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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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89話 残虐、いじめっ子①

「きゃっ!」


 教室を歩いていた女の子が何かに躓き、転倒する。それを見る周りの女子はクスクスと笑い、その視線の中心にいる一人の男子はニヤニヤと脚を伸ばしていた。そう、女子の足をひっかけたのだ!卑劣!


「おいどうした、何もないとこでこけるなよぉ、ドジめ」

「やだもー、テッサイくんその足は何なのよー」

「あー?俺の足ぃ?長いだろぉ?」


 足をひっかけた男子の名はテッサイという。正しくは徹斎と書く。苗字は藤原。王国でけっこう昔から続く剣道の道場の跡取り息子である。当然剣道の有段者であり、実際強い。彼が木刀を持ったらその辺の不良程度じゃ相手にならない。一応彼は不良ではないので喧嘩に繰り出したりはしないが、襲撃に遭えばすかさず木刀で反撃、返り討ちにしてしまう。こないだの宇宙海賊のC級怪人がやってた差値泥棒にも彼は勝利したほどである。


「テッサイくんまじやべぇって~、テッサイくんよりでかいから殺されるって~」


 見ていた男子の一人がおちょくる。当然男子は本当にそうなるとは思っていない。こけた女子を揶揄うためにそう言っているのだ。その女子は身長182cmという恵まれた体格から、デカ美ちゃんとみんなから呼ばれているからだ。ちな、テッサイは175cmである。


「おぉ、やっぱすげぇ迫力ぅ」


 違う男子は、立ち上がるデカ美のその迫力を嗤う。嗤われる彼女の名はさち。小鳥遊家の長女として生まれた彼女に、親御さんは幸福であれ願いを込めたその名は誰にも呼ばれることはなく、この学校ではデカ美が彼女の名前だ。


 立ち上がった彼女はメガネをかけている。まるで牛乳の瓶の底のような分厚いレンズのメガネ。そして高い身長がコンプレックスなのだろうか、背筋も曲がっている。しかし多少背が丸まってもその長身は奇異の目に晒されることを防げない。そして、いかに恵まれたフィジカルであろうと、心への攻撃のダメージは軽減できない。


さち小鳥遊たかなし さちか…」


 そのいじめの様子を、トッシュは興味深く観察していた。

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