表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐、始めました。  作者: 中島(大)
218/236

94話 矜持、自分が自分であるために①

「ジャスティス、待って待って」


 ぶっ飛ばしたズオーの皮を被ったジャスティス(大)だかジャスティス(大)を乗っ取ったズオーだかを追おうとするジャスティスを呼び止めたフォーゲルは自分が持つ竜の一族の至宝『ソードドラゴンV』をその手に取る。


「何?」

「これを持っていけ。あいつのメカニクルなボディは硬いだろう、役に立つはずだ」


 その手のソードドラゴンVの刃を自分の方に向けながら、ジャスティスに手渡しをする。刃物を渡すときは刃先を相手に向けると危ないので。


「…ありがと」


 きょとんとした表情で礼を言うジャスティス。この剣がけっこう価値のあるものだというのはジャスティスもわかっているので、驚きを隠せなかった。


「ふふ、三騎士トリプルリッターとしてご期待に添えるようがんばるわ」


 いたずらっぽい笑みを浮かべ、ソードドラゴンVをその手に、ジャスティスは飛び出した。


「…まだ三騎士トリプルリッターの設定生きてるんだ」


 フォーゲルもすっかり忘れたた設定を掘り起こされ、きょとんとした顔でジャスティスを見送った。

 ・

 ・

 ・

「オラァァン!」


 宇宙海賊四天王最強のゼスVSトッシュの死闘が開始して約30秒経過。トッシュの徒手空拳はゼスを捉えるがいまいち効いてる様子が無い。


「まるで分厚いゴムの塊を殴ってるみたいだなぁ!」

「親分!ゼスは種族的には宇宙で最も固いと言われてるゲギョ!生半可な打撃は効かんゲギョォ!」

「怪人手懐けるなんてびっくりだよ君は!」


 ゼスの思いパンチをギリギリで躱していくトッシュであるが、一撃でも喰らったら致命傷!命が懸かる強烈な緊張!しかし高ぶるこの感情!無意識に浮かぶトッシュの微笑!


「うえぇ…やべぇよ御宅のパンチ」

「情報通りだね、見切りが上手い」

「ならこれは知ってるかな?」


 トッシュが自らの能力を解放する。あらゆる無数の手数で相手を責めるトッシュの闘法、無闘流。まずは基本の暗黒真拳。マグナムの構えでじりじりとゼスに接近していく。完全にゼスの射程圏内に入った刹那!先に仕掛けるのはゼスだ!


 ゼスもまた必殺技を解放する。ボッ!とすごい勢いでトッシュに迫るゼスの拳、これがゼスの持つ必殺拳ゼロの一種である『こだま』だ。威力は控えめだが連発可能、トッシュの耐久力なら本気のゼロを使うまでもないという判断だろう。しかし、その舐めプが隙となる。


 そのこだまがトッシュに当たらない。トッシュは前にこけそうに倒れ込んだ。もちろんただこけたのではない。そのまま空中で回転しゼスの頭上から踵を繰り出すトルネードキックだ。遠心力の乗った高威力のこの技…!


「効かないよ!」


 この技でも…ゼスの体勢を崩すことすらできない!ゼスは自分のおでこに乗ったトッシュの右踵を掴もうとするが、トッシュは瞬時にその場から退く。


「速いね、それは雷速ってやつかー」


 八卦龍拳の雷で自らの肉体の電気信号を強化して、反射速度運動速度を超加速させる技である。肉体への負担が大きいので乱発はできない。


「さすがに固い。どうしたもんか」

「君の最大火力で来たらどうだい?聖拳ってやつでさ」

「…そう言われるとね、手段を問わんと言ったけど聖拳は見せたくなくなっちゃうんだなこれが」

「見せれない、でしょ。右手左手で一回ずつしか使えない、使ったらもう余力がなくなる。効かなかったら終わるもんね」

「よくわかってるじゃない…のッと!」


 言い終わる寸前、トッシュの姿が消えた。当然、ゼスには筒抜けである。これは最初にゼスに見せた八卦の土。地面に潜り込み不意を突くつもりだろうとゼスは予想する。トッシュが飛び出たら殴り飛ばし、最初のようにトッシュに沈められたら大地を思いっきり踏み抜く。警戒するゼスの左側面から、飛び出る影。


「そこか!」


 ゼスは体を捻り、ゼロの一種、力を込める『ひかり』を放つ。こだまと違い一撃で相手を屠る正に必殺の一打が、飛び出たトッシュの鳩尾を貫く!パァン!とその直後にトッシュの肉体が弾け、トッシュが骨になった!


「うそ!?え!?」


 困惑するゼスのその右腕を、骨が掴む!その触感でゼスは理解した。この骨は偽物、人体模型のやつだ、と。そして右腕を封じられた直後、今度のゼスの背後から影が飛び出す!


「ちっ!」


 右腕を掴まれたゼスは、その脳で瞬間的に最適解を導き出す。後ろを振り向いている暇はない。左の拳で裏拳を打つ。これなら90度体を左に向けるだけで可能!がんばって体を捻じり、その裏拳がトッシュの骨を砕いた。


「は?骨?」


 今度は最初から骨だった。その触感も偽物ではない本物の骨だ、骨人間だ。その骨人間もまたゼスの左腕を掴む。ガチっと両腕を掴まれたゼス、別に強引にほどくことは可能ではあるが、その対処で反応が遅れた。


「!?」


 ゼスの背後からまたも飛ぶ出すそれは…本物のトッシュだ。


「しまぁっ…!」

「暗黒真拳!ウルトラタイガードロップ!」


 両腕の拘束を解くことで後手に回ったゼスの腰にトッシュ、後ろからしがみつき…トッシュ、暗黒真拳組技の奥義ウルトラバックドロップ発動!八卦で地面に精製した石をゼスの後頭部で砕いた!


「…うそだろ」


 バックドロップをキメた体制のまま、トッシュは呟いた。トッシュは地面に精製した石でゼスの後頭部を砕く筈だったのに…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