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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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87話 飛翔、音速の翼⑥

親知らずを抜きました。なぜ人体の構造はこうもバグだらけなのか

「ぐぬぬ…!」

「オーホホホ!」


 二体の巨人が王都外れの石切り場で激突する。巨大な質量がぶつかり、弾ける。宇宙海賊によりほぼ同時期に作られた二体の巨人、一方は未完成の状態で奪われ壊れ、王都の古代ロボと共食い整備により繕われ、乗る者のエナジーを喰らう魔術兵器。一方は海賊の手により完成し、奪われた兄弟機に対するカウンターとして調整され、科学のエナジーで動く秘密兵器。機体の完成度は完全に後者である。


 ドスンどころじゃないドゴォンと大きな衝撃音と共に倒れるのは音速の翼、マッハソニック・レッドスペシャル。魔力を際限なく吸い取る動力炉を、ハイパーチタニウム合金でできたスクラムハルバードが合体し、その中に宿るピクシーが調整することで燃費は改善したが、その分パワーに余裕が無い。持続力と引き換えに瞬発力を失ったため、結局このままではじり貧である。


「ふむ…ザグマー、あいつの名前とりあえずボーリアンって呼んでいいかな?」

「え?お、おぉ、良いんじゃない?」

「二人ともなに呑気な話してるん?ボーリアンから超重力反応が出てるから早くよけないと死ぬよ?」


 王城でノートマイコンを開き簡易司令部になったビィが警鐘を鳴らす。目前の超重力反応、宇宙海賊のカズミが操るボーリアンの胸部が開き、黒いもやもやが集中しているそこからのものだ。そのもやもやこそがボーリアンの必殺兵器・グラビトンランチャーである。当たれば超重圧でマッハウイング・レッドスペシャルも破壊されてしまう危機。


「あーもう!よいしょ!」


 ランが機体を制御する。が、回避間に合わない。だが回避の必要はない。


「ならこれだな。ミサイル発射」


 機体チェックを担当している伊集院が搭載された大型ミサイルを発射する。そのミサイル自体には火薬は詰まれていないのでただの金属やプラの塊にすぎない。なぜなら殴り合うロボに爆発物を積んどくと誘爆の危険があるから。ではそれは無意味な装備なのか?否、これは所謂防御兵装である。魔力で押し出されたその塊は、目前に迫る重力場に衝突した瞬間、その重力場もろとも消滅する。


 そのミサイルに詰め込まれたのはザグマーが持つ力。命無き物の力を失わせる一族に伝わる神通力。物質の結合という力を失わせ分解することもできるし、今回のように重力を霧散させることもできる秘密兵器だ。極端な話、これを当てるだけで宇宙海賊のあらゆる兵器を破壊することだって可能ではある。無論、そう簡単にはいかないのだが。この世で最も弱い力は重力である。同じ質量が発生する重力と磁力は後者の方が圧倒的に強い。もちろん重力は万物に働くから重力が劣るという話ではないが。まぁつまり重力場を崩壊させるのは同質量の火やら電気やら水やら風やらによる攻撃エネルギーを崩壊させるより簡単ということである。このミサイルは誘導性が無く推進剤で跳ぶわけでもないので遅いので動く対象には当てづらいが、こっちに向かってくる攻撃を迎え撃つなら簡単である。だってこっちに来ているんだから。


「え?」

「隙あり!」


 必殺兵器がいきなり打ち破られ戸惑うカズミの隙を、アルは見逃さない。全てはこの時のため。機体制御に回すのは最低限の魔力。魔力の大部分は必殺兵器のエネルギーを貯めることに回していたのだ。必殺エネルギーの重点率は88%!十分である!出るぞ必殺ダイナミック斬!


「ダイナミックボォォォォル!!」


 マッハウイング・レッドスペシャルの左手から発せらるダイナミックな魔力のボールがボーリアンに炸裂!発せられるエナジーがボーリアンに纏わり、縛る!


「何!?機体が動かない!」


 メリメリメリメリグッチョグチョとボーリアンを圧縮しながら宙に浮かせ、空中に拘束する!


「レーザー天空剣!」


 レッドスペシャルの胸部が開き、放出される光が一筋の光線となり、レーザー天空剣へ姿を変える!ぐるんぐるんと剣を回し、構え、飛翔!


「必殺!ダイナミックざぁぁぁぁぁん!」


 降下しながらレーザー天空剣で一刀両断!割れたボーリアンの中から脱出ドローンが高速で飛び出し、ボーリアン、爆発四散!


「逃げた…!?」


 すぐに追撃しようとするランを、ザグマーが制止する。


「ここまでだ、ラン。君も限界だろう」


 ランのバイタルチェックをしているザグマーに制止され、巨人の戦いは終結した。

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