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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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47話 死線③

(落ちろ!落ちろ!落ちろ!)


 メリメリメリ!ランの首を絞める!絞める!絞める!超速思考により人間が首を絞められて意識を失うまでの短時間を、ギャミはものすごく長く感じてしまう。朝起きて仕事行くまでの二度寝の20分はあっという間だというのに。時間は相対的なものだって言ってたがつまりはこういうことか。


(離せええええええええ!!!)


 ランも必死で抵抗する。ランのベースになったオリジネイター・トッシュが身に付けた体術・暗黒真拳には寝技を喰らった際の対処方法も伝わっているが、これがオリジナルとコピーの差か。経験から反射的にそういった技を引き出せるオリジナルに比べ、ランはまず頭の中でそれを検索しなければならない。ランが暗黒真拳を一切使わず、暗黒新陰流の技しか使わなかったのはそのためだ。知識を、技を、引き継いだとしても、経験がない。だからまず使う技を絞ることで、暗黒新陰流のみ皆伝レベルまで到達させたのだ。


 そして今、知っている体術で返そうとしても、ギャミもまたそれに対応するため振りほどけない。さらにはギャミの寝技は暗黒新陰流の技ではない。トッシュを倒すために習得したサンダー流刀殺法に伝わる無手の技である。


(やばい!負ける!負けてしまう!こんな弱い奴に…!)


 弱いと思っていたのに、せっかく強くなったのに、なのに負けてしまう。これじゃ今までと何も変わらない。


「ブヘヘ、お前の細い体、まるで女の子みたいだなぁ…」


 自分ランの貞操を蹂躙する強い男たちの言葉が思い出される。自分は男なのに、屈強な男相手だとメスにされてしまう。悔しい。今もギャミに地面に押し倒されて抵抗ができない。あの時と同じ、力に征服されてしまっている。結局才能が無ければだめなのか。所詮は借り物の力ということなのか。


「僕は…僕は…!」


 ランの心が敗北を認めようとしたその瞬間、魔王城が、そして天空要塞グランガイザスが…崩れた!


「…!」

「うわ…!」


 そのまま寝技を続けていたらラン諸共ぺったんこになってしまう。ギャミはすぐにランから離れ、崩壊する床、落ちてくる瓦礫に備える。


 超速思考により世界の時間を超越したギャミは、ゆっくり、とてもゆっくりと降り注ぐ瓦礫次々と飛び乗り上へ上へと昇っていく。昇っているように見えて、どっちかというと実際は落ちているのだが、瓦礫に飛び乗り続けることで落下速度を軽減している。エレベータが落ちたとき、地面に衝突する瞬間に飛べば落下のダメージを無効化できるアレである。


 そしてランは、スクラムハルバードを突撃形態アタックフォームに変形させ、降り注ぐ瓦礫を砕きながら上昇する。これは本当に上昇している。すぐに空に辿り着いたランは、着地に備えブリガンディフォームへ再度変形させ、地面に到達する瞬間、暗黒新陰流・さかさ椋鳥を地面に繰り出す。地面を剣でぶったたき強引に落下のエネルギーを側面に逸らし、そのまま横にごろころ転がっていく。無傷とはいわないが、何とか立ち上がれる程度にダメージを抑えたランは、同じく崩れる城から脱出した強者たちの姿を目にする。


 グランガイザスと戦う魔王イクス。


 別のグランガイザスと戦う、見知らぬ人間の青年。


 さらに違うグランガイザスと戦う竜将フォーゲル。


 さらにさらに異なるグランガイザスと戦う魔神指令サガ。


 そして、その他にも6人…計10人のグランガイザスの姿が、その場に存在していた。


 否、グランガイザスの数はこの場に15人来ていると、ランは聞いていた。他の5人はどうしたのだろうか?


「全く、一体何匹いるのかしらねグランガイザスは!まるで害虫ね!」

「…いやはや、さすがは勇者ジャスティスか。まさかグランガイザスを4体も倒すとは…」

「ふふん、一体しか倒してないアナタより4倍も強いってころかしらね」


 ランの背後にいたのは勇者ジャスティス、そして王城にいる魔王軍最後の幹部イクスシェイド。ジャスティウスは片手に二体のグランガイザスの襟首を、つまり両手で四体。イクスシェイドは一体のグランガイザスの顔面を握り込んでいた。


 そして、王城より遠く離れた地にもグランガイザスはいた。八卦総本山、鉄甲館。この場に突如出現したグランガイザスと相対するのは、勇者の子トッシュだ。

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