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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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45話 開戦、二人の魔王④

 邪悪な気配が放出された刹那、グランガイザスがまたも姿を消す。


(また後か…)


 魔王イクスは絶大な魔力を持っている。彼は常に魔力を周囲に張り巡らせ、その魔力を伝わる波で相手の動きを察知する。それに加え光速のニューロンによる反射速度、思考速度により相手を完封する、これが彼の基本的なファイトスタイルである。というより、彼は魔術の才能が無い。皆無である。魔力の使い方はこれと、あとは肉体強化しかできない。持たざる者の王たる彼自身もまた、才能無き持たざる者でだった。


 背後に位置取るグランガイザスの攻撃を躱すように屈むように、脇腹へ向けて魔王肘打ちを打ち込む。この肘がグランガイザスを抉り、その体がくの字に曲がった瞬間、グランガイザスの腕を掴み魔王一歩背負いで脳天から地面に突き落とすプランを一瞬で組み立て、脇腹へ向けて肘を繰り出す。


 バシィ!その肘はグランガイザスの両手に止められてしまった。


(しまった、グランガイザスの動きが単調だからこっちも単調になってしまったか…)


 魔王イクスはすぐさま対応する。全身でグランガイザスを後方へ押し込みつつ、宙へ体を捻りながら飛び上がりグランガイザスの背後へ回り込む。そしてそのまま腰へ両腕を回し魔王バックドロップで脳髄を砕く!魔王イクスが練り上げたプランBへと移行しようとしたその時、グランガイザスは魔王イクスの押し込みをすいっと横へ身を翻し躱した。


(ん?)


 そのままバランスをくずした魔王イクスへ向けてグランガイザスは足を払い転倒させる。魔王イクスは地面に倒れながらも両手を地につけてバク転、グランガイザスから距離を取る。が、目を離さずにいたグランガイザスの姿がその場からいつの間にか消えた。


(また止めた…)


 超絶な集中力で思考時間を圧縮することにより周囲がスローに見えているとはいえ、自らの肉体の動きもスローのままである。グランガイザスを迎え撃つ技を適切に選択しなければ、またも防がれてしまい反撃を受けてしまうだろう。今回のグランガイザスの移動先は真上。両手を組み振り下ろすガイザスハンマーが来ている。これは好機!上空の敵に対する適切な反撃手段が、魔王イクスにはある。彼が隠し持つとっておきの武器、魔界に伝わる神器アッパーバルカンだ。背中から上方向に延びる銃身は、射角が真上にしか向けれないという制限があるものの、威力はバツグン。1秒未満でグランガイザスを挽肉にしてみせるこの威力!当たると痛ェゾ!


 ガガガガガガ!魔王イクスの外套を引き裂くアッパーバルカンの咆哮!背中に隠し持つため銃身は短く狙撃には向かないし、装弾数も少なく20発。しかし口径はとっても太い7.62mm。人一人を殺害するには十分すぎる銃弾たちが1秒も経たずに全弾発射され、グランガイザスをくちゃくちゃの挽肉にするべく火を噴いた!が、その弾丸はグランガイザスと貫くことはできなかった。グランガイザスが手前に広げた風呂敷に弾かれて周囲へと飛び散っていく。グランガイザスは宙に浮く、というより制止している風呂敷に乗り、ガイザスハンマーによる落下攻撃が中断した。


(当たらないな…)


 理屈は簡単だ。時術により時間が止まった絶対不変の風呂敷を無敵の盾にしたというわけだ。ほんの1.2秒で時間が動きだし、グランガイザスを支えた風呂敷の形がくしゃっと崩れ、同時に魔王イクスへガイザスハンマーが迫る。


(くっ…)


 神器アッパーバルカンを背中から取り出し盾にする。全弾発射で熱を持った銃身はグランガイザスの両手を焼く攻防一体の武具となる。が、銃身を殴ったグランガイザスは熱を感じていない。いや、殴ったというにはその衝撃は弱い。というより無い。アッパーバルカンを出されたことでガイザスハンマーを中止したからだけではない。魔王イクスが持つ神器アッパーバルカンの重量が、ガイザスハンマー直撃の寸前に失われている。これは先ほどの風呂敷と同じだ。


(めんどくさいないな時術は…)


 神器アッパーバルカンの時間を止めた。これにより神器アッパーバルカンの持つ熱はグランガイザスの手には伝わらない。熱が伝わるとは言いかえれば熱を奪うことで、絶対不変に反するのだ。もはや弾丸が尽きた神器アッパーバルカンを持つ意味は無い。すぐにアッパーバルカンから手を離しその場から離脱しながら、魔王イクスは考える。宙に浮いていた神器アッパーバルカンの時が動きだし、ゴトン!と響く大きな落下音が魔王イクスの思考の邪魔をする。


グランガイザスの見切りはすごいな…まるで最初から『知っている』かのようにこちらの行動に対処してくる…イクスシェイドもジャスティスもそんなことは言っていなかったが…なるほどこれが奴の隠し玉ってことか…?)

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