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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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52話 未来、終わりの始まり①

「ワハハハハ!我こそはグランガイザス五十人衆ステイツ凍土のララスタ!喰らえい-500度相当の冷凍ビィィム!」


 ララスタの出す絶対零度の約二倍に相当する出力のビーム!しかし聖女サンのバリアがそれを弾く!サンの魔力エネルギーをこれでもかとぶちこんだバリアは局地的にCO2を大量に含み、それによる温室効果ガスで冷凍ビームを常温ビームに変換する!さらにこのバリアは攻防一体!温室効果ガスをふんだんに含むバリアをララスタに押し付ける!


「グワアアアア!息ができないいいいい!」


 死んだ。しかしまだ終わらない。五十人衆はわんさか湧いているのだ!


「グハハハハ!俺はグランガイザス五十人衆ステイツ鉄人マサチュセッピチュ!この必殺の二刀!羽々ハバト釼武刕ケンブリが生み出す剣の舞受けてみよ!」


 両手の剣を備えた魔神の超絶剣技!しかし黒騎士アッシュの剣も負けない!その太刀は魔界の剣暗黒新陰流!秘伝・雪風の太刀!奥伝・孤月斬り!皆伝・散花閃!3つ合わせて雪月花!がマサチュセッピチュを刻む!


「グフッ!見事なりいいいいい!」

「あの技…雪月花!」


 同じ暗黒新陰流を学んだトッシュは知っている。常人なら技の反動をキャンセルして次の技に繋ぐのは肉体の負担が大きく、死んでしまうほどだ。トッシュも見るのは初めてだった。


「ぐぬぬぬぬ!ならば吾輩狂人イリノヰが相手だ!喰らえ神器トミーガン!」


 イリノヰの持つトミーガン!魔界に伝わる神器の一つ!50発の鉛玉が秒間10発!285 m/sの速度で 戦士グレゴリオに襲い掛かる!ガギギギギン!しかしグレゴリオの筋肉が着用を可能にしている熱さ3cmを誇るウルツァイト窒化ホウ素の鎧を砕くことはできず!銃弾の嵐を弾きながらグレゴリオが接近!そのままロンズデーライトアックスでイリノヰを両断する!」


「グハァ!お…おのれ…!」


 イリノヰは絶命する直前、『何か』をグレゴリオに『入れた』。物質的なものでは無いそれは、スッとグレゴリオの胸に染み込んでいく。いかに硬い鎧であろうとも、霊的な物質を弾くことはできない。


(フフフ…それは闇の種…貴様の心に暗黒を芽生えさせる種…貴様の言語が標準語になるころには立派な悪者よ…)

 ・

 ・

 ・

「死ねグランガイザス!」


 ジャスティスの踵がグランガイザスのこめかみを直撃する!しかし出血はすぐに止まり、傷は一瞬で塞がり、さらに強靭な皮膚に覆われる!


(クソ!血はすぐに止まるしすぐに回復するし回復したらさらに強くなってるし!めんどくさい!あとこれ一つの能力でいいくせに3つで計算しててせこい!)


 これはグランガイザスの血液の力・血流操作。肝臓の力・超速再生。そして筋肉の力・強化再生の合わせ技である。さらにグランガイザスは脳の力・読心。骨の力・骨操作。精巣の力・自我移植。爪の力・無限延長。眼の力・視力強化。耳の力・地獄耳。他にも大腸や心臓などあらゆる臓器にちなんだ力を持っているという。


(チッ!まさかタイマンで挑まれるとはな!おかげでとっておきが使えん!使えんことはないが使っても無意味!)


 グランガイザスがいまだ見せていない膵臓の力。これこそ決戦における虎の子であったのだが、目論見が外れた。だいたいそんなものである。こういう場面にこれを使おうと思っていたものは使われることはないのだ。


「ならば!」


 グランガイザスが地上の城へ急降下!その動きを見てジャスティスは焦った!


「しまった!仲間が狙いか!」


 ジャスティスは一瞬出が遅れてしまった。その差2秒!この2秒の間に誰かが殺されるかもしれない!頼む、やるならグレゴリオにしてくれと祈るように願いながら急いで後を追う!


「フハハッハハアアア!死ねぇ!」


 まだ地上に空中にいるグランガイザスの爪が伸びる!この爪は無限に延長すると言われている!さらに切断力もその辺の刃物よりもするどい!城の天井をまるで豆腐の様に貫くこの爪が襲うのは…!聖女サン!サンの頭上に襲い来るガイザスネイル!しかしそれはすでに察知されていた。


「あぶねぇ!」


 サンに飛びついてガイザスネイルの直撃から彼女を守ったのはトッシュ!トッシュは気配探知が上手い!だから気付いた!グランガイザスの動きに!そして守った!聖女サンを!


