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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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91話 練習!暗黒新陰流無刀取り!⑤

「八卦龍拳、油地獄ね」

「ペッ!…はい」

「あーあぁ~吐き出しちゃった」


 自分の体表に油を発生させて敵の拘束から逃れる技、八卦・水のアルカナの技である。ついでに今のネネさんの唾に含まれる催淫成分を吐き出したのも、八卦のちょっとした応用である。


「まいったわね、穏便に行きたかったのに。なら無理矢理トシちゃんをぶっ斃して抵抗できなくしてからシてあげるわ」

「それはレイプですよ、勘弁なので全力で抵抗しますね」

「今まで何度もヤってきたじゃないのに、ケチねぇ」


 ネネさんが構える。その構えは暗黒真拳。マグナムの構え。


「貴方の師匠の強さを再確認させてあげるわ」


 ヒュッ、とトッシュも剣を振る。黒く、そして光沢を帯びた剣。黒曜石である。八卦・火と山のアルカナを使って地中に精製したこの剣を大地から抜き、土を払うために振るい、構える。暗黒新陰流・鶺鴒本手の構え。


 対峙する拳闘士グラップラー剣闘士グラディエーター。ギャラリーをしているライゾウくんは、テッサイに注意を促す。


「…少年、よく見ると良い。無刀取りのヒントになるやもしれんぞ」

「まじすか」


 グランガイザス亡き後、魔界にて魔王の座を争った3人の強者がいた。現在において魔王としての名を馳せる超人イクス。彼と互角のパワーを持つ残り2人の強者。その一角。魔界の都市の一つ横浜を根城とし夜の支配者、邪眼の女帝、ブラッククイーンと呼ばれるその者は、当人がガチれば魔王は違っていたかもしれないとも謳われている。


「俺は強くなりたいから、アンタの弟子にしてくれよ!」


 かつて横浜にやってきた少年は、ブラッククイーンに弟子入りを志願し、その時もこのように対峙した。少年トッシュは暗黒新陰流を、ブラッククイーン・ネネさんは暗黒真拳を。決着は語るまでもなく。トッシュは今そのリベンジを果たす。


「俺は強くなりたいから、アンタを超えてやんよー」

「言ったわねBOY、ダメだったら朝まで眠らせないわよ」


 2人の闘士ファイターが、その張り詰めた空気が破裂したかのように勢いよく駆ける。剣を握るトッシュの右手が振り下ろされるのと同時に、左手が剣のケツを引っ張る。右手を支点に左手をひっぱることで勢いよく振り下ろされる神速の剣。を、ネネさんの突き出すように構える左手がすっと払う。空振りする剣。無防備になるトッシュの右わき腹。ネネさんの右手は腰だめに構えられ、ちょうどいい位置でトッシュのわき腹を狙える。


(もらったわ!いろいろと!)


 ネネさんの暗黒真拳マグナムパンチがトッシュのわき腹目掛けて放たれる。その刹那の後、宙を舞うネネさんの右腕。


「おお!」

「はあ!?」


 ライゾウくんとテッサイが驚きの声を上げる。完全にネネさんのマグナムパンチが入ったと思ったのに、今晩はトッシュのトッシュがネネさんに挿入ると完璧に思ったのに。


「裏の裏は表ってね」


 トッシュは狙ったのだ。自身の技が完全に躱されることを分かったうえで、そこから追撃の二手目を。相手が勝ったと思った瞬間、そいつは負けていると昔の偉い人が言っていた。


「なるほど、Vの字斬り…この世界で最もポピュラーな剣、タイシャー流の技ね」

「まぁ初撃逸らされたからνの字斬りになったけどね」


 ネネさんは次代の魔王の一角と呼ばれた実力者である。トッシュとは自力の差はそれはもう天とマリアナ海溝くらいの差があるのだ。強者は弱者を相手にするとき、いかに注意をしてもその心のどこかに油断がある。死中に活を見出すこと、トッシュはあえて無防備を晒し、そこに食いついた所を返した。いかに見切りが上手でも、一度入った攻撃の姿勢を中止して回避に転ずることは困難である。トッシュは胴体を両断する勢いで切り上げたのだが、それを腕一本で終わらせたのはさすがはネネさんというほかない。


「動きが読まれるなら、読ませた上でその上を行けばいい、か。簡単に言ってくれるなぁ」

「だから練習するんじゃないか」


 テッサイは、明日からの無刀取りの練習に、違うアプローチを入れてみることにした。

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