝承者レースにはエントリーしていない」
「そうか…すっかり伝承者だと思っていたよ。君は本家で学んだのかい?」
「いや、西だ」
「なるほど。獅子奮迅と評される西派新陰流疋田か」
「…」
決戦から4日。王都へと戻る道中の宿で、黒騎士アッシュに呼び出されたトッシュは、自身に向けられるアッシュが放つ殺気に心当たりが無い。なぜこの男は、今にも斬りかかって来かねないほどの殺気を纏っているのだろうか。
「心当たりが無いのはわかるよ…八つ当たりみたいなものだ…。君が伝承者でも斬る。伝承者でないなら、君に勝てないなら伝承者にも勝てないだろうから力試しも兼ねて斬る」
「いや…なんで?」
トッシュの疑問を無視してアッシュは突然語り出す。完全に入っていらっしゃるようだ。
「西に暗黒新陰流疋田、その技、獅子奮迅の如く。
東に暗黒新陰流心眼、その様、天空海濶の如く。
本家暗黒新陰流、その剣、明鏡止水の如し。
されど、晴れやかなる新陰流に影あり。その者、影なれど花鳥風月の如く美しき、故に新陰流を追放されや…」
「あー…つまり追放された恨みはらさでおくべきか、と」
「そうだ。そのためにジャスティスと行動を共にしたのだ。魔界の暗黒新陰流の使い手はどこにいるのか…探していたのさ、復讐のために!」