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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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89話 残虐、いじめっ子⑤

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「ぐぇあ」


 二人の剣士の決闘は、まるで押しつぶされたよな断末魔をあげテッサイ、秒殺され決着!テッサイの竹刀は地に落ち、トッシュの竹刀がテッサイの顔をひっぱたいた。竹刀とはいえ、防具なしの決闘はダメージが大きい。トッシュは他人の汗が染み込んだ防具を着こむのは嫌だったし、トッシュが着ないなら自分も着るのは負けた気がするのでとテッサイも普段着での決闘だった。故に、まるでカエルのような醜い断末魔と共に、テッサイは敗北を喫した。


「HAHAHA、暗黒新陰流皆伝のトシくんと鍛錬をサボってたテッサイくんじゃ格が違ったな」

「ぐぬぬ・・・まだだ、まだ俺は負けてねぇ・・・」

「フン」


 トッシュ、少し離れてしゃがみ込んでいるテッサイへ向けて軽く手を振る。屋内に吹きすさぶ一陣の風。


「ぐぇあ」


 敗けてなお奮い立つテッサイを、トッシュの風が吹き飛ばした。


八卦龍拳ハウドラゴンランスターの技よ。トシくんはね、闘気も使えるの。手加減されてたんだよ。格が違うのよ」


 いじめをやるような性根だ、トッシュは徹底的にテッサイの心を折りにいく。これは魔界で育ったトッシュの価値観によるものだ。力が正義、勝った方が正しい。テッサイを完全に打ち負かして、邪悪な心を砕いて、正しい人間になってもらうお手軽人格矯正法。しかしここは人間の世界。いじめが蔓延る、陰湿な、ねちねちとした、敗けた人間が再起することもあるが、堕ちるところまで堕ちる、そんな世界。そして今、ここで心折れればテッサイは堕ちる、いじめをやる奴である以上彼はそんな側の人間。


「トドメだオラ、真人間にしてやるから感謝…」


 上段に竹刀を振り上げトッシュは叫びながらそれを振り下ろす。


「しろや!」


 バシィー!


「!?」

「!?」


 刹那、二人はその状況に目を剥いた。


「大丈夫?てっちゃん」

「は?」


 トッシュのくれてやるはずの最後の一撃、それを受け止めたのは先ほどまで地に落ちていた竹刀。無論、テッサイは動いていない。その竹刀を持つ手は、武骨な男のそれとは違う、細い指をしていた。その手の持ち主は、長身の女子。トッシュからその顔は、いつものメガネを外した、どこかぼーっとした印象とは真逆の、その切れ長の目、闘志を孕む眼光。背中しか見ていないのにテッサイはその女子の正体を一瞬で理解した。


「さっちゃん…」


 小鳥遊 幸。トッシュが救おうとした彼女が、闇に堕ちる寸前のテッサイを救った。

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