 天井を突き破り、床に突き刺さった爪をそのままにグランガイザスが降りてくる。刺さっている爪はグランガイザスの位置に合わせて角度を変え、天井を、床を刻む。


「グランガイザス!」


 2秒遅れでジャスティスも天井を突き破り降りてきたジャスティスは、グランガイザスの佇まいに少し驚いた。爪を繰り出した後、何かをしようという動きが見られないのだ。


「ジャスティス…これで終いにしよう。我が必殺技、魔王拳・火国土蜘蛛岩盤砲で貴様を砕いてやる」

「いいわ。なら私の全力でその魔王拳・火国土蜘蛛岩盤ナントカもろとも吹き飛ばしてやるわ」


 ゴゴゴゴゴ!二人の闘気が高まる!グランガイザスの炎魔気が周辺を溶かしていく!飴の様に石作りの魔王の部屋が溶けていく様は、まるでお菓子の家のように思えたが、お菓子の家に飴は使われていなかった。


「すごか闘気ばい!こんままじゃやばか!逃げっばい!」

「もう遅いわよ!お姉さまとグランガイザスの本気の闘気が爆発したら半径数キロは吹き飛ぶわよ!」


 その言葉は真実のようだ。二人が持つ闘気に、トッシュは自らが持つ魔剣ブラックソード・ゼロに匹敵しうる出力を感じていた。


「これが全盛期のジャスティスかよ…」


 ジャスティスは両腕に聖拳を作っている。その左手の聖拳を、右手に移動させた。二枚重ねにすることで出力の集中を図る。


「いくぞジャスティスゥ!魔王拳!火国土蜘蛛岩盤砲オオオオオ!」


 まるで火山の噴火のような炎魔気の奔流!同時にジャスティスも放つ!その必殺技を!


「天空砲!フォーメーション!」


 ジャスティスの右拳から放たれる光の闘気の奔流が、グランガイザスの炎魔気を食い止める!それだけではない!天空砲フォーメーションは一本のビームだけではない。ジャスティスの周囲から幾本かのビームがグランガイザスを狙う!


 が、やはり本命の中央のビームでなければグランガイザスを討つほどの出力にはならない。そのビームたちはグランガイザスが纏うする炎魔気に弾かれる。


「ググググ…やるなジャスティス!しかぁし!」

「くっ…もうダメ…」


 弱音を吐くジャスティス。その右腕の聖拳にヒビが入っていた。ヒビから漏れ出す闘気は、すなわちジャスティスの天空砲フォーメーションのエネルギー源。このままでは押し敗けてしまう。


「ハハハハハー!終わりだー!!」


 さらに出力を強めるグランガイザスの魔王拳ビームが、ついにジャスティスの聖拳を砕いた!バキン!と音を立て、同時にジャスティスの闘気が一気に放出された!この勢いよくあふれ出すジャスティスの闘気は、グランガイザスの炎魔気をも吹き飛ばした!


「グワアアア!余の炎魔気がああああああ!しかしこの爆発では奴もただでは…なにィ!」


 グランガイザスの視界に移るのはジャスティス!闘気の奔流に乗り、聖拳を構えジャスティスが!グランガイザスは急いで逃げようとするが遅かった!自らの腹部にめり込む硬い感触。それはジャスティスの右拳。聖拳を纏う勇者のボディーブロー!


「バカな…貴様の聖拳は砕けた筈…!」

「ええ、砕けたわ。被せた方がね」


 ジャティスの二枚重ねの聖拳。砕けたのは二枚目の方。もう一枚は健在!


「そうか…!貴様わざと…!」


 ジャスティスが聖拳を重ねたのはグランガイザスの目を欺くため。左にもう一枚残っていたら、決して油断しなかっただろう。


「終わりよ!飛びなさい!」

「待っ…」


 そしてジャスティスは、グランガイザスの腹部にめり込ませたもう一枚の聖拳を爆裂させる!身を守る炎魔気もない状態でこれを受けたら…死!グランガイザスに迫る死の恐怖!それは膨大な光の津波だった。


「ぐわあああああああああああああ!!!!!」


 光に呑まれ、四肢が、体幹が、脳が破壊されながら吹き飛ぶグランガイザス!ついに勇者ジャスティスの長い戦いに終止符が打たれた!


「やったわお姉さま!誰かが勝率20%だなんて言ってたけど、見事買ったわー!」


 喜ぶサン。きっと今夜は眠れない。


「すげぇ!まじでやりやがった!」


 闇の種の影響はもう出ているのか。標準語に開眼したグレゴリオが賞賛する。


(…それよりも、気になるのはギャミだな)


 黒騎士アッシュはトッシュの存在が気になるようだ。そしてトッシュは…。


(グランガイザスは死んだ…けど、奴は蘇る。さて、どうするかな)

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