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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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91話 練習!暗黒新陰流無刀取り!④

「…誰ですか?」


 突如トッシュの影から生えてきたおっさんの姿にテッサイ、困惑。


「これは失礼、某は魔王軍からトシさんの護衛の任を受けてるライゾウです。宜しくお願い申し上げます」

「あっはい…こちらこそ」

「…」

「…」


 挨拶を交わす二人、しかしそれ以上会話は続かなかった。

 ・

 ・

 ・

「トシちゃん無駄ヨ無駄無駄~、夜の暗闇に紛れてもすぐわかっちゃうんだから。夜目が効くのよ、嫁だけにね」

「誰の嫁だって?」


 チュイン、とトッシュの居た方角から光線が飛んでくる。当然ネネさんはすいっと首を振って躱した。二射、三射と射られる光線。これがトッシュの新技その1、ビームいしゆみである。腕に精製した聖拳のさらに上に気で練った弩を精製し、闘気を矢に放つロングレンジでの技。しかしこれがまぁ当たらない。まぁ出力がそんなないから当たっても石を当てられた痛み程度である。割と痛い。


「当たらないわよトシちゃん、ほらもう捕まえた」

「…それはどうかな」


 ガタッ、とトッシュが項垂れ、その肉体が崩れ始める。


「えっ!ちょっと待って!まだ何もしてないのに!…ハッ!?」


 ネネさんがトッシュの崩れた肉体をよーく観察すると、内蔵とかがないのである。ここの地形は山、地面は土。霊気の通りがとても良い環境なわけで。


「八卦龍拳、土分け見ですか。一体いつから?」

「へ?はぁ!?」


 ライゾウくんの独り言かと思いきやライゾウくんの足元からトッシュが生えてきた。テッサイもそうだかライゾウもこれに驚きの様子を隠せない。


「一体いつから?」

「ライゾウくんが引っこ抜かれたときのどさくさに」

「大したものですな」


 トッシュが闘気を練り、光の弓を精製する。


「分身のは出力出なかったけど、本体ならもうバリ3の出力だぞー。さぁ新しい必殺技、その名もマグナムアロー!」


「えっ!?そっち!?うそ!?」


 ネネさんは自分の背中側、さっきまでいたこのタイマンのスタート地点にトッシュがいることに気が付いた、時にはもう遅い。シュン、とまばたきの間に時速150マイルで放たれた光の矢がネネさんにぶち当たった


「ぐえぇぇぇ…」


 ネラプシの肉体強度故、貫通はしなかったがその衝撃は投石どころではない。常人が喰らえば命の危険もあるその威力!


「よくもやったわねぇ…!」

「あっ、やべ…」


 ただならぬ気配を察知し、その場からまた逃げようとするトッシュだったが、まばたきする間もなくネネさんがそこにいた。


「うわ…」


 ネネさんが割と本気を出している様子にトッシュは後ずさり。腰を低く落とし、息遣いに合わせて上下する肩、その口からでろんと延びている舌。


「逃げ…うおぉう!」


 シュッ!とトッシュの頬を掠める一撃!ネネさんはそこから動いていない!トッシュとの距離は約4mほど。


「何だ今のは!トシさん逃げて!」


 闘気や魔力が働いた形跡はみられない。得体の知れない一撃にライゾウくんがトッシュに逃走を促すその間にも、シュシュシュと見えない攻撃がトッシュを襲う!


「ふん!」


 バチッ!とトッシュは目前に迫るその一撃を両手で挟み込み捕らえた!怒りに任せたネネさんの攻撃は単調故に読みやすく、無刀取りの応用で捕まえることができた。


「何ィ!舌ぁ!?」


 ライゾウくんが驚いたネネさんのマッハ突き、その正体は舌による攻撃!この舌でネネさんはトッシュの口内を狙っていたのだ。そう、単調なリズムと狙われる場所が分かってるからトッシュの技量なら捕獲も可能ということ!…しかしここで終わらないのがネネさんだ。挟み込む両手の先から舌の先端がはみ出ているが、そこがさらに伸びてきた!


「んぶっ!」


 トッシュの口内に侵略し!舌を絡めとる!トッシュの脳裏に以前触手に陵辱されたあの記憶が蘇る!


(やべぇ!まじでやべぇ!ていうか抜けねぇ!)


 両手でネネさんの下を引っこ抜こうとひっぱるが、トッシュの下にまるでタコの脚の如く絡みつくその舌は、全く離れない。無理に引っこ抜けば自分の舌も抜けてしまう!


「んふふ~♡ふははへは(つかまえた)


 舌を縮めながらトッシュの眼前までやってきたネネさん、そのままトッシュの両手首を掴み、ゴリラパワーな握力で握りしめる。


「あばばばば…」


 両腕を掴んだまま押し倒し、マウントポジションになったネネさんはそのまま唇を密着させる。トッシュの口内に広がる鈍い鉄さびの味。テッサイの血をペロペロしていたからだろう。気色悪い。トッシュの口内をペロペロし、トッシュの口内に唾液を送り込み、トッシュの舌に吸い付き、満足したネネさんの口が離れる。つー、っと糸を引くのは二人の唾液。その糸が途切れ、重力に逆らえずトッシュの口内にポトリと落ちる。


「はぁ…歯磨きくらいしてくれませんかね」

「いいじゃんいいじゃん、このまま汗だくになるまで交わろうよ」


 ネネさんが腰をトッシュに擦り付けている。完全に意識がそっちに向かっているネネさんは隙だらけだ。


「嫌です、今は冬です。風邪ひきます」


 お断りをしたトッシュの体が、突然ぬるぬるになる。ネネさんはびっくりしてトッシュの両手首を握り込むが、ずるっとすべって拘束が解ける。


「むぅ、あれは!」


 トッシュが途端に油まみれになった状況を、というかさっきからの状況をほんともうわけわかめな感じで見ていたテッサイは、その理由を知ってそうなライゾウおじさんに乗っかる。


「知っているのかライゾウ!?」

「うむ。あれは…ん?呼び捨て?」

「あっ、つい…」


 反射的に乗っかっちゃったため、つい呼び捨てにしてしまった。けっこう歳の離れたおじさんに対して。


「すんません、大分年上みたいなのに」

「ていうかそんな年寄り扱いしないでよ…まだ35なんだからさぁ…」


 うん…まだ、というが、やっぱり割とおっさんだった。

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